我流乱舞!

我流乱舞!

非情な日常・退屈な時間・4


遺伝子を人間の手によって構成し、人工的に人間を作る研究が行われていた。

より優れた、新しい人類の研究。

選ばれた精子と卵子から人工的に作り出される命。
受精して、肉体が作り出されても尚、遺伝子レベルで改造を行う。
様々な法律をハイレベルで犯している為、地下12階・・・。それも収容所の真下でそれは行われているのだ。

作られた人間は、胎内に似た成分が分泌される、特殊なカプセルの中で飼育される。
作られた人間には人権が存在しない。
黒服の男性が白衣の研究員に指令を出していた。

「CN(コードネーム)/M-09にB-12番を投入しろ。」

「了解しました。M-09にB-12番を投入します。」

カプセルから出された幼い少年を拘束した机の上で、実験が行われていた。
白衣の女性は少年の腕を掴むと、B-12と書かれた注射器を使い、体内に注入した。

「うが・・・ぎ・・・げ・・・。」

少年は苦しそうにもがき始めた。

「脈拍数90。血圧収縮期160mmHg拡張期89mmHg・・・。更に上昇中。このままでは全身の血管が破裂します。」

続けて黒服の男性は言った。

「続けてB-13と安定剤を投入しろ。」

「了解しました。」

白衣の女性は二つの薬を更に注入した。
少年は更に苦しみ始めた。

「ががっ!!ぐげ・・・け・・・め・・・があああああああああああ!!!」

数秒すると少年の身体中から血が噴き出し、絶命した。

「脈拍停止。実験は失敗です。」

黒服の男性は下打ちすると、個室から出ようとした。

「チッ!解倍して原因を調査しろ。」

「分かりました。」

そう言い残すと男は個室を去り、もう一つのカプセルを空いている個室に持って行くように研究員に命令した。

「CN/D-17・・・成長具合は僅か13ヶ月と12日で9歳の子供と全く同じです。抗生剤を投入します。」

「分かった。ん・・・?女の子か・・・。」

黒服の男性はカプセル越しにCN/D-17を見つめた。

「13ヶ月と12日でこの成長か・・・。上等な成果だ。抗生剤と共に例のサンプルを投入しろ。・・・・念の為制御装置も装着しておけ。」

「・・・・了解しました。」

黒服の男性はカプセル保管室を出て、休憩所の様な所に行き、自動販売機でカップのカプチーノを買うと、近くにあった長椅子に腰を掛けた。

「我が組織の研究も・・・。成果をあげてきているな・・・。」

黒服の男性がくつろいでいるところに、一人の研究員が血まみれの姿で現れた。
凄い剣幕で黒服の男性にしがみ付いた。

「大変です!!CN/D-17にサンプルを投入した所・・・。自我が覚醒しました!!!」

「そう言う時の為に、制御装置もあるのだろう。俺に気安く触るな!!」

「しかし・・・。制御装置も破壊し、暴走しています!!」

「何だって!?」

CN/D-17はカプセルを突き破ると、初めて見た場所の筈の施設なのに、地下に居ると気づき、地上を目指していた。
黒服の男性は言った。

「緊急指令だ!!直ちにCN/D-17を拘束しろ!!!館内放送で皆に伝えろ!!!絶対に地上に出すな!!」

そう言い残すと、黒服の男性はエレベーターに乗り込み、地上へ向かった。

「面白い事になった・・・。報告しなければ・・・。例の実験は成功したと・・・。」

CN/D-17を捕らえる為、小型機関銃を持った、軍人のような人達が現れ、後を追っていた。

「居たぞ!!!目標確認、弾は麻酔弾を使え!!生かして捕らえろとの命令だ。」

「イエッサー!!」

長い廊下でCN/D-17を7人で取り囲んだ。

「撃て!!!」

7人の中の隊長がそう全体に命令した瞬間、CN/D-17に向けて麻酔弾の連射が行われた。

パラララララララ!!!

