ネイティブスピーカーも知らない!英語のヒ・ミ・ツ

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「R」と「L」の音



ところで、日本語の「らりるれろ」はRかLか? ローマ字ではRの方で表記するが・・・。

実は、どちらでもない。ra ri ru re roをR音に忠実に発音してみれば「ぅあ ぅい ぅう ぅえ ぅお」のように聞こえるだろうし、la li lu le loなら「だでぃでゅでど」のように聞こえる。強いて言えばL音の方が近いだろうか。英語の歌スキャット風に「ラララ・・・」と歌う部分は「La La La・・・」と表記されているし(だがパソコンのローマ字入力でla li lu le loはぁぃぅぇぉと変換されてしまう・・・)。

マリナーズのイチローがシーズン最多安打記録を塗り替えたとき、スタジアムでファンがイチローコールをしていた。だが綴りに忠実に「I・CHI・ROー!」というコールなので、「いちぅお! いちぅお!」と聞こえる。「サムライ!」コールもあったが同じく「さ・む・ぅあ・い!さ・む・ぅあ・い!」 

日本語の「らりるれろ」に一番近い音は、意外にも、米語のt音だったりする。次の項目で述べるが、t音は舌先を歯の裏に付けて、それをはじいて出す音だ。「らりるれろ」と言ってみると分かるが、これも同じように歯の裏に舌を付けてはじいている。強め&長めに押しつければはっきりしたT音になるが、アメリカ英語ではしばしば文頭以外ではこれをゆるめ&短めにする(イギリス人はその発音を嫌うが)。その結果、日本語の「らりるれろ」と同じような発音になるのだ。
「わら、わら」と言われてなんのことかと思ったらwaterだった、というのはよく聞く話…おっとこれも次項向けの話であった。

さて、それではR音はどういうものかというと、
舌を口の中でどこにもつけず、奥にひいてまるめるようにして出す。
舌の位置のせいで、くぐもった音になるが、なにしろどこにも舌を付けないからはっきりした音の始まりのインパクトがないままで、日本人にとってはただの母音だけと変わらないように聞こえてしまう。 「ru」も「u」も「う」としか聞こえないのだ。

歯医者に行って歯をいじられているとき(うううう)、だれでも舌を必死で奥に引くと思う。あの感覚を思い出して欲しい。舌をそのように引いた状態で「あー」とか「うー」とか言ってみる。それがRの音だ。

R音はしばしば、発音する前に「ぅ」が感じられる(「Ichiro い・ち・ぅおー」「Samurai さ・む・ぅあ・い」「Right ぅあいっ」)。瞬間的に舌を後ろに引く際に発せられる音だ。これを意識してみてもいいかもしれない。

一方、L音は、
舌を「かなり一生懸命」上の歯茎の裏に押し当て、はじかずに、当てたまま舌の両脇から音を出す
感じになる。ほとんどのL音はすぐ後に母音がくるのでけっこう認識できるのだが、問題は語尾にくるL音だ。school、mailなど、L音で終わる単語は数多い(語尾のeは発音しないので、綴り上がleでも同じである)。語尾のL音は、舌を上の歯茎のうらに押し当てて止めるだけなのだ。母音がついていないので、非常に認識しにくい。schoolは決して「スクール」ではなく、「スクー」と聞こえる。よく注意していれば、語尾に小さな「ぅ」がついていることは分かるかもしれない。「すくーぅ」。この「ぅ」がL音なのである。


R音は語頭だととくにわかりにくく、L音は語尾で分かりにくい。だから、「rule」は壊滅的になってしまうのだ。「うー」としか聞こえないのも仕方がない。
自分でやってみても「rule」の発音はしんどい。舌を思い切り奥に引き、その直後にこんどは前に思い切り押し当てる。

そもそも、日本語では、舌が前後に動くという発音がないのである。「たちつてと」や「らりるれろ」で舌に当てるが、それ以外は、ほぼ歯の少し後ろぐらいに置かれて意識されない。それに対して、英語では舌が前後に忙しく動く。筋肉の動かし方が違うので、どうしてもある程度のトレーニングが必要になる。
ついでに言えば、母音の発音でも、英語は日本語に比べて口の中の空間をダイナミックに使う。

なんども言うが、ネイティブみたいに聞こえるとカッコいいからそういう発音を練習する、のではなく、自分の口で感覚をつかんだ方が早く聞き取れるようになるから、練習するのである。
意識するポイントが分かると練習にも焦点が合う。RとLの発音について、ポイントは舌の前後の動き!である。これをお忘れなきよう。

R音についてはまだほかにも重大なポイントがある。tr、prなどのように前に子音がつくときの感覚についてだが、これはまた項を改めてまとめて触れることにする。

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