ケイレン
病室に行こうとしたら主治医の先生が呼び止める。
「放射線治療の為に脳が腫れて神経を圧迫するので昨夜、ケイレンを起こしました。これからは脳の腫れをおさえる
点滴をしていきます。まだケイレンを起こしますが驚かないで下さい」
ケイレン？昨日までそんなことなかったのに。
息子も娘もケイレンを経験した事があるけど、すっごい怖かった。
それをパパも起こすって!?
怖い、見たくない。もしパパがケイレンを起こしたら私はパニックになる。誰か一緒にいて!!
って思ったが私一人しかいないのだから、しっかりするしかない。
覚悟を決めてパパの病室に入っていった。
不安な顔を絶対パパに見せるわけにいかないので、ひたすら笑顔を絶やさずいつものように話しをしていた。
しかし突然その時がやってきた。
右手右足が急に振動し始める。いそいでナースコールをするが何もすることができず、ただ見てるだけ。
一日一回だったケイレンが二回、三回と増えていき、何度も起こすようになった。ケイレンを起こす前は
意識障害を起こすようにもなってきた。
ベットだとケイレンを起こした時、柵に挟まり危険なのでナースステーションの一番近い個室の床に畳と布団を敷いてもらった。
そこだと子供達が騒いでも迷惑をかけないしパパの膝の上に座れる。
ほんのひと時の幸せな時間だったな。
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