長い文章でしたね。
りりぃさんの詩が好きですが、長文も読み応え?がありますね(笑)
しかし、行動の「らしさ」は、昔から変わっていないような感じですね。

「夢想」とありますが、想いは過去に向かっているのかな?
(August 31, 2009 03:52:17 PM)

風が伝えた愛の詩

風が伝えた愛の詩

August 30, 2009
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カテゴリ: 夢想
「ねぇさん、明日の朝7時に起こしてくれるかな。オレ飲みすぎちゃって、明日仕事なんだけどね、起きられそうにないんだ。」

受話器から晴史(ハルヒト)の声が聞こえる。ろれつが回っていない。

「それはいいけど、ハル、大丈夫なの? 帰れる?」

「大丈夫だよ、ちゃんと帰れる・・あ、バス行っちゃった。なんかオレ、気持ち・・悪・・」

「ハル?」

問い返した時には電話がぷつりと切れていた。梨利子は何度も電話をかけ直したけれどつながらなかった。

大変。ハルに何かあったんだ。気持ち悪いって言ってたから、まさかその場に倒れたまま意識が無くなっちゃったとか・・

そう考えたら居ても立ってもいられなくなって、あわてて服を着替え走って家を出た。
奈良の橿原神宮前という駅から列車に飛び乗って、京都までの直通の便はないようだった。

西大寺駅に着いた時、京都行の列車を探したけれど、新田辺駅行きの普通列車しか見当たらない。梨利子が車両の後ろに乗り込んだ車掌さんに聞いてみたところ、この列車が京都方面へ向かう最終列車であり、同時に、新田辺駅止りであることを教えてもらった。新田辺までであろうがそこまで列車で行くほかない。梨利子が列車に乗り込むのを待って扉はゆっくりと閉まった。

席に腰かけた梨利子は携帯電話の乗り換え案内を見ることにした。新田辺まで行けば、JR線への接続があるかもしれない。そう期待してのことだ。

接続の列車はありません。

わずかに一行、乗換案内は無表情に告げる。

新田辺の駅に着いた梨利子は近鉄線の改札口へ走った。切羽詰まった声で駅員さんへ問いかける。
「京都駅まで行きたいんです。新田辺からの接続はありますか? JR線はどうですか?」

駅員さんは困ったようなような顔でそっけなく告げる。

「もうどちらもありませんよ。最終です。」

「そうですか・・」

梨利子は仕方なく改札を出て、初めての新田辺の街に降り立った。
この駅から京都まで、どれくらい離れているのか見当もつかない。


「あのう、京都まで乗せていただいたらおいくらくらいかかりますでしょうか?」
「京都のどこ? ああ、駅。駅なら5000円だな。」
「あぁ、そうですか。。ごめんなさい。手持ちが足りなくて・・」

梨利子の財布には4000円しか入っていないことを先に確かめていたのだ。
仕方ない。歩くしかないか。。


今さらながら地図の読めない自分をふがいなく思い、それでも街と地図を見比べて方向を定めている時、電話が震えた。晴史からだ。

「あ、ねえさん、オレ今帰った。ごめんね、携帯の電池が切れちゃって・・。あれ、ねえさん、どこにいるの?うちじゃないでしょ?そこ、どこ?」
「無事に帰ったのね、よかったよ。え? 家だけど・・ああ、あのね、新田辺って駅まで出てきたんだけど、京都行きの電車がなくて・・」
「どっちへいく電車ならまだあるの?」
あ、そっか。。晴史が無事に家に帰っているならもう京都へ向かう必要はない。携帯電話を握ったまま駅に近づき時刻表をとらえる。
「あ、奈良行きならまだある。」
「じゃあ、それ乗って。奈良までいったらなんとかなるから。だめだったらタクシーに乗ってね。」
「うん、そうする。」

梨利子は時刻表とお財布の中を考えながら、たぶんどうにもならないなってことをうすうす察してはいたが、とにかく晴史のいう通り奈良行きの列車に乗ることに決めて、それに乗り遅れないように改札をくぐった。

奈良行きの列車の中で考えを巡らせる。西大寺から橿原神宮前行きの列車はとうに終わっていて、西大寺からタクシーを使ったとしたらおそらく8千円から1万円近くするんじゃないだろうか。奈良駅へ行けば安いホテルがあるかもしれない。それを探して一夜の宿にしようか。あるいは・・。

奈良駅に着いた時、すでに時刻は午前12時半を回っていた。終電奈良駅の改札は思ったよりも人が少なく、みな足早に四方八方の出口に向かって遠ざかっていく。ふと、奈良に住む友達の顔を思い出し、彼女を頼ろうかなと思いはしたけれど、結婚して小さな子供を二人育てている家庭を持つ、そんな彼女の家にこんな時間に押しかけられるわけがない。
ホテルに泊まるかあるいは野宿。とりあえず奈良公園のある出口へ向かって歩き出し、商店街を通る。

