居眠りをするココ（８）
居眠りをするココを観て思いつくまま記して来た。しかしココはよく眠る。猫の習性だから当たり前の事なのだろうが、実に気楽な動物である。ペットというものは総てそうなのだろう。３０年ほど昔、親父が犬を貰って来たので短期間飼った事があるが、数回散歩に連れて行った事はあるものの毎日の事に成るととても時間が無く、家人も面倒を見ないので可哀想になって人に譲ってしまった。ダルメシアンで綺麗な犬だったから喜んで貰ってくれた。ココの白地に黒っぽい顔と手足を観てダルメシアンを想い出したのだが、このココも人に貰って飼う事になったものだ。貰わなかったなら多分、動物は飼わなかっただろう。隣家のアメリカン・ショートヘアが余りにも傍若無人で庭を徘徊して糞をして廻るのに腹が立っていた頃だったから対抗馬として強力な猫が居れば良いのにと考えていた。
ＣＯＣＯ－036（買いものから帰った車に乗って出迎えるココ）。
そんな時に、知人から「仔猫を貰ってくれない？」と頼まれ、貰う事にしたのだったが、譲る理由を訊けば「娘がアメリカへ語学留学に行くので猫の面倒を観られなくなったの」と言う事だった。しかし、その人もチンチラとミニ・ブルドックを飼っていたから変な話だなと想いながらも実にタイミングが良かったから、今乗っている車で迎えに行った。その頃、車を乗り換えたばかりだったのでココの年齢も車の車検毎に分かるのだ。生後４カ月ぐらいで逆算すればボクの誕生日の６月と合うので同じ日に生まれた事にした。名前は妻が付けた。彼女の好きなシャネルからとったもので、隣家のアメショウ（アメリカン・ショートヘアの事）の名がモモだったからココが良いだろうという事も決め手になった。ところが上品な名前に反して実に元気で暴れまわり、妻にも飛びかかるので驚いた。
ＣＯＣＯ－037（今日も庭の指定席で居眠りするココ）。
それが原因で夫婦喧嘩になり、譲り主に返そうという事に成った。しかし「一旦お譲りした以上は、そちらで飼って下さいナ」と断られた。已む無く暴れ無い方法を考えて何とか飼う事にした。暴れ無い方法としては、迷子に成ったり盗られない様にする為に室内で飼って居たのが不満で暴れる理由だと分って、庭に出してやると喜んで木に登ったり芝生を走り回って楽しんでいるのが分かった。多分に野性味が残るやんちゃな猫だと分って、モモに対抗するには打って付けという事も残す理由に成った。ボクは子供時分に猫を飼っていたから何とも思わなかったが、家族がペットに慣れない頃は糞の始末など大変だった。今では大事な家族の一員になっているから元の飼い主に戻そうと考えたのがおかしく想えるが、慣れないとそういうものだ。そういう意味ではどんなペットでも慣れれば可愛い。
ＣＯＣＯ－038（我が家にやって来た頃のココ）。
例えば他人が仰け反るような生き物でも慣れれば何とも感じなくなるだろう。それでもボクはハ虫類は嫌で、特に蛇はゾッとするから飼うどころか観る気にもなれない。好みのタイプの女優が蛇を持つシーンを観たりすると途端に彼女までが嫌になってしまうぐらいだ。深層心理で人間は蛇に恐怖心を抱く何かがあるのだろう。そういうペットは別にして、犬や猫が一番多く飼われているから野良イヌや野良ネコも多く居る。しかし、野良イヌは法律で取り締まっているから最近は余り見掛けなくなったが、野良ネコは法律が無いから屋根や塀の上なぞで見掛ける。しかし、道の真ん中や目立つ処には来ない。矢張り野生化して人を警戒するからだ。その野良ネコにわざわざ餌を与える人が居るから野良ネコが増える。去勢手術や避妊手術を施さず単に可哀想という理由だけで餌をやるのだ。
ＣＯＣＯ－039（カーテン越しに日向ぼっこするココ）。
野良ネコは餌が無ければ死んでしまう。下手な人道主義だけでは猫の為にも環境の為にも良くない。餌を与えるなら避妊手術をすべきだ。餌場に数十匹の野良猫が集まる光景は異様である。鳩にパン屑を与えて満足する老人と同じ発想なのだろうが、増え過ぎて糞害が発生して社会問題になっている事を知らないのだろうか。猫嫌いな人は飼いネコを観ても腹が立つらしい。猫避けにとペットボトルに水を入れて家の周りに並べている家を見掛けるが、無知もそこまで来れば笑うに笑えない。飼いネコはちゃんと躾すれば自宅の糞トレ―の猫砂の上で糞をするものである。飼い主の責任で躾はすべきなのだ。面白い事に、モモがココの糞トレ―が珍しかったのか暫くそれを利用していた事があった。しかし、ココが成長するにつれココが怒りだし、モモはすごすごと逃げて行った。
ＣＯＣＯ－040（温かい陽射しに寛ぐココ）。
それ以来、我が家の庭ではモモは糞をしなくなった。たまにココが花壇で糞をする事があるのはモモの真似をするからだろう。発見次第、ココを叱るからココはめったに花壇では糞をしなくなった。が、その代わり裏の空き家で糞をしているような気配がある。何故なら、自宅の糞トレ―にはココの糞が無いからだ。綺麗好きだから自分の部屋や濡れ縁の糞トレ―でも糞をしなくなってしまった。自分でも糞の臭いは嫌いな様である。糞トレ―から臭いが消えて久しく成る。臭いはしなくなったが毛が床に散って綿埃に混じって見苦しいから常にモップで取るようにしている。毎日ブラッシングしているから抜け落ちない筈なのに歩いている間に落ちるのだろう。部屋を綺麗にして置くと其処で心地よさそうにココは居眠りする。ココの為に綺麗にした訳ではないのに平気で爆睡しているのを観ると実に平和な光景に観える。これも癒しの一つに成っているのだろう。
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