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占いを恐れないということ



「うまくいってなかったの?」
「そんなことありません。いい関係だと思います」
「占いに行ったわけがわからないねえ…」
「だって結婚したいし…」

 思うにこういうことは人に決めてもらうことではない。きっとこの占いは当たるよ、といったら、あまりにおろおろするので、説明しなければならなかった。

 瀬戸内寂聴がこんな話を紹介している。

 二人の仲の良い兄弟の運勢をある人が占った。兄は将来金持ちになるだろう。弟は最悪の星のもとに生まれたので何をしてもうまくいかず将来ひどい貧乏になるだろう。

 さて、二人はどうなったか?

 兄はどうせ金持ちになるのだから、と何の努力もしなかった。親譲りの土地も家も人手にわたり、乞食になってしまった。

 弟は自分は運が悪いのだから、と一生懸命努力した。夜昼なく働き続け、気がついたら大地主になって、結婚し、子どもも生まれ幸福に暮らした。

「だからね…」

と僕は彼女に話した。

「占いで結婚できないといわれてよかったじゃない。だって、彼と結婚できます、っていわれたら、彼との関係をよくしようとする努力はしないよ。でも、だめっていわれて、でもあなたが彼と一緒になりたいと思うなら、関係をよくする努力をするじゃない。ねっ」

 満足して電話を彼女は切った。


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