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寂しい人生と楽しい人生(5)

寂しい人生と楽しい人生(5)

 人間が直ぐに増長してしまう悪い癖を持って居るという事は、良く言えば得た情報から学習によって自分に有利な風に自分をもって行くという臨機応変な面を持っているという事になる。その半面、脇が甘くなる面もあって警戒心が薄れ、一種の無防備な状態にもなる可能性があると言う事にもなる。何処まで周りを信用するか、それとも信用せず常に緊張の連続で過ごすかは個人差があるが、大抵の人間は成功すれば有頂天になるのが普通である。成功しても気を許さない、所謂「勝って兜の緒を締める」事の出来る人は相当の苦労人である。苦労して学習した保身術を護り通せる信念は凡人には真似が出来ない。人生の成功者に成る為にはそうう心構えが大切である。しかし寂しい人生である事には変わりは無い。

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 そういう人でも時には楽しい人生も味わうだろうが「楽あれば苦あり」を常に忘れない人である。常に警戒心を持って居れば「苦あれば楽あり」なぞ当然過ぎて口にするのも憚れるだろう。虎視眈眈とチャンスを狙っている敵が周りに居ると想えば油断は命取りになる。それでも大物は泰然自若としているのだ。今更ジタバタした処で高が知れている。やるべき事は当然やっているからこそ、そういう態度で居られるのだ。「備えあれば憂えなし」である。亦「金持ち喧嘩せず」である。トラブルは勝っても負けても余計な金が居る。それなら黙って逃げるに越した事は無い。変なプライドなぞ屁のツッパリにもならない事を充分知っているのだ。大物は「損をして得を獲れ」で帳尻を合わせるのである。

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 よく「最後に笑った者が勝ち」と言う。それは様々な苦難を乗り越えて、その結果が良ければ総てが良いとう意味に使われる。だから、途中の苦労は単なるプロセスに過ぎず、結果が良い方向へ向かっているものと考えるのだ。当然ながら、結果が上手く行くとは限らないから限定付きで「最後に笑う」という成功だけを取り上げるのだろう。亦「結果良ければ総て良し」というのも同じ事だ。それは「同じ努力をしたところで成功しなければ総てがパーだ」と言うのと変わらない。結果が出なければ総てがパーになってしまうのは本来はおかしい。それでも結果が出なければ評価されない事は世の中には五万とある。大学や企業の研究でも同じ事が言われる。結果を出さないと次年度の予算がカットされるか減額される。

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 それが通り相場であるという事は研究者にとっては非常に厳しい。しかしながらアメリカではそれが普通だし、結果が出ても出なくてもノウノウと研究が出来る体制の方がおかしいのかも知れない。日本初のノーベル物理学賞受賞者であった湯川秀樹も研究でなかなか成果を出せなかった一人だ。しかし、大阪大学で研究をしている頃、上司の教授から論文を必ず出せと言われて無理やり書きあげた論文が後年、ノーベル賞受賞の栄誉に輝くのだ。あの頃、無理にでも論文を書けと言われなければノーベル賞はなかっただろうと本人も述懐しているぐらいだ。今でこそ中間子は小学生でも知っているが、それも論文発表から12年後に海外の学者の実験で中間子が発見された事で湯川理論が実証され、ようやく受賞になるのである。

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 それでも受賞出来た事は本人にとっても日本にとっても幸せであった。先の大戦で敗戦し焼け野原となった日本に一筋の光明が射したのだった。敗戦で自信を失った日本国民が未来へ希望を抱く事が出来る一大事件でもあったのだ。どん底にある人でも希望によって生きられる。その受賞が国際政治の思惑の結果であったにせよ、それが功を奏し、世界の奇跡と言わしめた敗戦日本の復興を見事に成し遂げさせるのである。左程、人の心は大きな成功の原動力に成り得るという事である。その後、日本の歴史は様々な国際的な仕掛けで世界に伍する経済大国と成るのだが、戦後も60年以上も経つと国内の政治形態は次第に保守的となり、官僚が国の方向を左右するまでになって極端な例が役人の天下りや利権の独占となるのである。

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 そして、たまたまそれが今回の東北関東大震災による福島原発の人災事故となって現れ、官僚の悪行(例えば原子力委員会の傀儡性)が露呈し白日のもとに国民に晒されてしまうのである。此処で国民がどのような行動を取るのか、それとも官僚支配のまま今後も腐敗政治が続くのか、マスコミは国民の出方を見守りつつ洞ヶ峠を決め込むのだ。少しは官僚側にも国民側にも媚を売りつつ、さも中立であるようなポーズを見せ、マスコミ自身の生きるべき道筋を模索するのである。それが日本のマスコミの卑屈な姿勢である。それは戦前・戦後も同じようなスタイルで来た新聞社や戦後のテレビ局によるマスコミの世論操作が物語っている。簡単に言えば政府・官僚の御用機関に成り下がったマスコミと国民のインターネット手法との戦いが始まるのである。(つづく)

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