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2009.12.05
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カテゴリ: 映画・DVD
素敵な映画を見てきました。
ストーリーはいたって普通というか、家を飛ばそうとする以外はとりたてて奇抜でもないし、
普通に先も読めるし、こういうことを言いたいんだってことも最初からわかる。

だけど、その見せ方が丁寧で良かったです。
物や習慣って、思い出があればあるほど変えたり失ったりするのは勇気がいるし、
その中で思い出に語りかけて過ごしていたらそれはそれで幸せかも。
でもそれは二人にとって、本当の幸せなのかなぁ・・・?とか思ったり。
物は物であって、思い出に勝るものは、心の印象に勝る物は何もないとやっぱり思うのですよね。

っていうか細かいデティールのこだわりがすごく良い(笑)。

4点杖だってことに、老人わかってる!!と思いました(笑)。
この杖を見ただけで私の心は鷲づかみですよ(笑)。安定感が抜群に違うんだからっ。
これ見た瞬間、この話、絶対好きって思えました(笑)。


あは。以下、ストーリー詳細のネタバレ。


カールじいさんは愛する妻のエリーに先立たれ、一人暮らしの頑固なおじいさん。
妻との思い出がつまったその家で、昔からの習慣を守って生活をしています。
ところが周囲は開発が進み、カールじいさんの家は取り残されたまま。
実はその家は、妻エリーと子供の頃出会った家であり、秘密の隠れ家であり、
二人で生活をし、愛をはぐくみ、生き抜いた家なのです。

-この家で君と出会い、君と約束をした。
 この家で、愛を誓い、君と夢を見た。


明るく陽気なエリーと引っ込み思案だけれど優しいカール。まさに二人を象徴する場所なのです。

若い頃、二人は子供を望みますが叶わず、エリーはとても落胆をしてしまいます。
そこでカールは子供の頃、カールが連れて行くと約束した「パラダイスの滝」へ行くことを二人の新たな夢としようと励まします。
(幼い約束であり、二人の愛の中で現実とは遠のいていた物を改めて新しい約束とした)

しかしその夢は結局のところ叶うことなく、そして二人は夢と愛を育みながら人生の終盤を迎え、エリーは先立ちました。



カールじいさんの中でエリーそのものと言えるこの家を手放す事は出来ず、
ずっと心残りだった二人の夢を叶えるために家に沢山の風船をつけて旅立つのです。

探検隊に憧れる、ラッセルという少年もなぜか乗せて。


何度も言うようですがカールじいさんにとって、家はまさに「エリーそのもの」。
だからこそ、誰にも踏み入れられたくはないし、誰にも触らせたくない。
だから、他人もあまり信用しない。
それを奪う人はカールにとっては全て敵とも言えるのですが。
(つまり最終的に憧れていた冒険家がこだわりからくる思い込みの強さで全てを敵に感じてしまい、カールに襲いかかることと対比していて、
それをカールが最終的に倒す事はカール自身の頑なさを倒すことにも通じるのかなって。)

では、家はエリーなのか?

そもそもこの「家」で旅に出たのは、エリーとの夢を追いかけることで、彼の中のエリーに会う事が目的です。
それは同時に、エリーと共に旅に出た、ということでもありますね。
だから、その場に行った(しかも二人にとって大切な方法で)というのは、
二人にとって大切なことだったとは思う。

だけどカールじいさんは、きっとパラダイスの滝で過去の思い出に浸りながら、一人最後の時を迎えようとしていた。
それってエリーが望んでいた「二人の夢」を叶えたことになるんだろうか?

エリーの冒険ブックに「これから私がやること」というページがあって、
そこにはカールとの思い出がどんどんどんどん積み重ねってあった。
それは、実質的にパラダイスの滝に行くことが目的ではなく、
行こうという夢を見て、叶えようと二人で助けあうことが大切で、あくまで「愛」の形だったから。
その軌跡こそが、二人にとっての「パラダイスの滝」であったはず。

だからこそエリーは最後に「新しい夢を見つけてね」という言葉を書き残したんだから。

二人の写真や、アルバムや、大切なソファーや、そしてこの家。
全てそれは思い出を彩るパーツであるし、とても大切なものだけれど、
「家は家であって、家でしかない」ように、それはやっぱりエリーそのものではないんだよね。
二人の夢は、エリーが幸せに旅だったときに本当の意味で完結していたはずだったと思う。
エリーの残した物はだからこそ「物」に過ぎない。

私には実家と呼べる場所がないから、余計そこを感じちゃうのかもしれない。
生まれ育って、家族と共に暮らした家はもうどこにもないけれどでも家族は家族で、
それは場所や物じゃなくて心の中にある思い出なんだよね。私の実家はそこにある。
背比べをした柱も、イタズラ書きをした壁も、桜の咲いた庭も全部私の心の中にあるんだ。

たとえ物を失ったとしても、それを誰かに奪われることはないよね。
記憶がなくなっても、その時の感情を忘れることも奪われる事も絶対無い。
認知症で、話ができなくたって、馴染みの曲を聴かせれば少しずつ表情を取り戻すように、
それは、その感情をいつまでも失うことはないって事の証明だから。

カールとエリーが暮らした家も、エリーそのもののも全てカールの中だけにあって、
そして、それを新たな世代に引き継ぐ事で本当の意味でエリーも家も、カールも生き続けるのだと思った。

最後のエリーのバッチをラッセルにあげるのは、その引き継ぎの意味もあるし、
そして何より「父親に注目されたい」という欲求で行動していた少年が、
本当の意味で「人を(友人を)助けたい」という思いに成長した証でもある。
私はこの場面で、「あぁ、この子が二人の思いをまた引き継いで生かして行くんだな」と思ったら、涙が止まらなくなりました。

「友人」である彼と共に未来を夢見ること。
それは決して過去と決別ではなく、エリーとの思い出があるからこその新しい幸せな夢なんだと思うんだよね。
思い出を大切にするのと、思い出に捕らわれて生きていく事には大きな違いがあるから。
カールは思い出を大切にしながら、未来を夢見てまだまだ元気に生きて行くんだなと感じました。





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Last updated  2009.12.06 01:49:09
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