乾いた音と、火薬の匂いが周りを包んだ。
誰もが、仕留めた。と思えたが、麻酔弾はCN/D-17に触れる寸前で停止していた。

「・・・何て奴だ・・・。」

誰もが息を呑んだ瞬間CN/D-17の口が動いた。

「貴方・・・も・・・私・・・を・・・いじめ・・・る・・・の・・・・?」

ついさっき 【産まれた】 ばかりのCN/D-17は言語を喋れる筈は無いのだ。
CN/D-17は手を前に出した。
すると、手の先が光りだした。

「な、何を・・・?」

「もう一度撃て!!相手を人間と思うな!!!」

皆が発砲した瞬間、物凄い熱量の爆発が起こった。
CN/D-17の半径3m程の太陽のプロミネンスにも匹敵する熱量の白い球体の爆発。

CN/D-17の周りは抉られた様に綺麗に無くなっていた。
もちろん、7人の軍人も含めて。

『目標は地下3階まで到達した!!実弾の使用を許可する!!絶対に地上に出すな!!!繰り返す・・・。目標は・・・』

館内放送が地下に響き渡る。
CN/D-17は壁と言う壁を破壊・・・消滅させ、地上へ向かっていた。

「居たぞ!!地下3階の中心広場にて目標を確認!!!実弾を使用する!!!」

CN/D-17の周りには20人程の軍人に取り囲まれていた。
全員が、小型機関銃を構え、確実に仕留められるよう狙いを定めた。

「撃て!!!!!」

誰かの命令で実弾を用いての一斉射撃が始まった。
鼓膜が破れるのではないか?と思われる銃声の嵐。
たった一人の少女の為に、ここまでやるのだ。

「よし!もういいぞ!!」

軍人達が射撃を終えると、軍人が取り囲んだ円の中心には変わり果てたCN/D-17の姿があった。
手足が千切れ、腹部が砕け、バラバラになったCN/D-17の姿が。

軍人達の一人が、CN/D-17に接近し、生死を確認しようとした。

しゃがんで確認したその一人は目を疑った。

劇的な速度で再生しているのだ。CN/D-17の身体が・・・。

「ま、まだ生きてるぞ!!!!!」

そう叫び、小型機関銃を構えた頃にはもう遅かった。
再生した右肩と腕で、CN/D-17はその軍人の心臓を貫いたのだ。
やがて、ゆっくりと立ち上がり、貫いた右手を引き抜き、泣き始めた。

「・・・な、何で・・・い・・・じ・・・める・・・の・・・?・・・・痛い・・・のは・・・も・・・嫌だ・・・よ・・・。」

CN/D-17はありったけの力を振り絞り、叫んだ。

「・・・み・・・みんな・・・消えちゃえ!!!!!!!!!!」







イギリスのある収容所を光りが包み込み。
数秒のうちに消滅したと言う。
核爆弾を用いた他国からの攻撃や、隕石の落下など、ニュースや番組で報道された。
収容所には半径1kmにも渡るクレーターが残り、死亡者は3000人を越えたと言う。



CN/D-17は空間移動をし収容所から13000km離れた、荒野である一人の少女と出合った。
それがセルフィである(当時16歳)

「あの・・・大丈夫ですか?・・・何か着る物お持ちしましょうか?」

セルフィは裸体で倒れているCN/D-17に呼びかけた。
CN/D-17は呼び掛けに気づき、ゆっくりと顔を上げた。

「あな・・・たも・・・私・・・・を・・・いじめ・・・るの?」

CN/D-17はセルフィの前に手を差し出した。
CN/D-17はセルフィも自分に危害を加えると思って居たのだ。
しかし、セルフィはその手をとり、胸に当てた。

「いいえ、私はそんな事はしませんわ。」

驚いたCN/D-17は更に問い詰めた。

「いじ・・・めない?」

セルフィは笑顔で返答した。

「はい。もちろんですわ。」

CN/D-17はそれを聞くと、安心し、倒れている身体を起こし、地面に座った。

「貴方、歳はいくつですか?」

セルフィの問いにCN/D-17は少し戸惑い、答えた。

「は、白衣・・・の人が・・・9歳と・・・同じ・・・言ってた。」

カプセルの中で育った筈のCN/D-17は、カプセルの外での出来事を全て記憶していた。
シルフィは少し考えた。

「9歳なのね?」
(言ってた・・・ってどういうことだろう?)

「・・・わから・・・ない。」

シルフィは続けて質問した。

「お名前は?なんていうのかしら?」

この質問には、CN/D-17はすぐに答えた。

「コードネーム・・・ディー・・・セブン・・・ティー・・・。」

シルフィは戸惑いながら、更に質問した。

「・・・どこから来たのかな?」

「・・・カプセル・・・。・・・みんな・・・私に・・・痛い事する・・・だから・・・逃げてきたの。」

それを訳ありと見たシルフィは一旦家に連れ帰り、両親の訳を説明した。
以外にも両親は余り考えないようにしたのか、快くそれを承諾した。
CN/D-17は初めて見る人達、初めて見る家、初めて見る置物、初めて見る食事・・・。色々なものに興味を示した。
一方シルフィは、このまま此処に留まる訳には行かないと見て、海外への逃亡を試みた。
両親を説得しパスポートを偽名で登録し、一年後にCN/D-17と共に日本に移り住んだ。


