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2025/09/09
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テーマ: 武侠の世界(87)
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超久しぶりの小説です。

登場人物

🧍‍ ♂️ 主人公と師

凌風(りょうふう)

  • 主人公。無極の村に生まれた少年。
  • 体が弱いが、世界を静かに観る目を持つ。
  • 太極拳を通じて「型を学ぶ」から「型で学ぶ」へ、そして「型を超える」旅を歩む。
  • 最終的には「無極の型」を編み出し、太極拳の思想を継承する者となる。

凌白(りょうはく)

  • 凌風の祖父。元武人で、養生功や五行体操を教える。
  • 太極拳の哲学的な基礎を凌風に伝える。

古雲真人(こうんしんじん)

  • 五派を極めた伝人。太極拳の深奥を守る師。
  • 凌風に「型は問いである」と教え、十訣を授ける。

🧍‍ ♀️ 仲間たち

朱蓮(しゅれん)

  • 五行体操の巫女。気の流れを読む力を持つ。
  • 水の型を失った過去を持ち、記憶と流れの再構築を通じて「朱蓮式・水功」を編み出す。

雪音(ゆきね)

  • 沈黙の型を舞う女性。守ることの意味を問い続ける。
  • 朝廷に潜入し、情報を集める密命を担う。
  • 「包む意志」を体現する「雪音式・陰の型」を編み出す。

風雷双童(ふうらいそうどう)

  • 双子の拳士。風童は陽の気、雷童は陰の気を纏う。
  • 風童:速さを追求するが、問いの意味を見失う。
  • 雷童:重さを追求するが、守る意志を見失う。
  • 分岐と再統合を経て、それぞれ「風の型」「雷の型」を編み出す。

🧍‍ ♂️ 対立者・黒鶴門

鶴影(かくえい)

  • 元黒鶴門の武者。放浪の身。
  • 凌風に「雷は意、風は気」と教え、太極拳の本質に導く。

鶴冥(かくめい)

  • 黒鶴門の門主。力による秩序を信じる。
  • 凌風との戦いを経て、太極拳の認識に触れ、膝をつく。

玄影(げんえい)

  • 黒鶴門の影武者。破壊の意志を持つ拳を使う。
  • 凌風との戦いで「くっつく拳」によって動きを止められる。

鶴刃(かくじん)

  • 黒鶴門再興を目指す若き拳士。
  • 力と認識の融合を掲げ、「融合の型」を舞う。

鶴幻(かくげん)

  • 黒鶴門の新門主。太極拳を「答えを強制する拳」と定義。
  • 「太極制式拳」を制定し、問いのない型を広める。

🧍‍ ♂️ 都市の拳士たち

蒼牙(そうが)

  • 崑崙武館の若き拳士。速さと力を信じる。
  • 凌風との再戦で「認識による止め」に触れ、変化の兆しを見せる。

白蓮(びゃくれん)

  • 元崑崙武館師範代。意識武術を探求する女性。
  • 凌風に「型の外の問い」を教える。

黒牙(こくが)

  • 崑崙武館の拳士。力を信じる。
  • 雪音の「包む型」によって動きを止められる。

🧍‍ ♂️ その他

若き弟子たち

  • 凌風の教えを受け、問いを持って型を舞う。
  • それぞれが風、雷、雪、水の型を編み出し、太極拳の未来を担う。

📖 第一章:無極の村

風は静かに山を撫で、木々の葉はささやくように揺れていた。
その村は、地図にも載らぬほど小さく、時の流れからも忘れられたような場所だった。人々は自然と共に生き、争いを知らず、ただ季節の移ろいに身を任せていた。

凌風は、その村の片隅に住む少年だった。
生まれつき体が弱く、走ることも、跳ぶことも、他の子供のようにはできなかった。だが、彼には一つだけ、誰にも負けないものがあった。
それは、 静かに世界を観る目 だった。

祖父・凌白は、かつて武の道を歩んだ人物だった。
今は老い、畑を耕しながら、孫に「養生功」を教えていた。
「風を感じろ。風は見えぬが、確かにそこにある。気もそうだ。目に見えぬが、感じることはできる」

ある朝、凌風は祖父と共に「五行体操」を行っていた。
木功では両腕を横に広げ、風を受けるように。火功では指先を天に向け、陽の気を集めるように。
その動きは、まるで自然と一体になる儀式のようだった。

「爺様、僕の動き、変じゃない?」
「変かどうかは、心が決める。型は鏡だ。お前の心が揺れれば、型も揺れる」

その言葉に、凌風は黙って頷いた。
彼の心は、確かに揺れていた。何かが足りない。何かが、呼んでいる。

その日の午後、村に一人の旅人が現れた。
黒い衣を纏い、背には長い棒を背負っていた。目は鋭く、だがどこか哀しげだった。

「この村に、太極拳を知る者はいるか」
その声に、祖父はゆっくりと立ち上がった。
「太極拳は、知るものではない。感じるものだ」

旅人は名を「鶴影」と名乗った。
彼は、かつて黒鶴門に属していた武者であり、今は放浪の身だという。

その夜、祖父と鶴影は、村の広場で静かに向かい合った。
言葉はなく、ただ型が交わされた。
風が止み、空気が張り詰める。凌風は、初めて「勁」というものを目にした。

鶴影の動きは、力強く、だが無駄がなかった。
祖父の動きは、柔らかく、だが芯があった。
二人の型は、まるで陰と陽の舞のようだった。

その戦いの後、鶴影は凌風に言った。
「お前の目は、風を見ている。だが、雷を知らぬ」
「雷 ?」
「雷は、意だ。風は、気だ。太極拳は、その両方を知る者の拳だ」

その言葉が、凌風の心に火を灯した。
彼は、太極拳を学ぶことを決意する。
祖父は静かに頷き、村の外れにある石碑へと彼を導いた。

そこには、古びた文字が刻まれていた。

「太極は無極より生じ、動静の母なり。動にして分、静にして合。陰陽の母なり」

凌風は、その言葉を胸に刻んだ。
そして、旅立つ決意をした。

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Last updated  2025/09/10 03:31:19 PM
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