こころの金メダル

こころの金メダル

激論!死刑は仕方ない?

激論!死刑は仕方ない?

(「ふ」=私自身のこと)

【きっかけ】

 1月17日の阪神大震災のあった日に、教室でその話になり(1学期に「いのちの学習」で阪神大震災で亡くなった同い年の子のことについては触れている)「いのち」に関するいろいろな話しをしていた。

 その時に、たまたま「いのちに軽い・重いがあるのか」という時に、大部分は「ない」と言った雰囲気になった。

その時に「そしたら死刑は、どうなるんや?

いくら重大な罪を犯したとは言っても、その人も人間や、その人を死刑で殺す(いのちを奪う)ということをしてもいいのか?」と子どもらに投げてみた。

そして、いろいろと意見を出させた後で、

「人を殺したんやから死刑になっても仕方がない」と

「死刑でいのちを奪うことなど絶対にダメ」という、

どちらかの立場を選ばせながら「思い」を書かせてみた。



【展 開】

 その時に、子どもらに書かせた「思い」には、次のようなものがあった。

 《死刑になっても仕方ない》派

*人を殺してまた社会に戻すと、また人を殺していのちを奪うから、殺人を犯した人は、もう死刑になろうが、殺しは殺しだから、その痛みを味わわせたらいい。


*私は仕方ないと思う。

だって人を殺すということは、死刑にされると同じことだと思う。

人を殺した人は、親の気持ちを全くわかっていないと思う。

私は、とても大事な家族や、友だちを殺されたら絶対に許さない。

家族を殺されて「死刑はダメ」っていう人は、本当に、家族が居ることを当たり前に思っているか、家族がいることに感謝していないと思う。

私は、自分がここにいて、家族が居ることに感謝しています。


*その人を悪くする環境も悪いが、行動として、人のいのちを奪うことは絶対にいけないと思う。

行動に出してしまったら、責任を取ってもらって、死刑になるのは仕方がないと思う。


*人のいのちに重いとか軽いとかはないけど、一度人を殺してしまったら、その人のいのちは私たちと同じだとは思えない。


*日本には終身刑はない。

でも、人を何人も何にも殺しておいて、その辺でぬくぬくと暮らしていたら、殺された家族だったら、そんなん絶対にイヤ。

だから死刑になっても当たり前。

2人ぐらい殺して、殺人者は生きていたら許せない。



 《死刑は絶対にダメ》派


*僕にこどもがいるとして、殺されたらとてもイヤ。

でも、その犯人が死刑になっても、子どもが戻ってくるわけではない。

だから犯人を殺しても意味がない。



*日本もアメリカみたいにしたらいいと思う。

死刑をしなくていいから。無実の人もたまには入ってくるから。



*初めは誰でも、同じ重さの「いのち」を持って生まれてきてるから、何人殺してしまっても、人の「いのち」の重さは変わらないと思う。

でも、正直私は、人の傷つくことを言っていると思います。

だから「いのちの重さは変わらない」とは言えないと思うけど、私はそう思った。



*もしも自分の家族が殺されたら、「相手を殺したい」って思うのが普通だけど、死刑にされても仕方ないって思うけど、私もそうは思うけど、人の「いのち」を重いとか軽いとか言って決めつけるのはおかしいと思う。

自分にもいのちがあるし、他人もいのちを持っているから、死刑はダメだと思う。



*なぜなら、みんな同じ人間だし、「いのち」もあるんだから、いくら殺人したからって、死刑なんかにしたらそれも殺人になる。



「ふ」の感想
 むずかしいです。本当にむずかしい。

「人を殺したらあかん」っていうのは誰でもがわかっていることです。

でも「死刑」とは、人を殺すことなんです。

「どうしょうもない罪を犯した者」は死刑になって、その「いのち」を奪われても仕方がないのでしょうか?

「どんなことがあっても『死刑はあかん』」って言い切れるのでしょうか?

「ふ」もわかりません。

今日はみんなの考えを聴きたいと思っています。

どんな意見もあると思います。

しっかりと自分なりに考えてみて下さい。



 これをプリントにして(手書きで)子どもに渡し、それから、後日、2時間をかけて、簡単なディベートの授業を行いました。




【ディベート授業】

 6人ずつを「死刑は仕方ない派」と「絶対にダメ派」に分けて、ディベートを展開する。

他の者は判定者の立場に立つ。



 活発な意見が飛び交い、ディベーターはかなりアツクなっていました。

「自分の家族が殺されても、ダメって言えるのか」とか「殺人者が、また殺人を犯すと決めつけるのは偏見やろ」とか・・・。

よく考えて言っていました。

ただ、まだまだ5年生なので、「論理的」とまではいきませんでしたが。

判定者の中からも、我慢できずに意見を言う者も出てきました。


(その様子は、「こころの金メダル」NO.113に)




