真理を求めて

真理を求めて

2003.02.08
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カテゴリ: カテゴリ未分類
タイトルからして思いっきり暗そうな歌だけれど、<うたまっぷ>で森田童子を検索して、僕が持っている歌を探したら、これと「僕たちの失敗」と「ラスト・ワルツ」という歌があった。その中で一番暗そうな歌を今日は選んだ。「暗さ」ということを考えてみようかと思ったからだ。

人間が暗いというイメージは普通はどんなイメージだろう。いつも悲観的な見方をするとか、悪いことや醜いことばかり考えているというイメージだろうか。僕は、明るいというイメージがあって、その反対を暗さと考えているようなところがある。

僕の明るさのイメージは、心が外に向いているという感じだろうか。いわゆる外向的な人間といったらいいのかな。いつでも周りに気を配り、人を楽しませ、笑いを振りまいていく。僕の妹はそういう感じだった。その反対だから、暗さというのは、内向的で関心の大部分が自分の内側へ向いている人間というイメージがある。

このイメージからいうと、数学少年だった頃の僕は思いっきり暗い人間だった。僕の関心のほとんどは、自分の内面世界である数学だけで、生きている人間社会に対しては全然関心を抱かなかった。数学に恋をしていたようなものだった。女の子に対する憧れも、古いフランス映画のシベールという女の子に、この世には存在していない、僕だけのイメージの世界の女の子にずっと長い間憧れていた。生身の本当に生きている女の子に恋をするまでは、ずっと独りだけの世界で少しも寂しいと思わないくらい、内面だけを向いて生きていた、本当に暗い人間だったな。

でも、自分の内面に目を向けない人間はいないわけだから、程度の差はあっても、僕の定義からすると人間は誰でも暗いとも言える。その暗さを好きかどうかに違いはあるけれど。僕はその暗さの方が好きな人間なんだなと思う。

外に目を向ける人間の方がいろいろとたくさんのことを知っていると思う。でも、外側というのは、やっぱり深く知るのは難しい。中まで深く切り込むことが出来ないんじゃないかと思う。深さを持っているのは、やっぱり内向的な人間で、僕は深ければ深いほど好きな人間なのかと思う。知っていること自体は少なくても、どこまでも深く知りたいと思う人間だ。

暗い歌を聞きたくなるのも、自分の内面をどこまでも深く見つめていたいと思うときかもしれない。この歌も、「たとえば僕が死んだら」それを忘れてくれといいながら、泣いてくれといったり、名前を呼んでくれといったりしている。この矛盾した気持ちが、自分の中にもあるのを感じる。忘れて欲しいけれど、忘れて欲しくないという感じだろうか。「ノルウェイの森」の直子がいったように、「私を忘れないで」という思いは、暗い人間には必ずある想いのように感じる。そして、そういう人間は、いつまでも忘れないでいてくれる人間を探しているんだと思う。見つからないときは、仕方がないから独りで内面に入り込む。

この歌で印象的なのは次のところだ。

      たとえば マッチをすっては

      涙もろい 想いは 何だろう

暗い人間は、この想いを抱き続けて生きているんだけれど、最近何となく「何だろう」の答えが見えてきたような気もする。この「何だろう」は、自分一人だけの想いではなく、多くの人の想いが感じられて自分にかぶさってきて、独りなのに一人ではないと感じられてくる、そういう想いのように感じられてきた。

灰谷健次郎の世界は、ずっと前からこのことを教えてくれていたはずなのに、最近ようやくこんな感じに気がついた。独りなのに一人ではないという想いが、暗い人間を照らす一条の光のような感じがしてきた。そしてこの光は、不思議なことに、どんなに外向的な明るい人間もかなわないくらいの輝きを持っていると、なぜかそんな絶大な自信までも生まれてきてしまった。この光さえ見えてくれば、暗い人間は無理をして明るくなる必要はないんだなと思ってきた。





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最終更新日  2003.02.10 14:15:26
コメント(16) | コメントを書く


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Re:「たとえばぼくが死んだら」 森田童子(2/8)  
暗さ=駄目
明るさ=良し
ではないと思います。
作品、音楽を読んだり聴いたりする時どちらかといえば
暗さが漂うものの方が手にしたくなります。
元々人間って両面持ってんだから
どっちって事はありえないわけで、森田童子の歌ってる
歌は逆に色あせない感じがします。
暗いといっても、不思議としずみ込んだ状態に
ならない音と詩なんですね。
(2003.02.08 11:06:08)

Re:「たとえばぼくが死んだら」 森田童子(2/8)  
ゆうらり  さん
藤村操(でしたっけ)「人生不可解」の言葉を残して自殺したのは。その死のきっかけが、失恋だったという実証が後にあって、なんだか引き摺り下ろされた気がしました。深い谷の淵に立って、そこに飛びこみたい誘惑に耐えながらの「生」は意味があると、まだ言い切れなくて悩む事の方が多いです。 (2003.02.08 11:12:32)

Re:「たとえばぼくが死んだら」 森田童子(2/8)  
snoopy8025  さん
「僕たちの失敗」でした、、そうそう森田童子でした。。。今また「高校教師」やってるでしょ。。。娘に聞かれてどうしても歌手の名前が出ませんでした。。。。
気がめいりますよね!!!
今の私にはダメです。。。。。。 (2003.02.08 12:07:48)

Re:「たとえばぼくが死んだら」 森田童子(2/8)  
黒豚しゃぶ さん
今日は、じっくり考えながら
読ませていただきました。。

明日、また大勢の人の中に入ります。
凄く疲れるのはわかってるけど、
ついつい。。

さて、今日は雨だし、
のんびりと秀さんの言われた事など考えながら、
たまってる本でも読んで過ごすつもりです。

(2003.02.08 12:59:10)

Re:「たとえばぼくが死んだら」 森田童子(2/8)  
唯乃葉羽  さん
明るく見える人間に、暗い人が多いのは、自信が無いからかな?

暗いのをそのまま出せるのは、強いなあって思う。

(2003.02.08 14:32:32)

Re:「たとえばぼくが死んだら」 森田童子(2/8)  
こんにちは(^o^)
最近の秀さんの日記、ずっとROMってました(^^ゞ
自分も10代の頃、ずっと内面に向かっていて、死とか孤独っていう匂いのする本ばかり読んでいたので、秀さんの書いていることが、まるで自分の若い頃のことみたいに思われて(もっとも、私の場合は秀さんにとっての数学のような存在は皆無でしたが(^^ゞ)
でも、やっぱり孤独に徹しては人は生きられないのですよね。本ばかり読んでた頃だって、友だちと感想を交換したりしてたし、今だってこうやって掲示板を通していろんな人と話してて、すごく楽しいし。
今、確かに思えるのは、自分に深く向き合える人っていうのは、傷ついたりすることも多いかもしれないけど、あまり深く考えない人よりは豊かに人生を過ごせるのかなっていうことかな。上手く言えないんですけど。 (2003.02.08 14:43:27)

Re:「たとえばぼくが死んだら」 森田童子(2/8)  
唯乃葉羽  さん
ボクがいつも考えてるのは、バランスって言う事。

心って、すこぶる暗いと、すこぶる明るいものが吊り合うように在って、生を考える時、そこにはいつも死が在って、何とかバランスを保っている。どちらかが強いと、もう一つも強くなり、バランスを崩すと、危ない。
ボクはそんな感じだ。


-----
(2003.02.08 14:51:32)

Re:「たとえばぼくが死んだら」 森田童子(2/8)  
uminpa  さん
私もどちらかと言えば、暗い人間ですね~。

周りの人の事が全く気にならないというわけじゃないですけど、自分の心の中のことを考えるのが好きだから。
色んな場面で、「こんな時自分だったらどう思うか」っていう風に、自分の心を想像してみてます。それから「あの人はどう思うか」って考えますね。
あまり周りの人を楽しませよう!っていう気もないです。自分がしたい事をした結果、周りの人が楽しんでくれたらいいなーとは思います◎

暗い曲はuminpaも好きなんですよ(^^)自分の心の奥で何か感じられるのは、明るい曲より暗い曲のほうかなって気がします。暗いって言うよりホント、「深い」って言うほうがぴったりな感じがしますね。 (2003.02.08 17:13:32)

Re:「たとえばぼくが死んだら」 森田童子(2/8)  
かめこ さん
人は誰しも暗さと明るさを兼ね備えているもんだと、つくづく思うし、明るいだけの人なんていないと思うのです、私としては。
灰谷さんの作品には、かなりな重荷を抱えつつも何とか行きようとしてる人間の凄みを感じる自分なのです。
暗さの中で耐えしのべるだけのパワーというのはすごいもんがあるとつくづく思うけど、それが人生という物だろうと思うのです。
私なんか暗いタイプだと思っても、それで何が悪いという感じで、最近は開き直っているといった感じかも。
もし、この話題で直に話したら一体何日話が続くだろうか?って感じかも~~~~ナ~ンチャッテ。 (2003.02.08 17:30:59)

Re:「たとえばぼくが死んだら」 森田童子(2/8)  
まやです  さん
”たとえば私が死んだら”泣いてくれる人はいるだろうか?家の事情で、そんなことばかり考える私です。やっぱり夫と老後は共にはしたくない。したくないが、しなくちゃいけないのでする。夫への愛情はないけど、同情はあるな。無味乾燥な生活を、送っています。 (2003.02.08 21:52:24)

Re:「たとえばぼくが死んだら」 森田童子(  
tomoko103  さん
私はやっぱり明るい人かもしれない。妹さんのように。
だけど、40年近く生きてきたのだけれど、はじめて内面に眼を向けたのかもしれません。
だから、秀さんの言おうとしていることが、前の私にはわからないかったと思います。
今は、この歌詞の切なさもわかります。
内面に眼を向けている私だから秀さんと出会えたのだなぁ。
前に『私に関心をもって・・』て書き込みしていただきましたよね、あの時、とてもうれしかったです。夫とのことを考えるとお互い無関心な時間はどれくらいあったのだろう。などと、考えていた時期でしたから。

(2003.02.08 22:23:47)

Re:「たとえばぼくが死んだら」 森田童子(2/8)  
kuri-kurumi  さん
私は、「静かな人」というのがピッタリくるかな?「暗さ」・「明るさ」は、私の場合「物思いに耽っている時」・「オシャベリしている時」といえるかもしれない。 (2003.02.08 23:09:32)

Re:「たとえばぼくが死んだら」 森田童子(2/8)  
こん**は。

私は、暗いのか?明るいの?
前に秀さんが、人間には、
色んな面があるって、お話しを聞いて、そうだな、
こんなお馬鹿な私でも、
皆を笑わせてやろう~と、考えたり、
一人になったら、ド~~ッと落ち込んだり・・・。
つまらないことで、悩んだり、コンプレックス持ったり。
暗い、明るいだけで、人間を分けちゃいけないのかもね。
色んな面も持ち合わせて、人間なんじゃないかな?

名前忘れたけど、
人間の死をテーマに漫画を書いてる人がいるんだけど、
何とか寿って人。
この人が、誰にも、平等に体験できる事は、死ぬって事だって、なんか、最近、人の死と身近に感じる仕事してるから、ちょっと、怖い言葉であり、あたり前の事なんだけど・・・、目を背けたい言葉でもあるな~と感じてます。
(2003.02.09 03:47:15)

Re:「たとえばぼくが死んだら」 森田童子(2/8)  
あなたが数学なら私は体育系? 思考回路がずっとショートしたままで、五感で観る・・許されよ。縄文時代のO型で、まず、感動ありき・・脳が動くのは遅いんだろうな。いつも百キロ先の山見て暮らす
山姥だからか・・。ありがとう。

(2003.02.09 07:58:26)

Re:Re:「たとえばぼくが死んだら」 森田童子(2/8)  
秀0430  さん
かめこさん
>人は誰しも暗さと明るさを兼ね備えているもんだと、つくづく思うし、明るいだけの人なんていないと思うのです、私としては。
灰谷さんの作品には、かなりな重荷を抱えつつも何とか行きようとしてる人間の凄みを感じる自分なのです。
暗さの中で耐えしのべるだけのパワーというのはすごいもんがあるとつくづく思うけど、それが人生という物だろうと思うのです。
私なんか暗いタイプだと思っても、それで何が悪いという感じで、最近は開き直っているといった感じかも。
もし、この話題で直に話したら一体何日話が続くだろうか?って感じかも~~~~ナ~ンチャッテ。
-----

僕がことさら「暗い」を連発するのは、どうも「暗い」方が低く見られている傾向がありそうな気がしているので、明るいよりもむしろいいくらいだと主張するために連発しているような感じがあるな。まあ明るいのがいいと思っている人たちに対する皮肉でもあるかな。

かめこさんと同じように、みんなが開き直ってしまえば、暗いということで悩むような人がいなくなって、むしろ誇りに思ったりもするんじゃないかと、そっちの方が楽しいと思っているんだけれどね。暗いと思って沈んでいる人を元気づけて応援したいということでもあるんだ。 (2003.02.09 18:26:18)

Re:「たとえばぼくが死んだら」 森田童子(2/8)  
檸檬12  さん
こんにちは!!

先日、うたまっぷで「僕たちの失敗」を検索したのですけど、
夜だったせいか、
繋がりませんでした。

「高校教師」見た直後だったから、
同じ事考えた人が多かったのかもしれませんね。

透き通るような歌詞が素敵ですよね。 (2003.02.10 14:15:26)

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