けんじ、変わる!!これが僕の生きる道

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 個人童話「お返し」  




 ケンタは、今日、お父さんからお小遣いを封筒で、もらいました。
 ケンタのお父さんはとても頭が良く、東京大学の医学部を卒業している超エリートで、とても大きな病院の院長先生です。お金なら山ほどあります。なにせ、ケンタはお小遣いに月に10万円もらっていたくらいですから。
 ケンタはいつもお父さんに「無駄遣いをしてはいけないぞ」と言われていました。でも、ケンタには何に使ったら無駄遣いで、何に使ったら無駄遣いにはならないのかよくわかりませんでした。
 ケンタはお父さんに聞きました。するとお父さんは、「自分のためになることなら無駄遣いではない」と教えてくれました。
 ケンタは、早速、ゲームソフトを14本買ってきました。でも、ケンタは飽きっぽい性格です。14分で14本とも飽きてしまいました。
 次の日、病院から帰ってきたお父さんはケンタに何を買ったのか、聞きました。するとケンタは「自分の為になるなら何を買ってもいいのでしょ?」と質問の答えよりも言い訳を先に言ってしまったのです。
 不審に思ったお父さんはお母さんにケンタが何を買ったのかを追求しました。ケンタの無駄遣いを知ったお父さんはとても怒りました。
 ケンタは考えました。そして悩みました。ゲームは指の運動にもなるし、頭の体操にもなるし、自分の為になると本気で考えていたからです。
 ケンタはタカオ君にお小遣いで何を買っているのかを聞きました。すると タカオ君は、消しゴムや鉛筆や下敷きだと言いました。ケンタは信じられませんでした。だって、消しゴムや鉛筆や下敷きは全部お父さんが買ってくれるからです。
 ケンタは学びました。お小遣いは勉強する道具を買うものだと。ケンタは、次の月、鉛筆などの文房具を、合計1000個買いました。
 それを聞いたお父さんは飽きれてものが言えませんでした。お母さんも悩みました。どうしたら無駄遣いをわかってもらえるだろうと。
 お父さんとお母さんは悩みに悩んだ末、ケンタのお小遣いを1万円に減らすことにしました。
 ケンタは思いました。お金があっても使わなければ怒られないですむに違いないと。欲しいものは言えば全部買ってもらえるのだから、自分のお小遣いを使う必要はないと思ったのです。
 ケンタはそれからお小遣いをもらってもお年玉をもらっても一切使うことはありませんでした。
 そんなおり、タカオ君がお父さんにもらったお金を落としてしまうという事件が起こりました。そのお金は鉛筆削り器に使う予定の1万円でした。
 ケンタは、どうせ使わないからと、お金をタカオ君にあげました。タカオ君は大喜びです。
 ケンジは人の為にお金を使うことを学びました。もらったお小遣いは自分で使わずに友達に分けてあげました。
 それを知ったお父さんですが、どうも快く思わないようです。お母さんもそうでした。そのころから病院がうまくいかなくなったというのも理由の一つです。
 そんなおりケンジのお父さんの病院で医療ミスが発覚しました。お父さんの病院は閉院を余儀なくされました。ケンジの家族はその日に食べていくのもままならない状態になってしまいました。
 ケンジの家には以前、ケンジが買った鉛筆が山のようにあるのですが、鉛筆削り器が壊れてしまって鉛筆があっても使えない状態になってしまいました。
 そんなとき、タカオ君がやって来て、鉛筆削り器をただでくれると言いました。ケンジは嬉しくてたまりませんでした。でも、ケンジにはわかりませでした。どうしてただでくれたのかが。
 お父さんは言いました。
 「ケンジ、それがお返しだ。お前がタカオ君に与えた喜びをタカオ君は忘れていなかったんだぞ。」
 ケンジは、涙が出そうになりました。


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