サムライ2


   サムライ2


 勉強中にふと見たその夢。
今までと違う。すごく鮮明に覚えてる。
どうして私がそんな夢を見るのか
この夢は何か理由があるのか
それさえもわからないけど。

私はその時確かにサムライに恋してたんだ。
夢の中の私だけじゃない。現実の、今の私も。

「…私、…バカみたい…」

ずっとドキドキして、その鼓動があまりにも痛くて、胸を突き破りそうで。

怖かった。

『サムライに会いたい…』
でもこの気持ちが今後叶うのかすらわからない。
だってただの夢だから。不定期的に見てた夢だから。
そう自分に言い聞かせるとまた涙がこぼれた。
その涙は頬を伝って、しずくを落とし、じんとあつい熱を残し、現実であることを無理矢理感じさせた。


 もうユイに言うのはやめよう…。バカにされるだけだ。
そう思って、それからユイにはその夢のことを話さなくなった。


 日曜日。
今日は一日中寝て、絶対サムライの夢を見てやるんだ。
そう思っていた。でもそういう時に限ってなぜか眠れない…。そういうもんなんだよね。

 ただただゴロッとしてるだけだから何だか余計にだるくなってしまった。
そんな時、ユイからメールが入った。
『今暇してんでしょー?ちょっと買い物付き合ってよ☆』
…こんな会話も長年ダチやってるからできるけど、むかつくっ。
でもどうせ眠れないんならと思ってユイの買い物に付き合うことにした。

ホントに眠れないんだ…。
眠れた日でも最近普通の夢すら見ない…。どうして??
より一層強くなるキモチ。
----サムライに会いたい

 ラフなカッコに着替えて外に出た。
今思えばその時の私は多分頭がどうかしてたんだと思う。
 普通の住宅地を歩いて街に出る。住宅地内は車の通りも少ない。
そんな安全な場所だった。
でもそんな時、ふっと気分が変わった。
そこにサムライがいるような気がした。
『そこ』というのが、どこって聞かれるとどこだかわかんないけど、とにかく『そこ』で、とにかく私は走った。
そしてふっと立ち止まった。
だってそこからサムライのいる場所に行けるような気がしたから。
でも
「えっ?!」とか「キャア!何?!」とかいう声が聞こえて、

何の感覚もない。
気付いたら夢の世界にいた。
やっとこれたんだ。そういう喜びに浸ってた。
ただその時はまだ現実と重なって、声だけ聞こえてた。
しばらくしたら待ちくたびれてたハズのユイが駆けつけて、まるで何かのドラマみたいに。
私を夢の世界にやったバイクが頭もとに止まってて、人が遠巻きに私を囲んで。

でもそんなのどうでもよかった。
私は夢に来ることができたんだから。
サムライに会えるんだから。

そう思うと、現実はどこかへ飛んだ。
そして私は夢の私と一つになった。シンクロじゃない。一つだった。
私の意識はあるけれど、それはまるで夢じゃなくて、現実のようで、夢の私は私と同じことを考え、同じ行動を取った。
外見以外はまったく同じの夢の私と現実の私だから、何の変わりもなかった。

そして私は、夢の中の過去をすべて思い出した。

私が今いる場所は、空がとても幻想的に青く、紫がかっていて、不思議な風をおくる。
まさに今ここが現実で、肌に触れるものすべてが現実だった。

「トモカ」

私の名前を呼ぶ声。
そう、この世界での私の名前はトモカ。
呼ぶ声は今までの雑音の入った声よりももっと澄んで、肌に感じた。
振り向くとサムライが立っていた。


つづく




© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: