放射線を人体に照射するには当然のことだが免許が必要です。
又、診療放射線技師法第28条に「放射線を人体に照射するときは照射録を作成し、指示をした医師の署名を受けなければならない」と、あります。
これに違反した者、または医師でない者が勝手に作成した場合は第34条にて罰せられます。照射録に必ず記載していなければならないのは、照射を受ける者の氏名、性別、年齢、照射をした年月日、照射方法(具体的かつ詳細に記載)、指示をした医師の氏名及び指示内容。
指示をした医師の名前がないだけでも20万円の罰金に処せられます。
そうして作成された照射録は5年間の保存義務が発生します。
それだけ人体に放射線を照射する行為は大変な事だと理解できたと思います。
忘れてほしくないのは、放射線を人体に照射できるのは、患者さんが利益を得られる場合に限りとあります。(病気を見つける為とか)
では、実際に放射線を体に浴びたらどのような影響があるのかを説明していきます。 患者さんの中には「子供をつくらないから平気」等と言う人が何人もいます。 しかし、それはスーパー大間違いです。 放射線に関する感受性は臓器にもよるし、細胞分裂の盛んな部位も感受性が高いのです。又、高齢者より若年者の方が高感受性です。
医療の世界では今のところないのですが、一度に大量の放射線を浴びた人の例を一つあげます。38歳男性。1964年に事故で被曝。総線量は8800cGy。
内訳⇒中性子線2200cGy、γ線6600cGy。 被爆後約200m離れた建物まで徒歩で行くことができたが、被爆直後から腹部痙攣、頭痛、嘔吐、血性粘液便をきたした。 翌日は気分が良くなったが落ち着かない様子で、翌日状態は悪化し、倦怠感があり、呼吸は浅く、見当識は障害され、血圧は低下。被爆後48時間で死亡した。
これは極端な例ですが、放射線を浴びても良いという根拠はどこにもない事を理解していただく為に挙げました。
放射線障害のメカニズムを簡単に説明します。
放射線は物質を透過する時に物質を構成している原子にエネルギーを与える。
この原子は電離あるいは励起等の物理的作用が起こる。
↓
細胞の核のDNA等に傷をつける
↓
DNAの傷が細胞にとって致命的であるとき細胞死に至る。
↓
組織・臓器を構成している数多くの細胞に細胞死が起こる。
↓
臨床的な放射線障害として現れる。
回復現象
同じ放射線を浴びるにしても、少量の放射線を長時間にわたって受けた場合と、強い放射線を一度に浴びた場合とでは影響がかなり違います。 前者のほうがはるかに放射線障害は少なくなります。 これは、細胞や組織のもつ損傷回復力が放射線による障害の発生を上まわって働くためです。 したがって、年間2.4mSvという自然放射線による被曝で障害の発生はありません。(ブラジルのガラバリでは年間10mSv)
放射線による急性効果と晩発効果の主な障害
全身に強い放射線を受けた時の身体的影響は、数週間以内にあらわれる急性効果と、数年から十数年後にあらわれる晩発効果があります。 身体的影響のあらわれ方は受ける放射線量が同じでも年齢、性別等によっても差があり、胎児や子供は大人より放射線感受性は高い傾向にあります。
急性効果は一般的に、細胞分裂の盛んなところほど感受性がたかくなり、人の組織では、骨髄やリンパ節、生殖腺、腸管、皮膚等に影響があらわれます。
症状として、下痢、嘔吐、発熱、白血球・リンパ球の減少や、やけど、脱毛などがあげられます。しかし、致命的になってしまう約7Gyの線量を浴びてしまっても、全身では生存不可能ですが、体の一部であれば必ずしも致命的にはならないでしょう。 晩発効果とは、急性効果があらわれないような弱い放射線を受けたあとに、何年、または何十年後に白血病や癌になることです。
ちなみに、急性効果は造血器障害(出血傾向、白血球減少、発熱、強い場合死亡)
皮膚障害(脱毛、赤斑など)生殖腺障害(精子数減少、不妊)などなど。
晩発効果は、白血病、肺癌、乳癌、骨肉腫、白内障、慢性白血球減少症などなど。
このように不妊等は障害のほんの一握りにすぎない事が理解できたはず。
放射線によって不妊が起こるような場合、もっと重篤な障害が起こってくるでしょう。
病院で受ける検査で大量の放射線を浴びる事はありませんが、知識もなく無意味に怖がる人があまりにも多すぎます。怖いのなら余計に学ぶ努力をしてください。
充分な知識を持って正しく怖がるのが放射線との上手い付き合い方なのではないでしょうか。 乱筆乱文お許しを。