"it"が何か具体的なものを指す…いや、受けているときであっても、日本語ではっきりと「それ」などと訳すことは実は少ないと思える。 "My boyfriend take me to a new Italian restaurant last weekend. It was reeeealy good." (先週末、彼が新しいイタリアンレストランに連れていってくれたの。すっごく良かったわよ)
こういうとき、「それはすごく良かった」などと訳したらカッコ悪い。というか、ふつうそんな風には言わないでしょ? でももちろん、itがそのa new Italian restaurantを「受けて」いることは間違いないのだが。だがそれをいちいち「それは」などと訳したら、「へたくそな翻訳」臭丸出しである。 日本語として不自然なのだ。
これまた主語だけではなく、たとえば新しい場所にやってきて 「ここ、気に入ったよ」 なんて言う場合も、目的語をitにして、 I like it here. などという。 誤解されやすいが、hereは名詞ではない(副詞であり、意味は「ここに」とか「ここで」とか「ここへ」とかなのである。「ここ」という意味ではないのだ)。目的語というのは名詞でなければならないので、likeの目的語をhereとして I like here. というのは文法的に間違っている(他動詞であるlikeには『必ず』目的語が必要でもあるし)。 I like it here. なら、 「ここにおける『状況』は気に入った」 ということで成り立つのだ。