ココ の ブログ

活性化とは?(5)

活性化とは?(5)

 馬鹿なぞ相手にしないというのは、不遜に聞こえるかも知れない。ボクの妻なぞは「お父さんは誰でも馬鹿と言うから、本当に馬鹿で無いと想っている人は居るの?」とボクに訊く事がある。「そりゃあ、賢い人は多く居るさ。でも、今は馬鹿がしゃしゃり出る時代だから困ったものだ」と言い返している。当然ながら尊敬する人は多く居る。しかし、それは過去の人が殆どで現在の人物では余り居ない。知らないだけで尊敬に値する人は多く居るのだろうが、探してまで知る気も無い。自分の身の回りで尊敬できる人は居ない事も無いが、どうしても現実の人間性を観てしまうから総てに100点という人が居ないのは仕方が無い。人間である以上、目に付く処もあって当然だし、そうでないと人間味が無い。

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 だから目的で使い分けるというか、なるべく余計な事は観ないようにして尊敬できる面だけを観るようにしている。それが一番無難な評価の仕方なのであろう。逆に言えば何もかも秀でている人は人間味が感じられないものだし、冷たく感じる。そういう人は自分から付き合いたいとは想わないし、友人にしたいとも想わない。おおよそ別の世界でしか付き合う相手でしか無い。仕事ではそういう付き合いが基本で人間味は第二になってしまう。ロクに仕事も出来ないのに人間味ばかりを強調されても困るのだ。その点、仕事が出来る相手は余計な人間味を出さないから淡々とした付き合いが出来、情に溺れる事も無い。そういう相手は同じ様にこちらを見ているからボクに対して同じように評価をしているのだろう。

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 その結果が仕事に上手く現れ、コラボレーションができれば良い関係で居られる。昔からボクは「仕事が出来れば少々ワル(悪)でも構わない。逆に、人間的には良い奴でも仕事がロクに出来ないのは、困り者だ。逆に言えば、仕事が出来る奴が善人で、仕事の出来ないのは悪人と言うことが出来る」と部下に言ってきたものだった。今はそんな不遜な言い方はしないが、基本的には考え方は同じである。仕事の出来、不出来は結果の問題ではあるが、先を見越して思った通りの結果を出すのが本当の仕事師のやり方である。結果が思わしくなく弁解を言うのは仕事師ではない。うだうだと弁解ばかりするのはみっともないものである。男は黙って仕事をするものである。口ではなく手で仕事をするのである。

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 当時、そういうボクの言うのを聞いた支店長が「仕事の出来る奴は善人で、仕事の出来ないのは悪人だ。人間性なぞ関係が無い」と同じような事を言っていたが、彼は或る時、へまをやらかして会社を2年で辞めてしまった。へまとは売り上げが芳しくなかったのを一種の粉飾で誤魔化した事だった。日頃言っている事と程遠い事をやってしまって辞めさせられたのだ。ボクに反目ばかりする男だったから同情もしなかったが、彼なりに何とか会社を活性化させたかったのだろう。が、基本が間違っていた。つまり外部から来た雇われマダムのような立場だったから粉飾でもしないと成績が上がらないと思い込んだのだろう。建築関係の会社で粉飾なぞナンセンスなやり方だが、売掛金の回収が思うように行かなかったのだ。

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 要するに不良債権化していた売掛金の実態の見極めをつけなかっただけの事で、実態をロクに調べもせず数字ばかり睨んでいたから口の上手い営業部長に乗せられたのだった。口で仕事をする人間の言う事を聞いて、手で仕事をする技術者の言う事を信用しなかった訳だ。当然、その営業部長も飛ばされたが、設計部長をしていたボクなんか日頃から不良債権の事を訊いて知っていたから回収にも加わってノルマを挙げた方だった。しかし、建築家であれ技術者であれ営業の尻拭いをして不良債権を回収すると言う地味な仕事は会社の膿を出す役割をしているものの本来は適正な建築が為されなかった事でしかなくプロとして情けなかった。それが会社の実態であり、裏面を見たのが後日、会社を活性化させるのに役立った。

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 単身赴任で東京本社へ行く事になったのは大阪での実績もさるものながら、当時、バブルの最中だったから、より一層売り上げを伸ばすのに役立つ男として目を付けられた様だった。ボクにすれば未知の土地で何が出来るかという不安があったが、実際に行ってみて半年、一年と過ごしてみると、大阪での努力の半分で同じ結果が得られるという事を知った。それはボクにとって貴重な情報であり経験だった。だから新しくプロジェクトを立ち上げて実施して行くのに部下を叱咤激励するだけではなく、理詰めで説明し、実態を教え、具体的な戦略も教えた。建築に関してはプレゼンテーションの手法から設計のディテールまで、施工に関しては業者の教育指導も行なった。クレームの処理の仕方から大事な資金回収も無理なく出来る方法を教えた。要は人としての心構えの問題だった。(つづく)

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