Little Butterfly

Little Butterfly

大人になりたい!



でも、夜になると私は家に帰らなくちゃいけなかった。家族とすんでたから…

私がTと付き合ってる事、すくなくともうちのお母さんは良く思ってなかった。歳が離れてるし(て言っても7つね)、アメリカ人だし、とかいろいろ言ってたけど、用は、「黒人だから」ってのが大きな要因だったんだと思う。そして、私がまだ家族と住んでいる限りは私は「勝手な事はしてはいけない」と言われてきた。もちろん、私の性格上、親に言われなくても、勝手なことはできなかった。運転している車は両親が与えてくれた物。ガソリン代や保険も両親が払っていた。家賃や食費、学費ももちろん、生活に関わる全てにおいて両親のサポートがあった。「自分で働けばいいじゃん」って思うかもしれないけど、アメリカ市民ではない私には就労ビザはない。近所で家庭教師やベビーシッターをしていたが、それはお小遣い程度にしかならなかった。

というわけで、結局は一人では何もできなかった私。Tとずっと一緒にいたいと思っても、時間が来たら家に帰らなくてはいけなかった。私の事をサポートしてくれる両親を無視して、Tといつまでも一緒にいるなんて事、私には到底できなかったのだ。

あの頃の私は”I wanna be independent” を口癖にしていた。大学生にもなって、親に頼らないと何もできない自分が腹立たしかった。でもTはそんな私を見ていつも、「今を大事にしろ」って言ってた。「今は当たり前でも、いずれは家族と離れる日が来るんだ。一緒にいれるうちに、たくさん甘えてたくさん思い出を作った方がいい。Don’t take it for granted」。

今になって、Tの言ってる事がわかる気がする。今は大学を卒業して、実家から5分もかからないアパートでTと暮らしてる。でも、4月には引っ越すし、来年の今頃は両親が近くにいないんだって事を考えると頭の中が真っ白になる。

大学生だった私は海から出たがっている人魚姫のように、毎日陸の上の事を考えてた。でも、両親がそばにいなくなる事を考えて頭が真っ白くなる私は、自分が思ってたよりも、まだまだお子様なのかもしれない。

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