第八章~本音~

第八章
本音


「せんぱっ……やぁ…っ……」
 何の抵抗もできないまま総帥先輩の腕に抱かれていた。
ちまたでは愛のない行為が普通とか言われてるけどそういうのって…なんか違うと思う。
 翔君が好き。これだけはおそらく間違いなくて。
でも、総帥先輩にこんなことされて、どうしてイヤじゃない…?
 俺が何も抵抗しないからか、総帥先輩は片手で上手に服を脱がしていく。
体中に降ってくるキスに体を震わせた。
頭の中ではこんなとこ翔君に見られたくないとか、見られたらどうしようとか、
このままどうされるんだろうとか、不安なことばっか広がるのに、なぜか抵抗できなかっ
た。
 流れ落ちる涙は悲しみ…?苦しみ?それとも……喜び……?
「蒼馬…ごめん、止まらない…。」
 そんな言葉とともに何度も耳元で囁かれる“好きだ”っていう言葉。
言われるたびに体中が締め付けられて、このまま全てをゆだねてしまいたい気にされる。
「や…だぁ…っんんっ……」
 一生懸命自分を取り戻そうと、言葉では『やだ』って言ってみるけど
体はそれに反してどんどん反応する。思い通りに動かない。
 精一杯の言葉での反抗なんて何の役にもたたなくて、気付いたら着てたもの、
全部脱がされてて。多分このまま―………。
「かっ……てすぎる……っ…やだ…いやだぁ…っ」
「誘ったのはお前だろう…蒼馬。責任とってくれよ。」
 そう言うとどんどん俺の意志なんて関係なしに行動はエスカレートしていくばかりで。
「せ…ぱい……っ…誘ったんじゃ…ないっ……」
「じゃぁどうしてキスなんかした。」
 一方的に抱かれたって嬉しくもなんともない。俺が好きなのは翔君なんだ…!
「間違えた…だけです……っ俺が好きなのは……先輩…じゃないっ!」
 言った瞬間に総帥先輩の目が曇った。
あわてて考えて言っただけのセリフ。別に傷つけたかったわけじゃない。
ただ、こんなことやめてほしかっただけ。このまま抱かれたって何にもならない。
お互い苦しいだけだよ…っ。
 涙が止まらないし枯れ果てないしで俺の顔はぐしゃぐしゃだったと思う。
「お前ってさ、すっごい傷付け方するよな。」
「べつに…傷つけようとしたわけじゃ…」
「別にいいんだよ、お前が誰を好きだって。俺は蒼馬のこと本気だから。」
「どいう…意味…ですか…?」
 一度俺から離したはずの手が、また体中を撫で上げていく。
「言ったろ。俺、今、理性持ちそうにないんだ。…もう止められないよ。」

 そう言い、俺がその後どんなにイヤだと言っても総帥先輩はやめなかった。
いつまで続くのかわからない行為の中で、痛みと悲しみに縛り付けられながら
何度も総帥先輩に貫かれて。
「あっ…はぁっ……ぁ……も…やめてっ……」
 気持ちいいわけないのに、反応してしまう体が恨めしくて。
「もうイっちゃうのか…?もちょっと我慢しろよ…。」
 いつの間にか総帥先輩は…俺を抱きたいだけなんだって考えてた。
俺が苦しかろうが哀しもうが、俺が総帥先輩の物であればそれでいいんだ…
でもそれは…愛じゃないよね…。

 もう限界だと思った瞬間―…俺の意識が途切れた。




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