【授業後の思い】



《死刑は仕方ない》派



*いのちは大切だけど、死刑も大切だと思う。

そして、先生の意見や先生の言い方は変だと思う。

私らだって手をあげて言ってるのに、そのまましゃべってたし、「刑務所から出てきてまた殺すっていうのは偏見だ」って言った。

でも、その偏見は、殺した人が作っているので仕方ないと思う。

やっぱし死刑は必要です。



*相手は強かった。

けど、死刑はあらんなあかんと思う。

こんなことにはならんと思うけど、殺人とかがなくなってほしいなぁ。



*言いたいことは、ほとんど言いました。

いのちに関して考えるのは、とても楽しかった。




《死刑は絶対にダメ》派



*殺したら、殺した人の「いのち」をいっぱい抱えているから、その「いのち」いっぱい持っている人を殺したらダメだと思った。


*相手の人は、その人の「いのち」はどうなろうと構わないと言っている。

「いのち」は大切だと言っているが、死刑で人の大切な「いのち」を奪ってるやんと思った。


*僕は、意見を言う方にいたけど、みんな、「いのち」の大切なことの言葉を言っていた。また今度も出たい。


*死刑は絶対にダメだ!。

僕が最後に言った「両親が死刑になったらどうしますか?また、自分が死刑になったらどうしますか?」という質問に、「べつにいい」と言った人は、「いのち」を大切にしていないと一緒だ。

「いのち」があって、ありがとう。




《判定者》


*今日の話を聴いてて、「いのちの大切さ」が改めてわかった。


*Aの言った「家族の居ることに感謝していないと思う」に、もう「死刑は仕方ない」って思った。

その人は、自分で自分のいのちを軽くしているから。

でも、偏見で見ている部分もあった。

刑務所にいる人が出てきたら、「また殺すかもしれん」っていうのも偏見で見て決めつけだった。

それで、「死刑はアカン」って一瞬思ったけど、家族を殺されたりしたら、絶対に許さへん。



*自分の意見は「仕方ない」ですけど「ダメ」に投票した。

でも、死刑になった人は、ニュースとかで見るけど、裁判で「あなたは死刑です」とか言われても「まぁいいや」とか「そう思ってた」っていう人ばっかりで、「死刑はイヤです」とか「生きて償いたい」という人は見たことがないです。

なんか、先生の意見は、すごいわかる。


*やっぱり、すごくむずかしい。みんなが言うことに、全部「そうやなぁ」と思った。


*自分のお母さんの「いのち」がうばわれたら絶対にイヤ。

「いのち」は大切にしなあかんなぁってあらためて思いました。


*話を聴いてるうちに、なんかよくわからなくなってきた。

死刑はあかんとは思うんだけど・・・。




「ふ」
 「ふ」がみんなに考えて欲しかったのは、「死刑がいいのか悪いのか」ということよりも、「いのち」について、今、「自分はどういう思いを持っているのか」ということでした。

自分の「いのち」が大切なことは言うまでもありませんが、周りにいる人たちの「いのち」も、それと同じぐらい大切なものだと思います。

あなたは大切にして生きていますか?



これが、ディベート後に出したものです。5年生にしては、ものすごくよく考えていると思うんですが・・・。

その後、ある保護者の方から、ご意見をいただきました。




【保護者の方の感想】

 さて、今日の学級通信について。

5年生で、すごく難しい問題について考えているんだなと思いました。

大人でも、その善し悪しについては、これが答えというものはないと私は思っています。

「人の死について考えること」「いのちについて考えること」、今の時代には大切だと思います。


 昔のように戦争があった時は、肉親や大好きな人を失うかも知れないということ、人を、敵であっても殺さなければならないことを感じられなくなった今、いのちは安いものになってしまっている気がします。

いのちが、ということと共に「人間が」とも言えますが・・・。


 家族のいのちでさえ大切に思えなくなっている社会(虐待など)で、他人のいのちなど、もっと大切には思えないでしょう。

この先、もっともっとそんな人が増えると思い、恐くなる時もあります。

 少なくとも今の5年3組では、しっかりと学んでほしいと思います。

そして、そんな、いのちを大切にしない大人には絶対になってほしくありません。


 本当は家族で伝えるべきでもあることを、学校でも考えなければならないことが少し悲しくは思いますが。

 先生、よろしくお願いします。



 以上です。どのようなことを感じられましたか?




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