倶楽部貴船

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お菊人形 -7-



夏がやってきた。一年生になって、初めての長い休みだ。
お菊は、学校へ行かなくていいと思うと、とび上がりたいくらいうれしかった。

「おかあちゃ、太郎を見とってやるに」
と、朝から太郎の子守りをしたり、畑の草取りも手伝ったり
夜には、おとうちゃの肩もたたいてやって、お菊は久しぶりに
一日中にこにこと笑い、動きまわった。
「お菊がおってくれると、ほんと助かる」
 おかあちゃが夕飯の時にそう言ってくれたことが、お菊はまたうれしくて
市松人形の前で手を合せると
「明日も、いいことがいっぱいありますように」
とお願いをした。お菊の笑い声が夜遅くまで家中に響き
人形の菊ちゃんも うれしそうにそれを聞いていた。

 朝からカーンと晴れ上がった次の日、妙ちゃが鼻の頭に汗をかいてやってきた。
「な、菊ちゃ、大西川に遊びに行かまい」
 縁先から中をのぞくようにして大声で言った。
「大西川へ行くの?」
 お菊が出て行くと、
「うん、今日は暑いもん。行こう、行こうよ。な、連れてってよう!」
と少し甘えるように言った。

─7─


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