『窓』

『窓』

教室の窓から見る秋は
いつも不思議に光ってた
北向きの窓のすりガラス
ギリシャの海も見えた
思い出せばもう夢の中
午後の陽射しにまどろめば
遠いアコーディオンのすすり泣く
光と影の世界

やさしい時代を置き去りに
やがて街へとび出した僕には
教室の窓がもう見えない
夢の行き場がどこにもない

授業をひとりでぬけ出して
空き部屋の窓から空を見た
幾億年もの時の彼方
空翔ける船を見た
思い出せばもう夢の中
一枚の窓のそのむこうに
見知らぬあしたがふるえていた
きらめきふるえていた

いくつも街を歩くうちに
いつか外の世界は狭くなる
教室の窓がもう見えない
夢の行き場がどこにもない

夢の行き場がどこにもない


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