「君は今日、はばたき学園に来ていたな」


別れの言葉・始まりの言葉3


「零…一…さん?」

まさか…

見てたの?私と珪君が一緒にいるところを。


「しかも1人じゃなかった。葉月と一緒だったな」

「零一さん…もしかして疑ってるんですか?私と珪君のこと…」

その言葉を聞いて零一さんは少し反応した。

だがそのまま話を続けた。

「…葉月は君の…子供時代の友人だったんだな」

「!!」

一緒にいるところを見られただけじゃなくて…話まで聞かれてたの?

「そして葉月は君の事をずっと思っていた。今でも」

「……………」

零一さんの視線が耐えられなくて私はとうとう俯いた。


しばらく…また沈黙。


今零一さんはどういう表情をしているかはわからない。

でも決して私は見ることができなかった。

もしかしたら内緒で会っていたことを怒ってるかもしれない。

それとも珪君の気持ちに気づいてあげられない鈍感さに呆れているかもしれない。


ハァとため息が聞こえて零一さんが口を開いた。

次の瞬間私は零一さんが放った言葉に耳を疑った。


「……今日俺を呼んだのは…別れを伝えたかったんだろう」


一瞬。何を言っているのかわからなかった。

何度も何度も零一さんが言った言葉がぐるぐると頭の中でまわり。

ようやく理解した。

「…好きだったんだろう、葉月のことを。だが…言いにくかったんだろう。俺に別れを言うことを」

「何言ってるんですか?」

なおも続けようとする零一さんの言葉に割って入った。

もう…それ以上聞きたくなかったから。


「何を言ってるんですか?零一さん」

少し困った顔をすると零一さんは視線を逸らした。

「俺を呼び出した理由は…それ以外考えられないだろう…。」

小声で呟いた零一さんの言葉が胸に響いた。

「君が望むなら…俺は君の前から消える。君が幸せを望むなら…俺はその手助けをする」

何ですか…それ?そう言おうとしたが止めた。

「君に告白したあの日…俺は教師で君は生徒だったからな。…断りづらかったんだろう?だから…」


「…もう、いいです」


何を言ってるんだろう。零一さんは。

勝手に色々決め付けて。

告白を受け入れた理由も。

私を信じてすらくれていなかったの?


私はずっと俯いて顔をあげて零一さんを見た。

「零一さんこそ、ちゃんと言ってください!!私と別れたいんでしょう?だったらハッキリそう言えばいいじゃないですか!!」

「…っ、そんなことは思っていない」

「じゃあ何でそんなことを言うの?私が零一さんの告白を受け入れたのは…本当にそんな理由だと思ってたの?!」

「……っ」

「珪君を理由にして…私の前から消える?」

「…、結…俺は…」

「そんな遠回りに言わないで…ハッキリ言ってくれた方がよっぽど良かったよ!!」

「結!!」

私は車のロックを解除するとドアも閉めずに飛び出し家の中へ逃げた。

ドアの鍵を閉めて自分の部屋に入りそのまましゃがみ込んだ。


気がつくと私は泣いていた。

涙が何度も何度も頬を伝っていた。

きっと零一さんに怒鳴ったときから私は泣いていたと思う。


何度か家のインターホンが鳴った。

だけどしばらくすると音は止んだ。

車のエンジン音が鳴りそのまま車の音は遠ざかっていった。


私は声をあげて泣いた。

子供みたいに顔を赤くして長い間泣いていた。


               ・

               ・

               ・


次の日。私は大学を休み部屋にこもっていた。

珪君に会いづらかったし。

外に出たら零一さんに会ってしまいそうな気がしたからだ。


私は布団に入りながら昨日の夜のことを考えていた。

(零一さんは…私と別れたかったのかな…。)

いつも子供な自分。

一生懸命大人を演じていても。

決して零一さんと同じ位置に立つことはできなかった。

いつしか子供のままでも良いかなと思った。

「そのままで良い。これから自然と大人になっていくんだから」

そう、零一さんが言ってくれたからだ。


好きだった。

いつも厳しかったけどそれは本当に生徒を思っている人だからだ。

初めてそう思えたのは零一さんの授業や補習に参加したとき。

本当は物凄く優しい人。

初めてそう思えたのは課外授業の後、私に気づかって夕焼けの丘の景色を見せれくれたとき。


私…先生のことが好きなんだ。

初めてそう感じたのは…放課後の音楽室で零一さんが寂しげな表情でピアノを弾いていたのを見たとき。


その不器用な優しさが。

照れて目を逸らす仕草が。

目が。

声が。

存在が。


好きだった。


「…嫌だ」

気がつくと私はまた泣いていた。

あんなに泣いたのに。

涙は枯れることを知らず、何度も流れた。


このまま終わってしまうのは。

このまま別れてしまうのは。

絶対に嫌だ…。


でもどうすれば良いのだろう?

会って謝ることができれば、

電話をかけることができれば、

きっとこんなに苦しんでいない。


私はしばらく外の景色を眺めた。

そのまま時計に目をやると私はあの場所へ行こうと決意した。

急いで支度をすませると私は家を飛び出した。


―――貴方に会いたい。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――

ようやく書けた~!!!
氷室先生と主人公ちゃんのケンカシーン!!(何)
基本的にうちの氷室先生は主人公ちゃんにめっちゃ甘いのでケンカしてくれないんです(笑
ケンカしても100%氷室先生が折れる(死滅)
むしろそれが私の趣味なんで…(ヲイヲイ)
恐らく私が書くときメモGS小説で主人公ちゃんが折れるってことはないと思います。(笑)
何気に今回主人公ちゃんが折れそうですが…真相はいかに?!(どうでもいい)
そして…「目が。声が。存在が。好きだった」の部分。
「そうかぁ~。主人公ちゃんは子安さんボイスが好きだったんだ~」とか言わないように(言わないよ)
さて…もちろんまだ終わりじゃありませんよw
まだ続きます~。。
次で終わるかどうかは風任せ…(ぇ

BACK


© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: