前門の虎、後門の狼 <年子を抱えて>

前門の虎、後門の狼 <年子を抱えて>

球史に刻んだ500号




 「ケツの穴の小さいやっちゃ。チ××コついとんのか」。いやはや、スポーツマンの風上にもおけない。下品にもほどがあるというものだ。4月21日の巨人‐阪神(東京ドーム)。阪神の大量リードで迎えた7回裏、2死満塁、フルカウントから藤川が投げたフォークを空振りし、三振に倒れた清原が、速球で力勝負しなかったと藤川を非難した。清原は史上8人目の500号本塁打に王手をかけていた。

 お門違いだ。空振りした自分が悪い。暴言は聞き捨てならない!清原の打席で、藤川はストレートを3球も投げている。それを清原は2球ファウルした。最後のフォークもストライクだった。全部フォークならいざ知らず…。

 大量点差がついた試合では、攻撃側は盗塁や送りバントをしない等、球界には暗黙のルールがある。だがそれは攻撃側のルールであって、守備側のルールではない。終盤7回で4番打者にグランドスラムなど浴びようものなら試合の流れは完全に逆転する。これはフォークを投げた藤川自身もよくわかっている。あの場面で「次、ストレート投げますよ~」なんてお知らせする投手がどこのチームにいるというのだ。勝負したじゃないか?勝負ってのは真っ直ぐじゃなければいけないのか?

 桑田、そして堀内監督までもが、清原を擁護する発言をしたらしい。まったく、アホな雁首揃えて何を甘ちゃんなこと言うてんねん!真剣勝負の世界で何年飯食っとるんや!どのチームのどの選手も優勝目指してるんやろが!ストレートしか打たれへんのや~みたいなこと偉そうに言うとるなよ!プライドっちゅうモンはないんか!フォーク投げられて文句言うてるんやったらナベツネのハゲオヤジにゴマすって変化球禁止にでもしてもらえ!

 おっと…。私も暴言でしたな。しかしまぁ、巨人の4番打者ともあろうお方が、打ちやすいボールを投げてくれとは情けない!あれが敬遠とか、ストライクが入らないなら、逃げるな藤川!と思うところだが、勝負しているのだから。打者は打とうとする、投手は打たれまいとする、そこに当然の心理的駆け引きが生まれる。だからこそ、手に汗握る醍醐味があるのだ。それなのに打てなかったからって、相手投手を非難するなんて、しかも汚い言葉で罵るなんて、最低だ。プロ野球選手である前に一社会人として到底黙認できるものではない。そういえば、かつて阪神に在籍していた江本は「ベンチがアホやから、野球でけへん」と、とある新聞社の記者にボソっと一言言っただけで、クビになったのでしょう。いやぁ、巨人は寛容ですね。さすが、球界の紳士ですね。さすが、球界の盟主ですね。

 どうして彼が「男清原」なんて言われるのかサッパリわからない。 今回の件で確実に男を下げた。「負け犬の遠吠え」と言われても仕方がない。真の男は、言い訳は言わない。球界の番長とか言われて大ボス気取りなのかもしれないが、皆が皆、清原を崇拝していると思ったら大間違いだ。

 その後の中日戦では、平井の投球は全球ストレートだったが…。うーむ、力んでますなぁ。

 と、まぁ、あと1本と王手をかけてからが長く、実に7試合もかかったわけだが、29日の広島戦で、ついに通算500号本塁打を達成した。長いプロ野球の歴史の中で500本以上打った選手は、過去7人しかいない。868本の王、657本の野村ら、そうそうたる顔ぶれである。メジャーリーグでも500本以上打った選手はわずか20人で、日本の名球会のように「ファイブ・ハンドレッド・クラブ」として讃えられている。500本とはまさに超一流スラッガーの勲章である。長くプレーし続けている証拠でもある。あんな発言で格好悪いところを見せてしまったが、もしかしたら今後もう出ないかもしれない偉大な記録に、喝采を贈りたい。

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