商店街は思いのほか人通りが少なく・・、いえ、ぱったりとない。店はすべて閉まっていて、ホテルなんて見当たらない。途中若者数人の声がして、梨利子はあわてて身を隠し、すれ違わない道を選びながら、さっさとこの商店街を抜け出た方がいいなという気持ちになった。

商店街を抜けると、猿沢の池に向かう道に出る。ホテルがあった。一泊3000円代で泊まれるという文字も見えたけれど、手持ちの金額に余裕がない。24時間開いているコンビニで預金をおろして泊ろうかとも考えたけれど、そのころの梨利子は預金さえ余裕がなく、むやみにおろせないことを知っていた。

時計を見るとすでに午前1時を過ぎている。いまから始発までの4・5時間をホテル泊るなら、いっそのこと起きていよう。
そう決めて猿沢の池の周りに近づく。眠りについた池は闇をも飲み込むほど黒く、脇の柳は侵入者を追い払うように揺れた。
あわてて方向を変え、目の前の階段を上りきると興福寺付近に出ることを思い出し、梨利子はいっきに階段を駆け上る。
人気のない奈良公園がこんなにさびしい風景であることを目の当たりにして震えた。

「とにかく晴史に連絡しなきゃ。」
電話しようとして、時計を見るとすでに午前1時半を回っている。明日はサークルのガイドの仕事で朝が早いといっていた。もう寝ていないといけない時間だ。メールにしよ。
「タクシーに乗って帰ります。」
ちょっと迷ってウソを選んだ。文字ならウソにできる。もしもメールの着信音で晴史が目を覚ました時に、彼がまた眠れるように。

興福寺南円堂だったかその隣のなんだったか忘れたのだけど、目の前には仏さまのお姿がある。
「一晩お泊めください。無事に過ごせますよう」そんなことを祈りもして、仏さまの近くだったら悪さする人はきっとあるまい、そう思いもして、目の前の事務所のような軒下に宿を借りるつもりで腰かけた。

11月半ばの奈良の気候は、思いのほか冷え込んで、お風呂上がり簡単なものに着替えただけの軽装を悔やんだものだ。
何か温かいものを飲みたかったのだけれど、飲むとお手洗いに行きたくなる。何も飲まないことに決めて腰かけていると、何を思ってか横切る人がこちらをいぶかしげに見る。
かまわないでくれという風情を装ったり、あるいは、立ってその場を立ち去る風を装ってその場をやり過ごす。

午前3時ころ、暴走族の叫び声、何やらパーテイをしているかのごとく騒ぎ声が聞こえ、それはしばらく続いた。
歩いてよいのやら歩かない方がいいのやら、結局動かないことに決めて仏様に祈る。

午前4時半。結局一晩一睡もせずに朝を迎え、始発の時間までなんとかなるだろうってやっと思えるようになったこのころ、ホットココアの缶を自動販売機で手に入れる。少し散歩して始発で帰ろう。そう決めてあたりをひとまわりしてから駅に向かう。
駅へ降りる階段の地上入口には、まだしっかりとシャッターが下されているのをみて、そのシャッターに目の届く場所に腰かけて待つ。

夜通し遊んでいたらしい二人連れの男たちが車のまどからからかいの声をかける。「おねえさんいくつ? 電車待ってるの?家まで送ってあげるから乗りなよ」

丁重に断っていったんその場を立ち去り、また戻ったころにシャッターは開いていた。
午前7時晴史にメール。「起きたよ」のメールを確かめて眠りについた。

次の日晴史の仕事先が奈良で興福寺南円堂もその案内コースに入っていたことを後から知った時には笑った。「なんだ、もう少しそこにとどまっていたら、ハルの仕事っぷり、見せてもらえたのにね」

晴史は当時大学3回生。観光名所ガイドのサークルに所属していた。14も歳が離れていることを意識したのはその翌年のことだった。





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最終更新日  August 31, 2009 12:03:15 AM
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Re:興福寺の夜(野宿の夜)(08/30)  
LOTUS さん

Re[1]:興福寺の夜(野宿の夜)(08/30)  
LOTUSさま

先日はありがとうございます。
長文で失礼いたしました。 小説風に化けたつもりですが、すっかりバレているようで^^;

想いは言われてみれば、過去に向いているのかもしれません。ただこの文章も先の文章も先日ある人と話している中で説明なしにこぼれ出たもので、その説明のつもりもあってまとめたものなのです。 (August 31, 2009 11:21:58 PM)

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