金 魚 姫 

【文章】きみを忘れない


ああ 何故この子たちは こんなにも弱いんだろう。
人間の行う全てのことが、この子たちにどれほどの不安を与えるのだろう。
道路など開発しなければ 自動車など開発しなければ
どれほどの命が無駄に無くならずに済んだのだろう。

何度も思った。
彼らの死を無駄にしたくなかった。
父が言った。

「あいつはお前に、命の大切さを教えてくれた。」

納得できなかった。
何故? 死ななくても良かったはず。
命の大切さなどもう何度も味わっている。
きみが死ぬ理由は、どこにも見当たらず
きみが死ぬ必要も無いと思った。






せめてもう少し 側にいたかった。
苦しんで死んでいくお前の姿を見て
何を想ったのだろう。
何故 あのとき、
お前の側にいてやれなかったんだろう…


死に際にも会えなかった自分を、
責めて責めて
未だに責め続けている。
早くこの苦しみから解放されたい。
そう願った。

途方もない願い。
私はこの苦しみを背負って生きていくべきだと思った。
命の大切さを 人間が忘れてしまっては、
この世界はだめになると思った。

この子たちがいなくなって
後悔ばかりした。
優しく接してあげたら、
いっぱい遊んであげたら、
抱きしめてあげたら、
どんなに良かっただろう。
私は後悔の連続だった。
あの子たちは一体どうなんだろう。
私や家族を 責めてはいないだろうか…

「幸せだった」

そう思ってくれるのなら どんなに良いだろう...

人間の勝手な解釈で
クロは モカは

「きっと幸せだったよ」

なんて言えるわけない。
本音を言うと、そう言って欲しい。
幸せだったと思っていて欲しい。


きみのことを思い出して。
ひきだしから取り出しては、涙を流して ひきだしにもどす。
涙が出るのは 愛しているからで、
哀しいのは きみがいなくなったから。
何度思っても、きみは帰ってこないのに。

せめてもの罪ほろぼしに、
今いる2匹の猫を大切に、大切にする。
愛して愛して愛して愛して。

お前達はずっと、うちの家族だからね。
生まれ変わっても うちの家に来てね。
そのときは、人間がすきな猫でいてくれるといいな。
これからも愛してるから、安心してね。
次も 仲良く一緒に生きよう。


そして、今日も猫と一緒に過ごす。


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