首都圏大停電 送電線の完全復旧に5000万円
■東京電力、三国屋建設などに損賠請求
東京電力は24日、今月14日にクレーン船による送電線接触事故で起きた大規模停電に関する報告書を経済産業省原子力安全・保安院に提出した。この日記者会見した山口博執行役員は、の費用がかかるとの見通しを示し、クレーン船の所有者の三国屋建設(茨城県神栖市)などに損害賠償を求める方針を明らかにした。また、事故発生から1時間で送電を再開したが、復旧訓練の充実や復旧操作の自動化などの対策を進め、「30~40分に短縮したい」と述べた。
損害賠償については、停電時間が1時間を超えた契約者に適用される料金割引の負担などその他の被害額を算定。発注元の大林組も請求対象とするかも検討する。
報告書によると、午前7時38分に事故が発生し、午前8時37分に別ルートで停電した全系統へ送電を再開。停電した139万1000軒のうち137万6000軒で停電が解消した。ただ、各契約者に電気を送る配電設備に不具合が発生し1万5000軒で停電が続き、完全復旧は停電当日に発表していた約3時間後よりも長い4時間42分後の午後0時20分だった。
接触事故の原因については、「送電線付近での作業に関しては適切な安全対策を実施していたが、送電線下を通るクレーン船への注意喚起が徹底できていなかった」と分析。川岸や鉄塔に設置していた注意喚起の標識に加え、河川内にも標識を設置するほか、水上パトロールや関係者への安全PRの強化などの対策を実施する。
復旧作業の検証では、「(作業マニュアルの)計画通りおおむね1時間程度で復旧したので適切だった」と指摘。ただ、首都圏での停電による影響の大きさから、さらなる短縮を検討。訓練充実のほか、復旧操作の自動化装置の開発を進める。
また、配電設備で基板が焼けたり、設定が狂うなどの不具合が発生したことが、完全復旧までに長時間を要する原因となったことが新たに判明。原因を究明し対策を実施する。このほか、事故原因や停電状況などの広報体制について、「迅速性に欠けた」と反省。広報対応の改善を図るほか、携帯電話を利用した停電情報の発信なども検討していく。
(フジサンケイ ビジネスアイ) - 8月25日8時33分更新