我流乱舞!

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非情な日常・神速の頭「武」・2


帰る途中、給油していった。レギュラーがまた高くなっていた。
家に着き、バイクを庭に止めると、玄関に差し掛かった所で携帯電話が鳴った。

「はい、もしもし・・・」


すると、前回名刺に記載されていた、電話番号に掛けた時、応答した女性の声が聞こえてきた。

「話は聞きました、単車での競争による交渉をなさるんですね。そこで、です。今回貴方は初任務と言う事で、我々が特別に貴方の単車を無料で改良して差し上げます。今、係りの者を向かわせましたので、何卒ご了承ください。」

「・・・・えぇ、あ、はい・・・」
電話が切れた。
相変わらず一方通行な電話だ。
俺が色々質問する暇もない。

鍵を開けて、玄関を開けた瞬間後ろから声が聞こえた。

「どうも~!劉也さん。あっ、こちらが例のバイクっすねぇ~!了解了解っ!!」

いきなり金髪の兄さんがトラックでやってきた。

「っちょ、お前それどうするつもりだ。」

金髪の兄さんがトラックから降りて、ロープを取り出した。

「ちょっと預からせてくださいっす!俺、バイクいじるのまじで得意っすから!!」

何か物凄い不安だ。何だこのチャラチャラした奴。
ガムかんでるし。

「平気なのか・・・?」

「大丈夫っすよぉ~。任せてください!あっ、そうだ一応俺の名前教えとくっす!俺、高山康太って名前っす!忘れたら悲しいっすよぉ~?」

妙にさらさらしてる金髪の髪がなんか憎い。
ま、一応俺も自己紹介しておくか・・・。

「あぁ、俺は矢崎劉也。今回が初任務になるのかな?よろしく・・・」

するといきなりパツキ・・・いや、高山康太が笑い始めた

「うわっ!何言ってんすか!!んなこと知ってますよ~~!あ~面白、うはははは~」

社交辞令なんて言葉無ければいいのに。


「・・・・・・・・・。」

「あっ!気ぃ悪くしないでくださいねっ!!んじゃ、ちょっちこの純正単車!パネェ速くしてきますねっ!!んじゃっ!!」

ブロロロロロロ・・・キキーッ

トラックが発進した瞬間、ブレーキをかけた。
小窓からパツキ・・・高山康太が顔を出した。

「あ、単車の事なら、何でも相談してくださいねっ!それじゃ!」


トラックが去っていった。



「・・・・・何だアイツ・・・」

ボソッ口にしてみたら、後ろから声が聞こえた。

「高山康太。メカニックの天才。ああ見えて、かなり頼りになるよ。」

「あぁ・・・そうか・・・。」

美穂が平然とした顔で、さらっと発言した。
俺は異変に気づくのに数秒時間がかかった。

「・・・・・・。なぁ、お前何でここにいんの?」

「・・・・・何?また送ってくれるの?徒歩で。」

ハメられた。


「分かった。俺の負けだ、好きにしてくれ・・・」

何か物凄い疲れる奴に付きまとわれる事になるとは
思っても居なかった。

「ふふふぅ~、私を舐めたらいけないよーだ」

「まぁ、色々聞きたい事もあったし、満更でもないんだけどな」

「あら嬉しい!」

「ま、中で話そうや」

俺は玄関を開けて、家に入り、居間のソファーに腰をかけた。
ポケットから煙草を取り出し、火をつけた。

「ふぅ~・・・、んで、何なんだ?一体従業員何人居るんだ?」

「5人。」

美穂はケロリと口に出した
俺はもっと、でっかい危ない組織かと思ってたし・・・。
電話のあの人も「我々」って使ってたし・・・。
何か変だ。

「・・・・給料は?」

「働きによって、まぁ、最低月40万は貰えるから安心して。」

「すご・・・、土木や鳶なんかよりも給料たけぇ・・・。」

月40万以上。実に魅力だが、正直俺には使い道が無い。
家具はあるし、食べ物にもあまり困らない。何より親が残した遺産がある。
正直働かなくても4~5年は生きていけるくらいだ。

「週に何回くらい、その・・・任務って奴があるんだ?」

「2~3回だよ。多い時はフルで入ったりするけど、無い時はまったく無いよ?」

余りにも美味しい話だが
今回俺が受ける事になった任務の「暴走族集会の解散」からして
それなり・・・、いやかなりのリスクが伴うだろう。
そこらは、聞かなくても感じ取れた。

「・・・・・・まぁ、面白そうじゃないか。」

「ふふ・・・、劉也君みたいに、現実に嘆いてる人にはたまらない仕事よ・・・。」

確かに俺は現実にはうんざりした。
悲劇の連続。波乱万丈。生きた心地がまるでしない。

「ん、待て、お前も何か・・・この仕事やってるって事は、現実っつーかなんつーか、過去に色々あったりしたのか?」

「・・・・・そのうち話すよ。今はまだ・・・。」

「そのうちって、俺の過去は・・・。お前には筒抜けなんだろう?」

美穂が少し困ったような顔をして
自分の「能力」について話し始めた。

「私の能力・・・「過去視」は・・・。まぁ、察しのとおり、過去を見る事が出来るの。でも限度があるよ?そんなに~・・・2~3週間以上の過去は見れないし・・・。ず~っと「過去視」を使い続けてると、立ち眩みとか・・・下手すれば倒れちゃうし・・・。」

「へぇ~・・・、結構考え物だな」

何か美穂が真剣な話をするのは、キャラ的に何かなぁ~って思うが・・・。

「まぁ・・・最大の欠点が・・・。私達みたいな「能力者」は基本的に短命なんだ・・・。だから・・・私、死ぬ前に沢山の人助けたいし、役に立ちたいから・・・。」

短命とは初耳だ。もっと詳しく聞いてみよう。

「短命って・・・。どれくらい?」

「や、あの、寿命が減るって訳じゃなくて・・・。中身が壊れちゃうっていうか・・・。廃人になり安いって意味かな?精神面ですごく脆い所があってね。それで・・・」

「ふーん、壊れるまで他人の為に頑張るって事ね。なるほど。」

「はは・・・そゆこと。」
美穂は苦笑いしていた。

そしてすぐに思い出したかのようにこう言った
「あ、さっき言ったとおり、私2~3週間前くらいが限度だから、劉也君の過去とか、何があったとか判らないんだ・・・。だから、えーっと、劉也君の事、もっと知りたいかな~?って・・・。」

「・・・・・。」

「無理しなくていいからできれば・・・教えて欲しい・・・かな?」

コレは考え物だ。
俺の過去を知って、コイツがどんな反応をするだろうか?
嫌に同情されても、ウザいだけだし。
元々人間嫌いな俺だし、「かわいそー」とか「つらかったんだねー」とかいう、反応は物凄く嫌だ。
邪魔なだけ。

正直、知られたくない。

「・・・無理だ。」

俯きながら俺は美穂に小さな声で言った。
美穂はちょっと残念そうな顔をしていた。

「そ、そっか・・・。何かごめんねぇ・・・」

そこで謝らないでくれ

「・・・・。」


糞っ!!なんだよ。この空気・・・。
面倒臭いな・・・。俺が何をしたよ?



俺はある事に気づいた。とても重大な事。




「なぁ、お前・・・、過去・・・見えるの2~3週間前が限度だって・・・言ったよな?」


「そ、そうだけど・・・?」


「じゃぁ・・・何で知ってんの?俺の友達の事。」

思わず声が力んでしまう。堪えられそうにない

「それは・・・。」


「・・・言ってみろよ。」


「ニュースで・・・見たから・・・?」


「ふざけるなっ!!!!」

冗談じゃない。ハメられたのか俺は。
思わずソファーから立ち、声を張り上げてしまった。
色々な感情で血が登ってしまった。

「何なんだよっ!!!お前俺に過去が見える云々言ってくれたよなぁ!?それと例の犯人の情報もあるとか言ったよなぁ!?俺はそれを聞いて戻ったんだぞ!?それがなんだ?ネタはニュースから拾いましただぁ!?ははっ・・・俺もどうかしてたよ、あの状況だったから知らないけど、こんな事で騙されてた何てなぁ!!!」

美穂はすっかり俯いて小さくなってしまった。
俺は文句を言うのを止めない。

「さっき人の役に立ちたいとか言ってたけど、お前人を騙してるんじゃないか!!それで役に立ってるとでも思ってるのかよ!!!すっかりお前のペースにはまってたけど、それももうコレまでだ。・・・俺は降りる・・・。」

ソファーから移動して、部屋のドアに手をかけた

「帰ってくれ・・・。目障りだ。」

「・・・・・・・・・ごめ・・・なさい・・・でもっ!」

俺は更に一段と声を強めた

「帰ってくれ!!!」


「わ、わたし・・・と・・・・に、にてた・・・からぁっ・・・」

声が震えていて、よく聞き取れなかった。

「・・・何だよ?」

「似てたからぁっ!!・・・それで・・・っ」

美穂が泣いていた。ソファーに座ったまま、俯きながら膝の上で握り拳をつくりながら。
ズボンの生地をギュッ強く握りながら

「わたっ・・・私と・・グスッ・・・りゅっ劉也君がっ・・似たような過去を・・・ヒック」

しゃっくり交じりで良く聞き取れないが、
熱くなった頭もすっかり冷えてしまった。

「だっだからっ・・・うっ・・・お互いに・・・いっ痛みをっ・・・わか、分ちあえるかもって・・・、だ、だからお願い・・・だよぅ・・・」



「・・・・・・・・・・・・・お前・・・。」

俺はドアノブに掛けていた手を、美穂の肩に置いた。
俺もこういう風に泣けたらな・・・なんてね。
少し羨ましかった。

「分ったよ。泣くの止めて・・・。な、何か俺悪い奴みたいじゃないか・・・」

「へ、へへ・・・あ、ありが・・・と」

美穂は涙を手でグイッと拭いた。

「悪かったな。大声上げて・・・。俺、お前を信じてみようかなって思えた。ちょっとしか話聞いてないけど・・・。なんか・・・伝わったよ。」

何やってるんだろう、俺
自分でも何が言いたいか判らない

「続き・・・聞かせてくれるかな?」



「・・・・うん。」




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