幸せな大学生活・4

幸せは長くは続かないと昔から言われている。

しかしそれは幸せを自分から手放している、捨てている、自己防衛。
もしくは捨てられ傷つくと言う大事の前の小事…辛い状態からの逃避なのかもしれない。
兎に角僕は幸せな日々を両天秤に掛け悦に浸る毎日を過ごしていた。
客観的に見たら最低の事だ。

年上の女性。
年下の彼女。

僕の天秤は完全に年下の彼女の方へ傾いていた。
毎日のように一緒に大学へ登校し保健室に通った。
メールも毎日するようになった。
薬事法違反も頻繁に行なわれるようになった。

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僕は年上の女性ともコンタクトをとっていた


2004年5月14日

僕は実際揺れていた。
でも心では完全に年下の同じ大学に通う彼女に確実に惹かれていた。
それは決して年上の女性に関心がなかったわけでは無い。
年上の女性とは肉体関係もある意味結んでいるのだ。
それも初体験を。
僕はどうしたらいいのか分からない風を装っていただけなのかもしれない。
人間とは答えが見つかっていても自分の立場が周りから羨まれる状況の場合、自然と答えが見つからないフリをしてしまうものだ。
持て囃され人より少しでも勝る部分を探し集め自分の強みと勘違いしてしまう。
どう考えても羨まれる状況の時こそ人は悲劇のヒロインを気取りたがるものだ。

僕は彼女との図書館でのキス以来、真剣に彼女の事を考えるようになった。
意味も無く保健室で待ち合わせをしては二人でお互いの体温を確かめ合っていた。
彼女の手首のラインは日に日に生傷から古傷として様子を変え始めた。

~~~~~

そんなある日僕は家に帰ると同時に電話を受けた。
年上の女性からだった。

「今、横浜で女友達と2人で遊んでるんだけど来ない? あの○○○だよ!」

その女性の友達と言うのも僕のネットでの知り合い。
会うのは初めてだったがなんの躊躇いも無く女性の待つ横浜に向かった。
横浜には電車で30分の位置に僕は住んでいる。
僕はネットでの知り合いの人…同じカテゴライズのメンヘラの方と会うのが楽しみだった。
もちろん目的はお薬の交換。
ありったけのお薬をバッグの中に詰め込んで横浜に向かった。

僕は横浜に着いてまず、遠巻きに呼びだした人物を見渡せる位置に立った。
そこは地下からくるエレベーターと公衆電話の隙間。
恐らく1メートルも無いその隙間に僕は隠れて彼女たちを僕の視界に入る場所に呼んだ。
彼女たちは喫茶店でお茶をしていたらしく普通にキョロキョロしながら横浜の駅前のジュース屋さんの前に立った。

僕は身長が170ある。
女性は171ある。
その友人も恐らく170前後の身長がある。

ヒールを履かれたら僕は確実に身長では負けてしまう。
…遠巻きに二人の女性を眺めた後少し躊躇いながら僕はその隙間から顔を覗かせた。
二人とも「何故そこに?!」と突っ込んでくれた。
突っ込まれて気分は良かった(30分近く身を潜めていましたから)

僕と年上の女性はこれで会うのが3回目だった。
だから自然と会話は弾んだ。
しかし初対面の女性とはナカナカどうして上手く会話が弾まなかった。
緊張だろうか?
しかし僕はめげずにお薬の話をぶつけていった。

~~~~~

この日は金曜日。
当たり前のように横浜と言う街は賑わっていた。
ドコの店に飛び込んでも一杯だった。
しかしもう歩くのも疲れたのである中華料理屋で並ぶ事にした。

時間潰しはもちろんお薬の話題。
しかし初対面の女性に突っ込んだ話が聞けるだろうか?
自問自答の中、ふいに思い出した事が頭の中で弾けた。

「リストカッター」

そう、初対面の女性はリストカッターだったのだ。
少し寒い空の下長袖で隠れた彼女のリスカの痕を見させてもらった。

リスカは手首だけには留まらず二の腕の方にまでラインが走っていた。
左、右、関係なく走るラインと…四角い皮膚を削り取った痕?

「これはどうしたの?」

と僕が聞くと彼女は…

「ツメきりで切り取った」と言った。

彼女の傷跡を触るたびに僕の顔は綻んだ。
彼女も僕の異常なまでの気持ちの高ぶりに気がついていつの間にか意気投合していた。
料理店の待合室で彼女に「デパスを1シート」を渡した。
彼女は僕に「エリミン」といくつかの薬をくれた。
彼女の薬ケースは可愛いキティちゃんのピルケース。
僕は無印良品のペンケースだった。

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いつまでたっても料理店の席が空かないので場所を移すことにした。
いつものカラオケ屋である。
今日はオールするつもりではなかったので1人2500円で飲み放題歌いたい放題のコースにした。

年上の女性は疲れたと言ってすぐに寝てしまった。
僕とメンヘラの女性は二人で何時間もお酒を飲みながら会話も無く歌い続けた。

宴もたけなわの頃に年上の女性は起きだし嫌に元気な口調で飲み会の後のお決まりの文句。

「ラーメン食べに行こう」

を口にした。
3人でプリクラを撮り、それからラーメン屋へ行った。
2人はヘロヘロ、1人はギラギラ(寝とったからネ)の状態で2階建てのラーメン屋へラーメンを食べに行った。
僕はもう味も何も分からない位酔っていた。
僕は年上の女性と少し二人で話したかったのだが、メンヘラの彼女が尋常じゃ無いくらい酔っていたので横浜の駅で別れた。

この時に薬事法違反をしていなかったら…
僕の人生は変わっていただろう。


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