きまぐれうさぎ

きまぐれうさぎ

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2010.09.05
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テーマ: お勧めの本(8162)
カテゴリ: カテゴリ未分類
二人の登場人物の視点から語られたA、Bの二つの物語で一つの作品になっているという面白い試みのこの作品。
豪華な12人の作家陣によるアンソロジーで12×2の二十四話もの作品が収められています。
一見物凄い厚さになりそうなこの作品ですが、一つの物語が大体三、四ページ程なので、ちょっとした時間にさくさく読むことが出来ます。しかしながら、読みごたえは十分なので満足感を味わえる作品になっています。

さて、タイトルに「秘密」とありますが、秘密そのものを軸とした作品はあまりありませんでした。恐らくここでいう「秘密」とは、日常を生きていて少しだけ触れ合う人達などの裏の面、自分では知ることの出来ない部分のことをいっているのではないかと思われます。道を歩いていて、ふとすれ違った自転車に乗った人は自分が知らないだけで実はその自転車との深い物語があるのかもしれない。この作品では登場人物の視点を変えることによって、その裏の面をうかがい知ることが出来ます。

自分の知らないことが世の中には溢れている。
こんな風に考えて生活を送ると、世の中は自分の知ることのない秘密に満ちているように感じられ今までと目線が変わる思いがします。
ささやかだけれども、かけがえのない日常をみんな生きているのだと感じさせてくれる良い作品でした。

毎晩眠る前に一作品ずつ読むのに良い作品かもしれません。




吉田修一「ご不在票―OUT-SIDE-」「ご不在票―IN-SIDE-」


森絵都「彼女の彼の特別な日」「彼の彼女の特別な日」
これからも二人の物語が続いてゆくのが想像できるような気持ちの良い終わりの作品でした。

佐藤正午「ニラタマA」「ニラタマB」
日常でふっと湧いたちょっとした疑問は、通常解決することもないまま忘れ去られてゆくものですが、この作品はそれを軸にした作品です。

有栖川有栖「震度四の秘密―男」「震度四の秘密―女」
男女間での秘密はえてしてあまり良くないものだと思いますが、それをミステリ作家さんらしく描いています。

小川洋子「電話アーティストの甥」「電話アーティストの恋人」
少し変わった職業が登場しながらも、静謐で味わい深い作品でした。

篠田節子「別荘地の犬 A-side」「別荘地の犬 B-side」
日々起こる出来事の裏には、様々な深い物語が潜んでいるということを感じさせてくれました。このアンソロジーのテーマに沿った作品だったと思います。

唯川恵「ユキ」「ヒロコ」


堀江敏幸「黒電話―A」「黒電話―B」
黒電話の描写が素晴らしいので、読んでいて思わず黒電話が恋しくなりました。

北村薫「百合子姫」「怪奇毒吐き女」
漫画やドラマにありそうな展開で楽しい作品でした。

伊坂幸太郎「ライフ システムエンジニア編」「ライフ ミッドフィルダー編」


三浦しをん「お江戸に咲いた灼熱の花」「ダーリンは演技派」
コミカルだけれども、愛おしい恋愛を描いた台詞がなんとも秀逸な作品です。

阿部和重「監視者/私」「監視者/僕」
暗い雰囲気の物語だと思いきやラストは、ほんのり温かさが漂う作品で良かったです。





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最終更新日  2010.09.05 21:27:34
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