第1作「天体観測」


冬の午前二時・・・・・衝は友達の隼人とともに天体観測をするためにこの高台にある
踏み切りに来た。
衝「ふー、やっと着いたぜ。まったく寒いってぇの。まぁあとはあいつを待つだけだな」
そのときベルトに結んだラジオからこんな声が聞こえてきた
「今日は一日中晴れの天気になるでしょう」
天気とは天体観測をするとき晴れないといけないというほど大切な事だ
そのとき
「おーい」
衝「やっと来たか・・・ってその荷物なんだよ。多すぎないか?」
隼人「そうか~?こんなもんじゃないのか?」
衝「ここで何日も泊まるわけでもないのに・・・」
隼人「いいじゃんか荷物ぐらいさ。で、今日の天気はどうなんだ?」
衝「今日は晴れるみたいだし、思う存分星を見ようじゃないか」
隼人「よし。早速はじめようか」
衝「絶対ほうき星を見つけ出してやるぜ」
二人は夢中で天体望遠鏡を覗き込んでほうき星を探した
しかし、ほうき星はそんなに簡単に見つかる物じゃない
隼人「それにしてもくらいな~」
衝「当たり前だろ。今の時刻を考えてみろよ」
今は午前三時今から明るくなってくるという時刻だ
衝「そろそろ明るくなってくるな。もう少しで終わるか?」
隼人「そうだな~何も今日しかチャンスが無いわけじゃないし。だけどもう少しやってみようぜ」
衝「分かってるよ」
そこで衝は隼人の手が震えてるのに気づいた
だが衝は何故か握るともう自分から離れてしまいそうで隼人の手を握ることが出来なかった
衝「なぁ。この天体望遠鏡ってさ人の目では見えないものをはっきり見るためにあるんだよな?」
隼人「いきなりなんだよ。まぁそりゃぁそうだろうな。これがあれば目で見えないものも見えちまうからな。すごいよな~」
衝「まったくだ。こういう便利な物があって良かったよな」
隼人「そうだなぁ」
これまで天体望遠鏡を覗き込んでいた隼人がいきなり叫んだ
隼人「おいっ。衝、見てみろよ。月に大きな穴がいっぱいあいてるぞ!!!」
衝「当たり前だろ。そんなこと誰でも知ってるよ」
隼人「まじで!!!?俺初めて知ったよ」
衝「それぐらい常識だろ。知ってろよ」
隼人「まぁこういう発見があるから楽しいんだろ?いいじゃないか」
衝「まぁな」
二人がこんな会話をしているのは午前2時から4時ぐらいまでの間だ
こんな早い時間他の人が起きているわけ無い
つまり二人の話し声以外は完全な静寂というわけだ
この二人はその静寂を切り裂いてこういう会話をしてきたのだ
そういう意味ではこの二人はすごい勇気があったというべきだろう
衝「そろそろかなり明るくなってきたし、眠いし、やめるか?」
隼人「そうだな。また一緒にほうき星探そうな!!!」
衝は「結局隼人ばっかり見てたなぁ」と思いながらも隼人と別れて自分の家に戻った
衝「ふぁ~あ。帰ったらすぐ寝よう」
この二人が一緒に天体観測をする機会がこのさき無いとは今はまだ二人とも
思いもしなかっただろう

第1話「天体観測」 終了

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