きまぐれの音

きまぐれの音

8マン 全5巻

8マン 全5巻

友人との会話の中で「8マンは煙草吸ってたよね」という話題が出た。

自分はリアルタイムでテレビ版を見ていたので、即座に肯定したが反論も出た。当時からの時間の隔たりもあり、周りに即答できる人がいない。その確証のためネットを検索。多数の8マン・ファンのホムペで吸っていたことが判明した。

で、次のステップとしてはその場面を再び見てみたいではないか。それでコミック全5巻を1000円でゲット。

平井和正の原作、桑田次郎の絵。SFとしてなかなかしっかりとした原作である。コンセプトはアメリカのTVシリーズ「600万ドルの男」より早いのではないか?桑田次郎の全体的に暗いタッチの絵が雰囲気を出している。

8マンは殉職した刑事、東八郎の頭脳をコピーしたサイボーグ刑事である。
そして警視庁捜査一課第8班の刑事である。物語では捜査一課は第1班から第7班まで7人ずつ合計49人の刑事で構成されていて、8マンは唯一の第8班メンバーである。”8”にこだわった特殊な班なのだろう。

普段の顔は私立探偵の東八郎である。探偵事務所を開いており、助手の一郎とさち子が雇われているが彼等は東がサイボーグだということを知らない。
どうしても往年の同姓同名のコメディアンを思い出してならないが・・・。

8マンは小型原子炉と電子頭脳、高度な視覚、聴覚、運動能力、そして
自由に変身できる人工皮膚を持つ。予備の電子頭脳まで備え、作戦によってはこれを敵のロボットに組み込んでリモートコントロールで見方に付けてしまうなどの発想もすばらしい。

と、ここまは無敵にさえ思えるのだが、実際にはかなり弱い。敵との戦いで手足は簡単にもぎとられたりでかなり痛々しい。特に原子炉の能力低下や電子頭脳の熱暴走?が顕著である。ある作戦では電子頭脳に変調を来し、さち子の事を思ってさち子に変身してしまったことがある。

その原子炉の強化材として、ここぞと言う時に吸うのが特製のたばこである。しかしコンセプトがおかしく、電子頭脳の冷却剤とも紹介されている箇所がある。ま、いいだろう。

しかししかしである。助手のさち子はどうも東八郎に尊敬の念以上の思いを寄せているようだ。それでここぞという時にたばこを吸おうとする東に「先生、たばこは体によろしくなくてよ」と言って取り上げてしまうことがあり、笑える。

機械は脆いものだと言わんばかりのコンセプトとそれゆえに一生懸命戦う8マン。紫煙の影の向こうに8マンの悲哀を垣間みた思いである。

 秋田書店SUNDAY COMICS - SF COMICS
 桑田次郎 8マン(少年マガジン連載)

 第1巻:昭和43年1月30日初版
 第2巻:昭和43年2月25日初版
 第3巻:昭和43年3月30日初版
 第4巻:昭和43年5月 1日初版
 第5巻:昭和43年8月10日初版

物語は一難去ってまた一難形式であり、何々の巻みたいなサブタイトルがない。従って第1巻から第5巻まで一気に読むはめになる。実際に第1巻の最後のページは第2巻に続いている。この構成のため、全7巻のスタイルになっているセットもある。

【続報】2003.9 ヤフオクにて5巻セットを1000円で譲る。
もともとヤフオクで1000円で買ったものなので、送料と振り込み代で借りた本というところか。リサイクル感100%。

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: