小道の詩

小道の詩

ironic bus


窓に当たる水滴音
華麗なリズムを刻む        
あまりに静かすぎる車内
それでも雨をきって走る      
死人と僕を乗せ             


停まります、と                      
運転手の低い声
搭乗した青年
前の席に腰を下ろす
彼の曲がった背
死んだ空気にすぐ溶けこむ
死臭がする満員の車内
生きてる気がしない




運転手の低い唸り声             
またバスが停まる
乗り込んだ老婆
座席に座れず立ったまま
誰も彼女に気付かない
老婆を食ったバスは走る
泥はねる暗い道



座れない老婆に気付いた青年
どうぞと老婆に席を譲る
僕は急に息苦しくなる
耐えきれず窓の外に目をやる
人間を乗せたバスは走る
皮肉なほど光る道の上

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: