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第三章 【堕落と墜落】
<スピード>のコックピットは静まり返っていた。
護衛のために来た小隊の隊長、モッティが危険な地球に着陸しろといったのだ。
「いいか、早く着陸するんだ」
モッティがそういって、オゼルに向けている銃をさらに近づける。
「なんでそんなことを?」
オゼルは極めて冷静に訊いた。
モッティは一度下を向いたが、すぐにオゼルに鋭い眼差しを向けた。
「着陸したら答える。それまでは黙っててくれ」
そういったが、到底オゼル、そしてその場に居合わせているロッドとドリングも納得できない。
そして次に発言したのは、ロッドだった。
「もしかしたら、何か陰謀があるのか?」
モッティはロッドを睨む。
オゼルが見かねて手を出して、静止の合図をした。
「これは私達だけの問題じゃないんだ。フリールームに行って、会議しないと・・・」
「うるさい!早くするんだ!」
モッティがそうわめいた時、コックピットの出入り口の扉が開いた。
モッティが顔を向けると、そこにいたのはタッグだった。
「うわ、何てことだ・・・」
タッグにはその状況がよく理解できないらしい。
それはそうだろう、護衛のリーダーが船長に銃を向けているんだから。
唖然としているタッグをみて、モッティは小さく微笑んだ。
それに気付かないタッグは、おどおどしつつ理由を話そうとした。
「いや・・・レックス博士と色々検証したが・・・」
「無理そうだぞ、博士」
突然タッグの説明を切り、モッティがそう言った。
「何がだ?」
依然、銃を向けられたままのオゼルが訊く。
「すまないな博士、着陸できない」
モッティが本当にすまなそうに言った。
タッグはますます疑問を強めたが、ドリングは顔をはっとさせた。
「じゃあ、あんたが少佐に着陸させるように頼んだのか!?」
ドリングのその言葉に、オゼルとロッドは顔を見合わせた。
「博士、本当か?」
「まさか!そんなはずは無いじゃないか!」
タッグが冗談じゃない、といった顔で弁解する。
オゼルもそのタッグを見て、モッティの発言に不信感を強めた。
「少佐、これはどっちが正しいんだ?タッグ博士は、本当に何も知らないようだぞ」
モッティも顔を落とす。
その時、フリールームから声がした。
「おい!何が起きてるんだ!?」
デートリックの声である。
タッグはコックピットの出入り口の扉を開けっ放しだったため、フリールームに会話が筒抜けだったようだ。
デートリックがコックピットに向かってくると、アサジン、フロスと、そしてレックスまでこちらに歩いてきた。
「くるな!」
モッティは、デートリックがコックピットに入った瞬間に怒鳴った。
「おいおい、何が起きてるんだよ」
コックピットとフリールームの間の短い廊下からフロストが訊いた。
同じく廊下にいるアサジンは、レックスをかばって一歩後退している。
「お前達に任務を与えるためだ」
モッティがそういった。
それに目を丸くしたのはお前達 ―デートリック、フロスト、アサジンだった。
「ちょっと待て、任務ってどういうことだよ!」
さすがのデートリックも、嫌味を言う気にはなれないらしい。
「お前達の任務だよ」
モッティは苛立たしくそういった。
アサジンははっとした。
武器庫で「何か起こる」とモッティは言った。
それがこの事だったのだ。モッティは、あらかじめ考えていたのだ。
「お前たち、そんなこと望んだのか?」
ドリングが軽蔑の眼差しでデートリックを見る。
「アホかお前は?わざわざ地獄にまで下りて仕事をする・・・それを望むか?」
デートリックはご自慢の嫌味術でドリングに反論する。
「全部こいつの考えなんだぜ」
デートリックは、人差し指をモッティに指した。
「ってことはだ・・・」
オゼルが口を開く。
「タッグ博士の陰謀説も嘘、護衛チームの任務を作るも嘘・・・となると、少佐、なんで着陸を望むんだ?」
モッティは答えずに、オゼルに向けていた銃を降ろした。
「命令だからな・・・」
モッティのその言葉は、オゼルにはよく聞こえなかった。
オゼルが聞き返そうとしたとき、モッティは銃をオゼルに向けた。
怒ったような顔・・・本気のようだ。
「今だ!」
しかし、その時に見せた隙を、背後のデートリックは見逃さなかった。
そう叫ぶと背中に飛びつき、モッティに抱きつく形となった。
しかしデートリックが一流なら、モッティはさらにその上を行く。
モッティは背中に飛び乗ったデートリックを払いのける。
すかさずオゼルが正面から、モッティを押さえつけた。
銃を持っている右手を握って、自分を照準から外す。
しかし、オゼルが手首を捻って銃を落とそうとした時、その銃の引き金が引かれた。
弾は操縦していたドリング・・・の脇を通過して操作パネルに着弾した。
「クソ!」
ドリングが悪態をつく。
格闘しているのは水平飛行中の<スピード>である。
操縦できなくなると、ただいに墜落する危険性があるのだ。
しかし、モッティの指は、再び引き金を引いた。
次は頭上にある操作パネルに命中した。運の悪いことに、これは機体を安定させるブースターの
コントロール装置である。
つまり、機体を安定して飛行できなくなったわけだ。
「逃げろ逃げろ!」
カメラの操作席から立ち上がったロッドが、タッグをつれてフリールームへと急いだ。
フリールームではレックスがベルトをして座っていた。
「あなた達も早く座って!」
タッグが混乱して、アサジンの席につまずく。
「早く座るんだ、博士!」
ロッドがタッグを立ち上がらせると、自らも席に着いた。
機体は急降下を始めていた。
フロストとアサジンも、ロッドとタッグと入れ違いにコックピットに入った。
オゼルがモッティによって操縦席に叩きつけられた。
その隙を見て、フロストが手に持っていた銃に蹴りを入れた。
ハンドガンが吹き飛び、ロッドが座っていたカメラの操作席に転がる。
そしてアサジンがパンチを入れようとした瞬間、彼はモッティに堅いもので殴られた。
それで、一瞬辺りが静寂した。
モッティが持っていたのは、あの200発連射可能な、サブマシンガンだったのだ。
立ち上がったオゼル、隙を見ていたデートリックとフロスト、倒れたアサジンと、それを起こそうとしていたドリング、
皆の視線が、その銃に集中した。
「これで撃たれたくなかったら、俺の言うことを聞け!」
モッティはそう叫んだ。
一時はモッティの流れになった。
しかし、その瞬間、機体は大きく揺れて、再び急降下を始めていた。
バランスを崩すモッティに、フロストがパンチを入れる。
そして先ほどと同じ要領で、デートリックが背中に飛び乗った。
今度はモッティがあがきを見せて、すぐにデートリックを振り払おうとした。
だがデートリックは上手くモッティの首に、腕を巻きつけた。
しかし、それが逆に悲劇を招いてしまった。
モッティはデートリックを振り払おうと、その銃を連射したのだ!
17発放たれて、10発は操縦席の機器に命中した。
「しまった!」
これで、完全に飛行不可能になってしまったわけである。
しかも、運の悪いことに7発は、正面のガラスに命中してしまった。
そのため、高速で飛行している<スピード>船内に、狭い穴から風が入ってくる。
そしてさらに、<スピード>はほぼ垂直に降下を始めた。
「うわ!」
「皆自分の席に戻って、ベルトを締めろ!!」
オゼルが怒鳴る。
モッティは「くそっ」といい、コックピットを飛び出す。
隊員たちは一斉に、コックピットを何とか飛び出すと、苦労の末フリールームにたどり着いた。
「頼むぞ!」
オゼルは操縦席に座って、何とか生きている機器で機体を安定させようとした。
「だめです、船長!コントロール不能です!」
ドリングがそう叫ぶ。
しかし、垂直落下は避けようと、レバーを思い切り引く。
何とか垂直ではなくなったが、2人の前に見えたのは危険なものだった。
「ぶつかるぞ!」
さび付いた塔は<スピード>と衝突すると、折れてしまった。
そして2人の前に広がったのは、青い海だった。
「海だ!ここに下りるぞ!」
ドリングが頷くが、正面を見てぎょっとした。
「だめです!すぐそこに島があります!このまま行くと、島に降りることに!」
オゼルも、頑張って前を向く。
確かにそこには、まだ緑の残る従来のままの島があった。
「ドリング、機首を上げて、一旦上昇しろ!」
ドリングが精一杯レバーを引く。
しかし、もう間に合わないことは明確であった。
「くそ!」
オゼルが悪態をついて、インカムに向かって話す。
「みんな席について、ベルトを締めろ!墜落するぞ!!」
そう叫んだ瞬間、2人の前に巨大な木が現れた。
そしてオゼルとドリングが同時に頭を下げた瞬間、その気がガラスを割ってコックピットに侵入した。
そして衝撃が走った。
『墜落するぞ!』
オゼルの声がフリールームに響き渡った瞬間、体が跳ね上げられるような衝撃に襲われた。
ロッド、レックス、タッグはベルトを締めていたため、頭を低くするだけでよかった。
しかし、モッティ、デートリック、アサジン、フロストの4人は、まだ席に到達していなかったのだ。
不安定な機体なために、あっちにぶつけられたり叩きつけられたりしていた。
モッティがようやく手前の先にたどり着き、ベルトを締めた。
デートリックはフリールームを飛び出していた。
コックピットとの間にある狭い廊下であっちこっち叩きつけられていた。
アサジンは最初の衝撃で一番遠くに飛ばされ、武器庫の中に転げ落ちた。
その瞬間にかけてあった銃が彼の体に降りそそぐ。
フロストは最初の衝撃で転倒し、椅子の角に頭をぶつけてしまった。
彼はそれで気を失ってしまった。
<スピード>はまず一番高い木に衝突した。
そして内陸に侵入し、生えていた木をどんどんなぎ倒して、最終的にちょうど森の中央部で止まった。
そこは丁度、あの生物の住処でもあった・・・
「船長、船長!起きてください!!」
ドリングのその声で、オゼルはゆっくりと目を開けた。
オゼルは椅子ごと席を離れて倒れていたらしい。
「ドリング・・・墜ちたのか・・・?」
その問いに、ドリングはこくりと頷く。
参ったな、と頭を抱えると、目の前に木の枝があるのに気付く。
コックピットの正面ガラスが割れ、木や葉っぱが機内に入り込んでいた。
「しまったな・・・」
ドリングは機器を構っている。
しかし、到底動く見込みは無さそうだ。
「あ・・・」
オゼルが思い出したかのように立ち上がる。
「他の人たちは・・・」
扉を開けると、廊下にデートリックが倒れていた。
簡単に体のチェックをすると頭にあざがある。
「デートリック」
オゼルはそう言って、意識のあるデートリックを起き上がらせる。
「大丈夫か?」
デートリックは頭をさすりつつも立ち上がった。
「まったく・・・」
そういって、オゼルの顔をまじまじと見る。
「いい操縦してくれるよな・・・」
その嫌味にオゼルは笑顔になると、デートリックの肩を叩いた。
「さ、フリールームに行くぞ」
2人はフリールームに行くと、なんとも言えない空気が漂っていた。
ロッド、レックス、タッグの3人は椅子に座ったまま硬直している。
「おい、大丈夫か?」
デートリックがロッドの前に走っていく。
ロッドは視線だけをデートリックに移してうなずいた。
「・・・うん」
「ならベルトを外して、立ち上がってくれないか」
デートリックはそう言うと、倒れている人物に目をやった。
壁際にぐったりと倒れている。フロストだ。
「フロスト!」
デートリックは叫んでフロストの元に駆け寄る。
そして脈を測る。生きているのは生きている。
「彼は衝撃で転んで、頭をぶつけたのよ」
立ち上がったレックスが、冷静に解説をする。
そして小さくうめき声を上げながら、フロストが目を覚ました。
「良かった・・・」
レックスが感激のあまり声をあげる。
オゼルはタッグを立たせると、辺りを見回した。
「おい、1人いないぞ」
その声に、全員が人数を確認する。
そしてタッグが気付いた。
「あれだ・・・顔が良い奴が居ないじゃないか」
「アサジンか!?」
「いや、俺はここだ・・・」
その声に振り返ると、梯子を登ってフリールームの床下からアサジンが顔を出した。
「お前、なんで武器庫なんかにいるんだよ!?」
そう言いつつもデートリックがアサジンを抱きしめる。
「無事で良かった」
「ああ、俺もだ」
アサジンがそういって2人が離れる。
すると今度は廊下からの扉が開いて、ドリングが入ってきた。
「どうなったんだ?」
パニックになりながら、タッグが早口で訊く。
ドリングはオゼルに目をやった。オゼルが頷く。
話しても問題ないという合図だ。ドリングはそれを見て話し出した。
「この船は墜落した」
それを聞いて、今まで固まっていたロッドが声をあげる。
「そんなこと分かってるよ」
それにデートリックも便乗する。
「ああ、ここの窓からは緑の葉っぱちゃんが見えるぜ」
そんな冗談にのらまいと、ドリングが首を振る。
「とにかく何か対策を考えないと」
「そうだ。ここらにはウイルス生物達がうようよいる!」
タッグが未だパニックのまま叫んだ。
「マジか・・・」
「当たり前だろ!ここらは完全に生息地帯だ」
愕然とするドリングに、タッグは無情にも答えた。
「しかも、奴らは密林を望む・・・生息にもっとも適しているのは、湿気の多い密林だ。
ここは恐らく島だろう・・・やつらがもっとも好きな所だ・・・」
タッグが解説をする。
それにオゼルは気になって質問した。
「なぜそんなことが分かる?」
「地球の時の生息分布を見れば分かる。あの時は、人類という邪魔者を消すために普通の地域にも進出しただろう。
人類がいなくなった今、どんな所でも生息できるはずなのに、さっき通ってきた所に
ウイルス生物があまり見られなかったのはそのためだろうな・・・」
タッグの説明に、全員がうつむく。
「つまり住み心地のいい我が家から離れてない・・・で、その我が家がここか」
デートリックがまとめてみせると、タッグは頷いた。
「でも、島や密林なんて今でもそこら中にあるだろ・・・ここだけ多くいるとは・・・」
アサジンが少しでも空気を明るくしようとしたが、すぐに黙り込んでしまった。
「クソ・・・」
デートリックが一歩後ろで事態をみているモッティに目をやった。
「お前のせいだぞ!」
そういってモッティの胸倉を掴む。
しかし、冷静なモッティの膝蹴りによって、あえなく倒れこんでしまった。
「黙ってろ」
「それはお前だ、モッティ」
オゼルがモッティに銃を向けた。
アサジン、フロスト、ドリングも自前の銃を向ける。
モッティは振り返って、オゼルを眺めた。
「銃で脅しているつもりなんだろうが・・・そうは行きませんよ、船長・・・」
そう言うと、モッティはオゼルの銃を蹴りつけると、そのままオゼルも蹴りつけた。
「クソ!」
次の瞬間、銃声が轟いた。
フロストが勢いのあまり引き金を引いてしまったのだ。
しかし、モッティはその威嚇も気にもせず、フロストを殴りつけた。
そしてアサジンを払い手でどかすと、モッティは外に出て行った。
危険な、ウイルス生物達の住処へと・・・
モッティが出て行った後、乗組員達はフリールームに集まって会議をしていた。
これからのことだ。
「よし、まずは救難信号を送ろう。それからだ」
オゼルが殴られた頬を、緊急パックの中にあった保冷剤で冷やしながら言う。
「ですが船長・・・」
ドリングがもの言いたげに、弱気に口に出した。
「システムがダウンしました・・・だから、救難信号を送るにも修理する時間が必要です」
その言葉に、一同沈黙する。
「早速修理にかかろう。フロスト、ドリングと一緒に修理すべき所を修理してくれ」
オゼルの命令で、2人が一斉に立ち上がりコックピットのほうへ歩いていった。
しばらくして、レックスが口を開いた。
「この地球の大気の状態を墜落前に調べたけど、特に以上は無しよ。いざとなれば外に出れるわ」
「いざとなったら・・・だな」
ロッドが念を押して言う。外には出たくないという意思表示だ。
「しかし救難信号を送って、救助が来るまで5,6時間はかかる。その間にもしリッカーやら
フィアがやってきたらどうする・・・?太刀打ちできなくなって、逃げるしかない」
アサジンが冷静に解説する。
そのとき、コックピットのほうからキンキン音が響いた。
皆その場に硬直したが、実際はフロストがパネルを外すために用いたレーザーカッターの音である。
「うるさいな!閉めるぞ!」
デートリックがいらだって、通路へと通ずる扉を閉じた。
「・・・で?」
デートリックが振向きざまに、オゼルを見た。
「今すべきことは?」
オゼルはゆっくり答えた。
「バリケードだな」
一匹の生物が、林をゆっくりと抜けて、視界に墜落した<スピード>を捉えた。
剥き出しの筋肉から伸びる長い爪で地面をしっかりと捉えている。
そして小さな丸い目で、距離を測りながら、確実に<スピード>に近づいていった。
よだれもたらしながら・・・
レーザーカッタで、パネルを空けたフロストは、内部の状況を見て安心した。
「コードが2,3本衝撃で逝かれただけの様だ。これなら、コードを針金かなんかでつなげばすぐ治るよ。
・・・少なくとも救助信号を送れるようにはなる」
フロストがそういって、キットから細い針金を持ち、それをペンチで挟んだ。
後ろでは、ドリングが別のパネルをいじくっている。
「フロスト、お前修理屋なのか?妙に慣れた手つきだな」
ドリングの問いに、フロストは笑いながら答えた。
「元・・・だけど、修理とか専門だったんだ」
そう言いながらペンチで銅線と針金を結んで、1つに繋いだ。
「よっしゃ!」
フロストが感激のあまり叫ぶ。
「救難信号を送れるぞ!」
「やったな!」
そしてドリングと腕をぶつけ合う。
「よし、俺が救難信号を送る。フロスト、お前は船長に連絡しろ」
「分かった」
そういってドリングがパネルの前に立ち、フロストはフリールームへと向かうため背を向けた。
ドリングがパネルをいじって、救難信号を送った。
合図のアラームが鳴り響く。
「よし!」
ドリングは、背を向けて走るフロストに叫んだ。
「これで帰れ・・・うぁ!!」
フロストは振向いた。
感激しきっていたドリングの声が途中で途切れたからだ。
「ドリング?」
フロストは異変を感じて、ゆっくりとコックピットへと戻り始めた。
「どこへ行った?」
次の瞬間、割れたガラスの箇所を抜けて、何かが投げ入れられた。
落ちてきたのは血にまみれたドリングであった。
「!?」
フロストは絶句して、声も出なかった。
しかし、次の瞬間には声が出ていた。
ガラスがなくなった正面・・・丁度草で溢れている中から、一瞬の後に何かが現れたのだ。
剥き出しの筋肉に長い爪、鋭い歯が並ぶ口から伸びる長い舌・・・
ウイルス生物・・・リッカーである。
「クソ!」
フロストは背を向けて走り出した。
しかし、次の瞬間、背中をリッカーの爪で引き裂かれた。
「!」
その衝撃で倒れこむ。
しかし、丁度その時フリールームの扉が開いた。
「修理終わった・・・フロスト!」
ロッドは背中を血に染めて、倒れているフロストを見つけて後退した。
「どうした!」
オゼルもすぐにやってきた。
そして正面にいるモンスターにも気付いた。
「リッカー・・・」
大きくリッカーが唸って、猛ダッシュしてきた。
そして大きくジャンプして、オゼルに飛びつこうとした。
「オゼル伏せろ!!」
しかし、瞬時に後ろから聞こえた声でオゼルは伏せた。
そこにはチェーンガンを構えた、デートリックがたっていた。
「これでも喰らいやがれ!!」
デートリックが引き金を引いた。
銃口の小さなガトリングから、無数の銃弾が発射される。
全てリッカーに命中した。
リッカーは空中で血しぶきを上げながら絶命し、丁度伏せたオゼルの前に落下した。
「やったぜ・・・」
デートリックがガンを手放すと、大きな音を立てて落下した。
しかし、デートリック以外に喜びの表情を見せるものはいなかった。
ウイルス生物がいて、確実に生命の危険にさらされていることに気付いたのだから。
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