糸電話

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シガレット・リバティ

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『シガレットリバティ』
藤たまき

昔ビブロスさんが出してたコミックスなんですが。
古本屋でたいてい並んでいるのでなんとか手にはいるかと。
新本をどっかから出すとか、御本人が同人誌再版するとか、
いろいろ話しがあったらしいですが
版権がらみで面倒なことになってるとかいないとか、風の噂にききました。
でも結局どこかから、文庫ででたのかな??文庫ででたのは別のかな??

シガレットリバティはSILENCE TO LIGHT(今みてみたらシリーズ名は「レーゾンデートル」というらしい。)のシリーズもの…というか番外編みたいな、そんな作品です。わたしは本編(?)のほうはどうもイマイチで(胃が痛くなるああいうの…笑。他人の花畑の綺麗な花を若い坊やが横取りする話、に読めてならない。カヤもハルもかなりワタシにとってはキビシーキャラだ。)番外編のほうが好きだったりするのでした。

表題作は、田舎町で自分も世界も家族も煮詰まっているショーネン(アンジュ、というカレはカヤの美大での共同研究者)が
遠洋漁船か何かに乗ってたというショーネン(イギー)と旅をしたりする話なんですが、(そうなのか?笑?)アンジュの妹(パルマ)が歩けなかったり母親は逃げた男待ってたり、かなりしんどいです。イギーも船でアニキ(多分よそのひと)のイイコチャンにされてた気配でさらにそのアニキは女とにげちゃった模様だったり、かなり相当です。

空気は淡々としています。
設定のわりに重くなっていないというか。

パルマが絵葉書と煙草をコレクションしていて、歩けない妹のために兄ちゃんがあちこち自転車で出かけて、絵葉書を買ってくる、売ってなければ描いてくる、そんなことをやっています。アンジュが美術専攻なのはこの妹の影響だとかいうくだりもあり、かなり同化率の高い兄妹です。パルマは、ほんの子供ですが、ヘヴィ・スモーカーです。

『僕が生まれた/この海辺の街は/この地方独自の突風で/すさまじい海鳴りを/よぶときがある
子供の頃はその轟きを/恐れて泣いた/夜もあったが---……/今となっては/なけりゃー困る
だって町中/シンと静まり/返っていたら/この世の多くの/不必要な雑音が/聞こえ過ぎて疲れると/思うからなんだ』

そんな無意識の疲労が蓄積してそうな、さもなければ閉塞感みたいなものに逆撫で通り越してツルツルにされていそうな、歳のわりに小器用で大人で悟ったアンジュが ズルズルとイギーにハマってゆく様が モエです。けけけ。

あとどうでもいいことかもしれませんが、この話は非常に筋立てがハッピーになっていて、「ああ人生ってこうあってほしいよね」とか淡い夢と希望をもたせてくれるのが嬉しいです。

シガレットリバティの前のほうには ハルをとられたレオンというにーさん の話がはいっています。「草上の昼食」というタイトルなんですが、うーんと、わかる人は多分このタイトルだでなんとなくわかるんじゃないかなー、なんて。
自分で気に入ってるもの挙げるとよくわかるんだけど、わたしはわかりやすいものが好きみたいだ。このまんがの最初のページにはレオンの自己紹介めいた蘊蓄がモノローグになっているのですが、そのなかにこんなんがある。

『----28/その歳になった時には/流石にガッカリ/してしまった/エゴン・シーレが/死んだ歳だ
この歳に/なるまでには
何者かになっている/ハズだったので---』

これを読んだとき多分私は25くらいだったと思うのだが、
けっこう愛をこめて「くふふふふ」だったのをおぼえている。
今はもはや笑う元気もおきないが。(笑)

『近代美術の先駆けとなったこの絵は当時その絵画的価値とはうらはらに人々の批難をかったが その理由は主として ただその道徳的ないかがわしさにあった ---ただ道徳的な』
という最後、まあなんというか、ヤオイの問題にがっぷり4つにとりくんだともいえる(笑)、ワタシ的にはかなり高ランクの傑作です。



20040205

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