広い草原で、野花や蝶や虫を珍しそうに見るCN/D-17に向けて、セルフィは話掛けた。

「ねぇ、セブンティーン。貴方、名前は欲しくない?」

セルフィの問い掛けにCN/D-17は戸惑った。

「名前、あるよ?CN/D-17が・・・私の名前。」

セルフィは首を横に振った。

「いいえ、それは本当の名前じゃないわ・・・。」

「じゃあ・・・何が名前?」

少しセルフィは考えると何か思い付いたのか、ニコリとCN/D-17に微笑んだ。

「華や甘い蜜に誘われて・・・。美しい蝶達が舞い踊る・・・。そうね「美穂」って名前はどうかしら?」

「・・・・み・・・ほ・・・。それが私の本当の名前?」

セルフィはCN/D-17の頭を撫ぜながら、答えた。

「そうよ。貴方は美穂・・・。名前を聞かれたら、そう名乗りなさい?」

CN/D-17・・・いや、美穂は初めてセルフィに笑って見せた。

「うん!私の名前・・・美穂!!」



それから、セルフィは日本に住む、知り合いに頼み、苦労の末美穂に籍を入れる事が出来た。その時美穂に与えられた姪が「桜木」。
桜木美穂は驚異的学習能力で、次々と物を学んでいった。
些細な事でも何でも興味を示していった・・・。この時から、セルフィは美穂が普通の人間ではない、何か特別な物を持っていると確信した。
一度見たものは決して忘れない記憶能力。
日本人に対して、普通に日本語で会話する等・・・。

しかし、セルフィ以外には誰にも興味を抱かなかったのだ。

その間に6年以上の月日が流れた。

すっかり身体も成長した美穂。カプセルから出る前に投入された抗生剤は成長速度を基準に戻す物である。そのお陰で、普通の人間として、成長できたのだ。

そんな美穂はテレビのニュースに興味を示していた。

「あら、美穂ちゃん?どうしたの、そんなに真剣に見て・・・。」

セルフィの問い掛けに美穂は答えた。

「殺人事件・・・。廃墟に向かった男女3人を銃で発砲。駆けつけた警察官1人にも発砲・・・。重症者2名・・・。死亡者2名・・・。犯人は未だ逃亡中・・・。」

「あらま・・・。最近は物騒な事件が多いですねぇ・・・。」

美穂は続けた。

「・・・死亡者は学生の高城 亮(18) 新島 彩子(17)・・・。重症者は警察官の北村 高志(32)意識不明の重体 学生の矢崎 劉也(18)全治二ヶ月の怪我・・・。」

セルフィは不思議に思った。美穂は今まで、このような事件に興味を示す事など無かったのだ。

「どうかしたんですか?」

「矢崎・・・劉也って・・・。私、何処かで・・・?」

他の人に興味を持った美穂を良しと見たセルフィは美穂の肩に手を置いた。

「会ってみる?劉也君に・・・。探せば見つかるかもしれないわ?」

美穂は動揺した。

「ええ!?いきなり会っても嫌われちゃったりしたらどうするの!?」

「大丈夫、美穂ちゃんなら、嫌われる事はありませんわ。」

それをきっかけに美穂は自分の力で探偵事務所を設立。
セルフィに情報収集を任せて、求人広告を出した。
不思議と、そこには美穂と同じように能力者だけが集まった。
高山康太 東條晃 の2人だけ。

4人で力をあわせて、矢崎劉也の情報を集めながらも、依頼をこなし、遂に居場所が分かったのが、あのとき・・・。
そう、劉也が樹海へ向かうときだ。

樹海へ入った劉也を引き止め、探偵事務所の一員になるよう説得した美穂は
セルフィに自慢気に話たとか。

「彼、能力者だったんだよ!それも私に似てる!!」

「まあまあ、それは・・・。何か運命めいたものを感じますね。」

「やだなぁ~!もう、セルフィは~」

初めての劉也へ任務を与えた日、家に帰るとセルフィに泣きついた。

「どうしよう・・・。劉也に怒鳴られちゃった・・・。そして酷い事言っちゃったよ・・・私、嫌われたのかな?」

「大丈夫、美穂ちゃんならきっと大丈夫・・・。彼ときっと分かりあえますよ・・・。」

「・・・本当かなぁ・・・。」



そして、今に至るという事・・・。

















© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: