楽しいこと見~つけた!!

楽しいこと見~つけた!!

続・人に伝える


色んな身振り手振り&目力を使うと、更に良く伝わるぞ…と学習。
そんなある日の晩ご飯の事。

チェーン店のうどん屋さんでカツ丼を頼んだyouちゃん。最初は、念入りに、卵とじの部分とカツの部分を、取り分けながら慎重に食べていた。

↑それって、どういう事?って人の為に解説。

youちゃんは、味覚がとっても過敏で、野菜の苦さや、渋さをマムなんかより、何倍も感じちゃう。だから、カツ丼みたいに、大好きなトンカツや卵とじと、大っ嫌いなネギや玉ねぎ、美味しいかどうか怪しいフニャフニャの海苔は、最初から、丁寧に分けて、食べられる食品のみ、口入れる。
炒飯の炒り卵と、みじん切りの人参を分けているのを見た時は、さすがにビックリしたけど、それくらい、youちゃんにとって、世の中、食べられない味に満ちてて、安心して口には入れられないって事。

さて、慎重に取り分けながら食べていたyouちゃんの手が止まり、「パクッ、パクッ」と言いながら、食べるマネを始めた。

最初は、またなんか始めたよ…と、様子を見ていたマムも、余り続くと…「食べんのなら、頂戴」と、箸を伸ばして見る事に…。
すると、慌てて、トンカツをパクリ。

ビックリしたのは、ネギが乗ったままのトンカツを食べた事。肉と野菜を一緒に口にするのを見たのは、初めてだったのです。
余りに驚き、マムはyouちゃんを絶賛!
youちゃんも、覚悟を決めてチャレンジしてできた自分が、
余程誇らしかったらしく、なんとか、この喜びを伝えようと考えた。

そして、口をあ~んと開け、舌を指差して、「でぎ(ネギ)」と言った。
『マム!僕、ネギも一緒に食べたんよ。エライ?』…と、まあ、こんな風に言いたかったのは、良くわかった。
マムも嬉しくて、「ほうじゃね~。よう食べたねぇ~。マム、すっげぇ、嬉しかったよ~。」と、更に、大絶賛。

食べられた上に、思いが伝わったのが、余程嬉しかったみたいで、それから、会計を済ませ、家に着くまでの10分ちょい、ずっと「でぎ」と言い続けた。

もちろん、youちゃんの嬉しさは良く分かるので、「すごかったなぁ~。」「偉かったなぁ~。」と言ってたマムも、家に着く頃には、無口になっていたのは、言うまでもない。

この話には、後日談があって、マムは、この後10日ほど、youちゃんの「でぎ」を聞く羽目になる。

youちゃんは、言葉がない…でも、それでもイイやと思っているワケじゃない。努力を惜しんでいるワケでは、更にない。
努力してもできると思えないから、せっかく伝えたのにわかってもらえなくて、泣く泣く諦めているのかもしれない。だから、上手く伝わった喜びは、当たり前にしゃべれるマムよりも、何倍も嬉しいんじゃないかと思う。

コミュニケーション=言葉じゃない…けど、言葉ほど合理的なコミュニケーションツールはない。タイムリーなタイミングで、適切な表現だと、以外と簡単に思いは伝わる。マムは、そんな瞬間をいつもドキドキしながら捕まえている…youちゃんの「人に伝える」…は、そんなスリリングな瞬間なんだ。

でも、だからこそ、youちゃんの伝えたい願いを、ちゃんとゲットした時は、マムも、youちゃんも、とっても嬉しい。

そして、食べ方も…。何もかも分別して食べることを、それでもイイやとは思ってないんだ。マムやryoちゃんみたいに、何も気にせずパクッと食べたい。当たり前に食べたいんだ。だから、「パクッ、パクッ」と言いながら、『いっぺんに食べたいなぁ~、でも、大丈夫かなぁ』と揺れながら考えていたんだろう。正に、清水の舞台から飛び降りる気分だったんだと思う。

マムに背中を押されたとは言え、意を決して食べた自分に、一番ビックリしたのも、高い高いハードルを乗り越えたと言うことに誇らしさを感じたのも、他ならぬ、youちゃんだったと思う。

◯◯みたいになりたい…そんな憧れが、今日もyouちゃんに、障がいを乗り越えるパワーを与える。何度も揺れながら、チャレンジを繰り返し、いつかハードルを乗り越えて行く。
頑張れ!youちゃん。

(2011.10.22 記)

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