unplugged

unplugged

3. 誰そ彼[たそがれ]


独楽のように弾ける俺と少し離れたところから殺気に形を与え飛ばしてくる影。

ここには道の灯りも届かず
黒色に
満ち溢れている。


・・・疾!
飛んでくる殺気を叩き落とす。
野郎の得物は・・・
距離を置いて放たれる殺気。
独楽のように回転してそれを弾く。
弾いた感触からしてナイフではない。もっと長いものだ。

ということは・・・弓か、そこらへんか。
ふん。いい腕してやがる。
的確にこちらの死角に回り込んで殺気を飛ばしてくるのだ。余程の使い手であろう。
だがこちらとてそれは同じ。
待機状態にしてあった魔眼を一気に起動させる。
迫ってくる矢がスローモーションになる。


・・・捉えた。


燃え上がる矢。
その影に隠れて弾丸のように一気に間合いを詰める。


獲った・・・!
影の首めがけて刀を振るう。
手にかすかな感触。しかし肉と骨の感触ではない。
ちっ。
そう、しくじったのだ。
一気に間合いをはずした影が声を発する。
「まったく。乱暴なのね」
透き通るような綺麗な声。

雲が移ろい真円を象った月が姿を現し闇を侵食する。
影の正体は長いマントを着た蒼い女だった。
「お前、なに者だ」
「・・・蒼空柊。第五騎士団騎士団長。よろしく」
俺が斬ったのだろうか。
マントが少し切れていた。
その傷のせいでマントは本来の形を失い蒼空と言う女の肩からずり落ちる。
顔が見える。
心臓の拍動が一回飛んだ。

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: