週末家出計画案

週末家出計画案

☆桂浜ミーティング2002



<2002年10月号掲載>

訳あって3年も封印していたゼファー750に再びエンジンをかけたのは今年の春だった。

タイヤを交換して車検を受け久しぶりに跨ってみると・・・こわい。。。
自分のバイクじゃないみたい。
3年前には感じなかった、この違和感は何!?
私のゼファー・・・こんなに大きかったっけ・・・。

思い出せば最後に乗って宮崎県の高千穂へ行ってから3年が経つ。
その間に私の年は20代から30代になり体重は減り…昔と比べると体力もガタ落ち。

それでも『乗ってるうちに慣れるだろう』と思って走り出した。
グルッとそこらを回るだけでメッチャ緊張ー!
でも30分くらい走っていると、とりあえずカンだけは戻ってきたようだ。

バイクに乗るとぶらりと遠くに行きたくなってくる。
あー・・・でも行きたいところって何処!?
地図を見ながら独り考える日々が続いた。

『どこへ行こうかなぁ~』
こんな事を考えられる時間ってのは楽しい。

しかし、私は今まで一人で遠出をした事がなかった・・・。
ロングツーリングに行く時はいつでもバイク仲間と一緒だったから。
以前は大人数で走ることを楽しみにしていた。

今の私には『バイク仲間』は一人もいない。
でも今さら何処かのツーリングチームに入ってどうこう…って気力もナイ。
きっと今は誰かと一緒に走っても自分が楽しめないだろうし。
・・・だって運転がヘタッピだから。。。

そう!どちらかと言えば、今は一人で自由なペースで走りたい。
目的地も時間も、自分で決めて旅をしたい。
でも・・・たどり着いた先には、仲間がいたらいいよなあ ←これをワガママと言う。

そんな思いから…

某雑誌へ『現地集合・現地解散』の集会告知記事を出していただく事にした。




『気が付けばブランク3年。ぶらりと遠くに出かけよう!』

<↑2002年10月号掲載のキャッチ>

「水平線のある場所へ行きたい」

それが高知の桂浜を選んだ理由。
雑誌の集会告知記事には「雨天決行」と書いてもらった。

でも実際雨なんか降ったら誰も来ないだろうなあ・・・と思いつつ。

ま、それでもいいのだ。

誰も来てくれなくってもね。

だって、私が『そこへ行きたい』のだから。

本来の目的は一人で走ること。
その先に何があるのか、なんて走ってみなきゃわからない。

桂浜へ行く前日、広島は土っ砂降りの雨だった。
前が見えず、道路が小川のようになるほど降った。
雨は次の日の朝まで降り続いたので、カッパを用意していたら
出かける直前になって不思議なほどピタリとやんだ。

今日は『海の日』

太平洋を、水平線を見に行くのにふさわしい日なのである。

朝6時に出発し、宇品港から松山行きのフェリーに乗った。
2時間40分後に船を降りると・・・そこはもう四国!
私の初めての一人旅の始まりだっ♪

松山ICから(相当迷って)高速に乗り石鎚SAで休憩した。
朝ご飯を食べていなかったので早めの昼ご飯にする。

私の身体はとっても燃費がいい。
少しのご飯でいつでも元気だからねー。

さて身体に燃料を補充したところで再度出発。

元気になって飛ばしていると、広島ナンバーの団体さんに追いついてしまった。
団体の中には女の子も数名いる。
ゼファーの子もいた。

『私も数年前はこの中にいたなぁ・・・』

なんて思いながら自分に訊いた。

『どうしよう?』

『このまま後ろを走る?』

『ソレって、なんか図々しくない?』

確かに仲間でもないのに、後ろをくっ付いて走ってるって変な感じがする。
まさか嫌がられたりしないだろうけど・・・。

『いいや、抜いちゃえ』

団体さんは、ゆっくりペースで走っていたので抜く事にした。

高速道路で自分より排気量の大きいバイクを抜くのも初めてだ。
『しかし見事にみんなリッターバイクばっかりだな』

カチコチに緊張しつつ『一人って素晴らしーい!』と幸せを噛みしめつつ…
走り去った。



高知ICで降りて高知市街地を走った。
車が多い…
暑い…
頭がボーっとしてしまう。

その時

フォン!!

いつもの聞き慣れた音がしてハっとした。
高知は路面電車が走っているのだ。広島と同じ。
広島で言うとここが紙屋町あたりになるのかな。

32号線から花海道へ交わるT字路を登ると、いきなり海が見えた。

「うっわー!キレイ!!」

ヘルメットの中で声が出た。
ふいな出来事が起こると無意識に独り言を言ってしまうよね?


もうすぐ桂浜だ。

『どんな所だろう?』

『誰か来てくれているのかな?』


すぐ先のことでも、確かな予想など出来はしない。

それがね、


バイクの楽しみの一つなんだよね。




ミーティングの場所に選んだ桂浜公園駐車場は少し高台にある。

くねくね道を登り駐車場に入るとインパルスとニンジャが来ているのが見えた。
しかも目印に指定した赤いバンダナがミラーに巻いてあった。

やったー!

来てくれた人がいたよー。

でも指定した時間よりまだかなり早い。
主催者より早く来てるって・・・どんな人だろう?


インパルスのナットーさんは愛車のトランザルプが車検中なので、わざわざ他人に借りて香川県の高松から来てくれた。
四国に移住してまだ20日ほどらしい。

愛媛県の今治から来てくれた元藤さんのニンジャには
『チーム スナフキン』とか『四国ニンジャ会』とか描いてあって何だか走り屋っぽい。
シンヤデイにはバトルスーツで行ったそうだ。

そこへニンジャのホシさんが現れた。
ニンジャなのに稲妻のペイント、黄色いホイール、フレームに取り付けられたペットボトルの中に怪しげな液体。
他にもたくさんカスタムしている様子。

長いバイク歴の割にはバイクの知識のナイ私にはサッパリ判らなかったけど
「バイクっていじればいじるほどドツボ。しかしやった以上は元に戻すわけにもいかず・・・」
と話してくれた。
元藤さんも頷いている。
どうやらニンジャにはお金がかかるものらしい。

私のゼファーはリアサスをオーリンズ、バーエンドとハンドルクランプをブルーアルマイト、
マフラーをアドバンテージのチタンサイレンサーにしている。

私のカスタム理由はまず色がキレイだから。
それと軽量化して乗りやすくしたかったから。
パワーや音なんてあまり気にしていない。



ところで、1時間過ぎても私を含めて合計4人。

「これだけっスかね?」

と話しているとナント!!
12台の集団でバイクが入ってきたではないですか!

私は嬉しくなって寄って行き

「こんにちわー!雑誌見て来られたんですよね?」

と声をかけたら

「・・・違う。アナタ、さっき高速で俺らを抜いてったゼファーでしょ…」

と言われてしまった。

ひゃー。
これは何かの罰ゲーム!?
愛媛で抜いた時にはココ桂浜で再会するなんて思ってもみなかったよ。^^;
団体さんは広島の中山にあるバイク屋のツーリングらしい。

そうこうしていると今度は親子のタンデムが2台現れた。

『うーん。これは違うかなあ?』

先ほどの恥かしい失敗のせいもあって慎重になってしまったけど。。。
TDR250の河野さんと息子の諒君は地元の高知市から、XJR400の今上さんと太郎君は窪川町から来てくれた。
親子でのツーリング、楽しそうだなあ。
河野さんと今上さんは幼なじみで息子さん同士も年が同じだから仲が良いらしい。

諒君はそのあとKSRでやって来た野中君にバイクの乗り方を教わって上手に乗れるようになった。
もしかしてバイクは初体験かな?

最後に男女がZZR1100とマグナ250に乗って現れた。

「妹のやつが、どーしても行きたい!ってゆーからついて来たよ」
と男のほうが言った。
絶対カップルに見えたんだけど・・・兄妹らしい。
しかし似てないな・・・。

でも兄妹でツーリングってのもいいなあ~。


妹の乙月ちゃんは雑誌に掲載した記事から私が女ってことを見破っていたらしい。
女のカンって凄い。^^;

とにかく女の子が来てくれたのは非常に嬉しい!
乙月ちゃんと2人で浜を散歩した。

すると乙月ちゃんが

「実は私・・・お兄ちゃんにかくしてることがあるんです」
と言った。

えええ?・・・仲良し兄妹の間にかくしごとが!?




「私ね・・・今年の春に大型2輪免許を取ったんですけど、それがどうしてもお兄ちゃんに言えなくて・・・」

えー?どうして!?

「教習所に申し込みをして、すぐ後にお兄ちゃんの友達が事故で亡くなって・・・それからは私の事を凄く心配するようになったし、お兄ちゃんの落ち込んでる顔を見てたら何か言えなくなっちゃって・・・」

バイクで辛い思いをする人は大勢いる。

それでも・・・私もまだ乗っている。
どうしてなのかな・・・。

「はやく話した方がいいよ」
そう言うと
「そうですよね」
乙月ちゃんが頷いた。

やっぱこの兄妹っていいな。。。


午後3時。

別にミーティングに来たわけでもなかった徳島ナンバーGSX750の日下さんをナンパして強引に引き入れた。

これで合計12人!

集合写真を撮るために全員で坂本龍馬像の前に並ぶ。

しかしこの龍馬像って、、、デッカイなー。
台座だけで8.1m、その上の龍馬は5.3mもある。
どんなに離れたって像と一緒に写真に納まるのはのは無理だ。
そんなわけで台座部分だけの写真になってしまった。

これでバイクミーティングは終了。

全員と初対面だったけどバイクを中心にいろんな話が出来た。
暑い中を集まってくれてありがとう!




現地解散のつもりだったので皆を見送ってから・・・と思っていたら乙月ちゃんが
「今からどうするんですか?」と私に聞いた。

「宿行って寝ます」と答えたら
「良かったら私が高知の美味しい店に案内しましょうか?」と言ってくれた!

それでナットーさんとホシさんも一緒に行く事になり
お兄ちゃんが「俺んとこに泊まればいいよ」と言ってくれた。

初対面なのになんて親切な兄妹なんだろう!!

兄妹が案内してくれた『まんぷくや』は本当に美味しかった♪
特にお兄ちゃんが「これは高知でしか食えんよ!」と勧めてくれたウツボの唐揚げは最っっ高!
鰹のタタキもさすが本場は違う!って感じ。幸せすぎる~。

酒の席ではみんなのツーリング話が最高の肴だった。
みんなネタ多いねえ。
お腹がよじれるほど笑ってしまった。

まさか2次会があるなんて自分でも想像も出来なかった。。。
行ってみなきゃわからないものだね。

『まんぷくや』を出る頃には深夜を回っていたけれど、路上でアイスクリン屋を見つけて食べた。
このアイスクリンってアイスクリームとシャーベットを混ぜ合わせたような微妙な感触。
その上なんだか懐かしい味がする。一度食べると忘れられない。

そのあと屋台のラーメンで〆たところで、本当に解散。

ナットーさんとホシさんはお兄ちゃんの家へ。
乙月ちゃんは自宅へ。

私は宿へ帰り明日の帰路に備えて眠った。。。




同じ宿に泊まっていた女の子たちから聞いた店が気になったので帰りに寄って見ることに。
そこは南国インターのすぐちかくにある 『ゆず庵』 オムライスの専門店。
ここで食べたオムライスも本当に美味しかった。

早めの昼ご飯をすませたところで一路広島へ。。。
松山観光港からフェリーに乗り込むと、もう帰ったような気持ちになってくる。
いかんなあ。

フェリーを降りて広島市街地を通ると

『フォン!!』

また聞き慣れた音がした。

その瞬間、さっきまでいた高知を懐かしく思う。

いい所だったなあ・・・高知。
街も人も大好きになった。必ずまた行きたいと思う。


太田川沿いの道を走り、あと5分で家に着くってところの信号で止まった。
ふと空を見上げると、今まで見たことも無いようなオーロラのような雲が広がっていた。

ゼファーを端へ寄せてしばらく見入る。
少しでも旅の余韻を楽しみたかったのかもしれない。

初めての一人旅でたくさんの人たちに出会えて本当に嬉しかった。
人生はほんの少しの勇気と発想で、良くも悪くも変わっていく。

実は桂浜へ行く数日前、ゼファーでこけて足に怪我をした。
たいした事のない傷だったんだけど、自分が情けなくなって
「こんなんで本当に一人で高知まで行けるのかな・・・」と不安に思った。

でも弱気になったらそこで終わる。
なんであろうと途中でやめるのはいやだった。

今、旅を終えてみて『諦めなくて本当に良かった』と心底思う。
ほんの少しだけど自信もついた。

さて、次は何をしよう?どこへ行こう?
ますますバイクが楽しくなりそうだ。

最後に

ミーティングに来てくれたみなさん、本当にありがとう!

また、どこかで会おうね!


終わり。


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