るんめぐ♪物語

るんめぐ♪物語

初めての夜


赤いリボンの仔犬を抱き、Y.Tさんをご主人の待つファミリーレストランの駐車場までお見送りした。Y.Tさんは、黄色いリボンの仔を抱きあげたとき、振り向いて、「この仔は、お孫さんへのプレゼントにおばあさんがお迎えするんです・・・この仔が可哀想で・・・」と言われた。「どうしてですか?かわいがってもらえるんじゃあないですか」と私が言うと、Y.Tさんは、首を振って、「こどもさんが小学生なので、おもちゃにされるかも・・・本当は、この仔を渡すの、嫌なんです」と言われた。
このときのY.Tさんの嫌な予感は当たったようだった。それから1年後、我が家に来たこの黄色いリボンの健康そうな仔は、この世にはいなかった・・・
それを知ったのはずっと後のことだった。

仔犬が我が家に来た最初の夜、リビングのケージに入れ、隣の部屋で休もうとした。ないても無視すること・・・。テキストどおりにするつもりだった。でも、ずっと悲しげにないている声に負けて、ケージを開いて、抱きあげると、小さい小さい体で必死に私の肩にしがみついてきた。もう、ほっておけなかった。
一晩、私はケージの前で眠ることになった。後でわかったことだが、ケージに毛布をかけてやるのも忘れて、火の気のない部屋の寒さと親犬と別れた
寂しさで仔犬には、随分、心細い思いをさせてしまった。

翌朝、Y.Tさんから電話があった。昨夜、携帯メールをなんども出してくださったそうだが、戻ってきたとのこと。メールアドレスの転記ミスだったそうだ。仔犬のことが心配で電話をくださったのだそうだ。なんどもなんども「育てられなくなったら、いつでも引き取りますから」そうおっしゃっていた。
ボールとるん


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