僕等の世界

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雪の日の君-3-




――――朝、目が覚めると目覚し時計より早く起きていた。


「・・・起きれた。」

パッと目が覚めた。
起き上がりベットに腰掛けベットの棚を見る。
昨日の夜、念の為に家中引っ掻き回して見つけ出した目覚まし時計。
セットした時間より30分も早い。

別にアイツと会うのが楽しみとか、そう言う訳じゃないのに・・・。


「・・・って、何故起きる、俺!!!」

数分してから頭が醒めてきて思ったコト。

「別に俺は約束を了承した訳じゃねぇんだから起きなくても良いだろ!?あの女のことだって俺にはどうだって・・・」


『また明日会おうね?』


・・・・・・・・・・・良い、筈・・・なのに;;


「だぁ―――――っ!!ったく、何なんだよ!!」

ベットから立ち上がり寝癖でボサボサの髪をセットし直して、顔を洗い歯を磨き、昨日と同じ静かな台所へ行き昨日の夕飯の残り物を口に運ぶ。


「ハンバーグ・・・温めるべきだった;;」

一晩冷蔵庫の中に放置されていたハンバーグは、肉の脂が白く固体化して口の中に何とも言えないくちあたりを残して喉の奥に消えた。


部屋に戻りコートを羽織り手袋をする。

俺がこんな朝早く起きているなんて、小学生の頃夏休みにやっていたラジオ体操以来。
そう言えば昨日の朝も母さん驚いてたな・・・。


ジリリリリリリリッ!!!!!

「ぅわっ!?」

いきなり後ろから鳴り出した大音量の元凶は、俺が30分前に止める事を忘れていた目覚し時計。

「ビビった・・・;;」

ハッキリ言って今のは心臓に悪い。


「もう二度と使わねぇ・・・。」

そう心に誓い時計を止めた。


そろそろ時間。
結局、俺はアイツとの約束を守るらしい。

お人好しなんだか、物好きなんだか・・・。


ドアを開けると昨日積りかけていた雪は跡形も無く溶けていた。
その代わり霜柱が庭の花壇に幾つも立っている。


――――俺の吐く息は昨日と同じ煙草の煙のようだった。


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