こころの金メダル

ファイトだ！Ａ

ファイトだ！！　Ａ

　Ａ君→明るくて、よくしゃべる。野球が大好きで、少年野球をずっと続けてやっていた。

中１になっても、地域の少年野球チームに入って活動を続けている。

授業もしっかりと受けて、周囲の誰からも好かれる男子である。

【悲しみ】

　６月の中旬頃、職員朝礼の１０分ぐらい前に、Ａの母親から電話がかかってきた。

いつもは明るいお母さんの声が、グッと沈んでいる。

まさしく「沈痛」という感じで、「先生、父親が昨晩亡くなりました。事故だったんですけど」というような内容でした。

　学校は忌引きになるということを伝えて、本日のお通夜の時間と場所を聴いた。

　そして、教室で、その事情をみんなに話し、「今、クラスで一番痛んでいるのは、間違いなくＡだ」「みんなでなんとかしてやろう」という呼びかけをして、Ａへのひと言を書いてもらった。

【Ａへのメッセージ】

大丈夫？突然にお父さんが亡くなって、今、一番悲しいのはＡ君やんな、

やっぱり、元気まだないよな。

お通夜に行けなかったけど、行けなくてゴメンな。

まだ学校には来れないと思うけど、早く学校に来てや。

Ａ君の気持ちなんかわからんけど、こんなことしか、でけへんから・・・。

Ａ君の心の中は傷ついてるんやろな。

家族の人が死んでしまうっていうことは、悲しいよな。

Ａ君の立場にはなれないけども、できるだけ、Ａ君の立場を考えるから学校においでや。

みんな、Ａ君のこと待ってるで、ゆっくりでいいから、おいでや。

大丈夫か？大変なことになってしまったけど、まぁ、とりあえずは、いつも通りにはいかないかもしれないけども、これからも野球などの自分の好きなことを見つけて、プロ野球選手になるならなるで、努力をしてがんばって、夢をかなえて下さい。

急のことで、メッチャびっくりしたやろ。

あんなに元気やったのに急に。

私は、まだそういうことはわからないけど、メッチャつらいのはわかるねん。

そこから立ち直るのは、メッチャ難しいことやけど、がんばってね。

　何もできないけども、これくらいの手紙は書けます。これからもがんばってね。

前みたいに、みんなを笑かしてあげてね。

本当に難しいことだけど、がんばれ。みんな、学校で待ってるよ。

元気か？まぁ、元気出せよ。

学校にＡがおらんかったら寂しいし、おもんないよ。

だから、無理と思うけど、早く学校に来てや。

「おれらは親友やん」また遊ぼうな。みんなも心配してるで。

お通夜行ったけど、大丈夫か？

　また悩み事があったら、おれに相談してや。

おれも悩み事があったらＡに相談するわ。じゃあ、元気出せよ。待ってるで。

Ａが悲しいっていうのは、わかるで。

私のお父さんも４年生の時に病気で亡くなって、メッチャ悲しかったし、この先が不安やってん。

　Ａも、今も今からもつにいと思う。

でも、お父さんのために、がんばっていこうや！お父さんは、元気なＡでいてほしいと思うで。

　イヤやし、寂しいし元気なんて出ないと思うやろうけど、私は１ヶ月で元気出たで。

で、今こんなにうるさいし(笑)

Ａもがんばっていこうな。

「ふ」から

　あんなに悲しそうなＡの顔を初めて見た(お通夜の時に)

どんな言葉をかけていいのか、正直言ってわからなかった。

Ａの今の気持ちは、想像はできるけども、わからない。

　ただ１つだけ言えることは、今は別の世界から「Ａ、しっかり生きろ、思いやりを持った人になれ！」って、お父さんは言ってはることだと思う。

　つらいやろうけど、前を向いて、お父さんを安心させてあげるような生き方をせんとあかんぞ。

３組のみんなも心配してたぞ。

【メッセージに目を通して】

　みんなの「思いやり」「やさしさ」というものを強く感じた。

家庭的にしんどい子が多いんだが、そういう子ほど、気持ちにグッと入り込んだ言葉を残している。

　子どもは本来「思いやり」や「いたわりの気持ち」を持っていると思う。

それを感じさせる場面があれば、それを適切に取り上げて、「これが思いやり」「これが協力」ということを伝えてあげる必要があると思う。

　大人や教師がただ単に「人を思いやりなさい」などと言うだけの育て方はどうかなと思う。

　子どもを育てる側の「人間性」って本当に大切やなぁ・・・。

人間性が豊かな先生が増えていって欲しい・・・。

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