彩感(つれづれ日記と社労士受験)

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年次有給休暇の計画的付与



今回は、特例ともいえる計画的付与についてご説明します。


年次有給休暇の計画的付与とは具体的には

1、事業場全体の休業による一斉付与方式

2、班別の交代制付与方式

3、年次有給休暇付与計画表による個人別付与方式があります。


あまり、見かけた事はありませんが、

たとえば、年末年始休暇、夏季休暇を有給休暇とする場合には、

この計画的付与が該当すると考えられます。


なぜなら、前にも説明したとおり、

年次有給休暇の時季指定権はあくまで労働者にあり、

会社は時季変更権を有するにすぎません。

年末年始とか、夏季とか時季を指定する事は

この計画的付与に該当する以外に、

労基法では、認められないと考えられるからです。


この計画的付与も、当然会社の独断で決められるものではありません。

その要件としては、

1、必ず労働者側と労使協定を結ばなければなりません。

  ただし、この労使協定は労働基準監督署への届け出の必要ありません。

  (労働基準法第39条5項)

2、計画的付与については、その労働者の有する年次有給休暇日数の

  5日を超える部分でしか認められません。

  たとえば、10日の日数を有する労働者は、

  そのうち5日分については、労働者が時季指定権を行使し

  残りの5日分についてのみ、計画的付与の対象となるわけです。

  10日全部を計画的付与の対象とするわけにはいかないのです。

  (労働基準法第39条5項)

3、計画的付与の場合には、労働者の時季指定権、

  使用者の時季変更権はともに行使できません。

  いったん決定した以上は、会社側も勝手に

  変更するわけにはいかないのです。

  つまり、いったん労使間で合意された計画的付与の時季については、

  双方の合意がないかぎり変更はできないのです。

  (労働基準局長名通達第150号 昭和63年3月14日)


以上のように、年次有給休暇の計画的付与については

労働者の権利の侵害の可能性が大きいために

労基法、通達等により厳格なルールが定められています。

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