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過去に書いた詩で、懐かしい詩は、たとえば、■ 小林ナオジ私とMは夜の遊戯場で少年から男を買った部屋に戻った私らは男を狭く鏡の多い浴室に連れ込みていねいに男を洗った背中には大きな傷があった傷跡を何度もなでさすりながら私らは男を浴室で飼うことにした男はいつも湿っていた慎重に選んだいくぶん腐った食べ物を私らは浴室に運んだ散歩のときには男のふやけた顔に丹念に化粧をして連れ歩いた私らは相談して男を小林ナオジと名づけ働かせた小林ナオジは重い荷物を夜の果てへと夢中になって運び続けた少年が小林ナオジを買い戻しに来たとき少年を裸にして浴室に閉じ込めた私とMが入浴するときには浴室の外に立たせて楽しんだ寒さに震える明け方には四人で輪になって抱き合い激しくシャワーを浴びた夜の森へ旅に出る重い荷物をおろし焚火を囲み小林ナオジは獣になって歌う焼けた裸から重い肉が落ちていく夜どおし騒いだあと腹の減った私らは小林ナオジの肉を食らい余った肉を池に放り込む肉は沈み血は一面に拡がり小林ナオジはいつもわらっている■ 最期の夏熱の樹のふもとで祝う葉を燃やす枝が燃える根にへばり付いた土は地下の闇深く焼け落ちる耳朶から上は残り腰は熱の海に沈み中間は剥奪されたまま最期の夏が枯れていく深い穴で横たわる薄目を開けて光を飛ばせば遠い所で浮かんでいる奇形物満月の縁から伸び出してくる青い紐になって月の植物は落ちてくる腐れかかった花びら一枚になんとかくっついている茎と葉の三枚ほどの姿くるくるまわって落ちてくる手を開き腕を伸ばすこの夏が終わればもうそのようにも強く驚いてはいられないだろう私を縛りあげていくかすかな音分からない音どうしても分からない音風はいっそう強く奪いなにひとつ抱き取れはしない■ 落音声叩き潰され無表情な黙殺戸惑い震える声身体から漏れ出し声から音の塊が落ちる音はすとんと音の池に沈む音の無い声あての無い静寂を求めて滑り彷徨うついに静寂を見い出せず音の池深く沈んだ音を掬い上げ浮遊する声ひたすら掴み壊れた音を声に埋め込む声強く音を吸い込み有らん限りに発声す■
2025年07月29日
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過去に書いた詩で、お気に入りの詩は、たとえば、■ 鳥鳥は僕の外から僕の中へと飛びこんできて僕の中をみごとに飛翔僕を突き抜けた瞬間すべては僕の中僕の中で雲は浮かんでいる僕の中で鳥は飛んでいる■ 行方不明目の前の風景があるばかり場所の名を知らないここという場所から もうひとつのここという場所へ僕は驚きながら 移動する僕は明日、ストックホルムのハーガ公園へ行くかのように地下鉄に乗って一時間、ひっそりとした動物園へ今朝、キリンが見つかった薄い檻の中で獣に交じって紛失していた地図帳の一枚を発見するキリンに食べられた北欧の傷口から白夜がはじまる今朝、僕が消えた■ 実験室は寒い不充分な湿気では化学実験室の扉はひらかないプレパラートに蝶を挟むその手つきの鮮やかなこと徹夜実験がつづく放心して消毒液が散乱する眠ってはいけないので大腿を噛む天井に張りついた蝶の羽根を焼く天井の中心点に水分が集まりひとつぶの水滴となって試験管にしたたり落ちる濾過により不純物を取り除いたのちに残る再び不純物もはや誰も出入りしない実験室の隣室は見捨てられているそこには一晩中うずくまっているあなたがいる■
2025年07月24日
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. 塩水計画の有無私にとって「塩水計画」とは何か?塩水計画などなかったかのように意味を失くしたので、塩水で書く。
2025年07月21日
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鴻巣友希子さんのエッセイ集「全身翻訳家」の中の「迷宮の味」に出てくるスペインのホテル「アシェンダ・ベナスーサ」がすごい!『ホテルの建物は、何百年もの間に増改築をくりかえした結果だろうか、迷宮のように入り組んでいる。方向感覚がいい人でも、迷子になれそうだ。あちこちに電話が設置してあり、「迷った方は、×××にお電話ください。その際は何番の電話からおかけになっているかスタッフにお伝えいただくと、敏速なご案内あるいはお迎えが可能です」といったことが書いてある。』
2025年07月17日
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「スリーデイズ」を見ました。すごくおもしろい映画とは言えないだろうけど、脚本がよくできた(でき過ぎ?)映画でした。まあ、おもしろかったです。
2025年07月15日
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何かしら間ちがったゲームをしているようで、裏返す。裏返すと、驚く。
2025年07月11日
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「新対話篇」(東浩紀)に収められている「デラシネの倫理と観光客」での五木寛之さんの発言が、とてもおもしろいです。 たとえば、「ソ連では書類が役に立つという話を事前に聞いていたので、「この人間は政府の重要な人間との対外折衝の必要があってソ連に来ている」という書類を事前につくっておいたんですよね。実在しないサインがあって、実在しない官庁名も入っている。 それがパスポート以上に力があった。いっしょにいた若い連中は逮捕されたけど、ぼくは無事でした。」というような話です。
2025年07月09日
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ひさしぶりに「浮草」(小津安二郎)を見返しました。映画のはじめ18分くらいまでは、とてもおもしろく好きなのですが、(個人的には)18分以降は、映像は好きなのですが、話は嫌いです。なので、はじめ18分くらいまでは、また見たいものです。
2025年07月04日
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2025年の万博も混んではいるけど、1970年の万博の混み具合はすごい!混雑する万博(クリックしてね)ところで、僕は1970年の万博に、小学校の遠足と家族と、2回行ったはずなのだけど、まったくといっていいくらい、ほとんどまったくおぼえてない!
2025年07月02日
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