食事(リンとカリウム)



1.たんぱく質の制限
脂質や糖質と異なり、たんぱく質が代謝されると老廃物(窒素化合物)が残ります。この老廃物は腎臓でろ過されて尿中に排泄されるため、大量にたんぱく質をとると腎臓の負担が増え、ますます腎機能を悪化させることになります。そのため、腎臓病ではたんぱく質の制限が必要になります。
腎臓病の食事療法では、たんぱく質3gを1単位とし、たんぱく質を含む食品と、たんぱく質を含まずにエネルギー源となる食品に大きく分け、それぞれの栄養素でグループ分けした食品交換表をもとにメニューを考えます。また、食事療法の助けとなる治療用特殊食品も数多くありますので、これらを上手に利用することも食事療法を続けていくのに有効な手段です。

  食品100g中のたんぱく質含有量へ

2.十分なエネルギー量をとる
摂取するエネルギー量(カロリー)が不足すると、体内に貯えられていたたんぱく質がエネルギー源として消費されます。その結果、筋肉組織などの細胞が壊されて血液中の窒素化合物が増え、腎臓の負担が大きくなります。また、細胞内にあったカリウムが血液中に流出するため、カリウム濃度も上昇し、心臓に悪影響を与えてしまいます。たんぱく質を制限しているときは糖質や脂質でエネルギーを補う必要があります。
たんぱく質摂取量に制限があるため一度の食事に使える食品の数や量は限られてしまいます。エネルギー量を確保するためには油や、でんぷんを使った調理をうまく活用しましょう。
ただし、糖尿病性腎症の方はこのとおりではありませんので、医師の指示を受けて食事療法を進めてください。

エネルギーを高める調理法例

(50g) ゆで卵
60kcal 目玉焼き
110kcal スクランブルエッグ
210kcal

油6g
油10g/牛乳20g/砂糖10g

(45g) 焼魚
90kcal ムニエル
210kcal あんかけ
270kcal


小麦粉40g/バター6g
タルタルソース15g

小麦粉10g/油12g
砂糖5g/かたくり粉3g
なす
(70g) 焼きなす
10kcal しぎ焼き
130kcal てんぷら
190kcal

ごま油12g/ごま2g
油15g/小麦粉15g
ご飯
(120g) ご飯
180kcal チャーハン
300kcal ピラフ(炊きこみ)
410kcal

油12g/にんじん・
ピーマン・マッシュルーム
油12g/バター7g
レーズン20g



3.塩分の制限
塩分は血液の浸透圧を保つために大切です。しかし、腎臓の機能が低下すると、塩分(ナトリウム)や水が尿として排泄できなくなり、むくみの原因となります。また、高血圧も塩分のとりすぎによって起こります。塩分制限が不十分であると、利尿剤の効果が半減してしまうといわれていますので、塩分の制限を守りましょう。(「減塩について」のページ参照)

4.カリウムの制限
腎臓の機能が低下するとカリウムが排泄できなくなり、血液中のカリウムが増加することがあります。カリウムの増加は不整脈を起こしたり、心臓を停止する危険がありますので、医師によりカリウム制限を指示された場合は、カリウムの制限を守るようにしてください。

・カリウムの減らし方

カリウムは水に溶ける性質があり、食品を刻んで水にさらす、ゆでこぼすことで調理前の1/5~1/2に減らすことができます。


・食べ方の注意

1)いも類は、小1個(50g)まではゆでこぼさなくてもよいが、他に重なる場合は、ゆでこぼす。
2) 果物は全般的にカリウムを多く含む。特にアボカド、メロン、バナナ、ドライフルーツは避けたほうがよい。缶詰の果物はシロップの中にカリウムが溶け出しているので、シロップは飲まない。1日にとる果物は、みかん1個またはりんご半分程度にする。
3)煮豆類は避ける。納豆を除く大豆加工品(豆腐、油揚げなど)はカリウムが比較的少ないので、メニューに入れてよい。
4)干物類(丸干し、煮干し、かつお節など)は少量にする。
5)昆布巻きなど、大量に海草を使う食品は食べないようにする。 カリウム量に注意が必要な食品例
きなこ ポテト
チップス インスタント
コーヒー 海草類

枝豆 抹茶 チョコレート ナッツ類



6)インスタントコーヒーは薄めに入れる。玉露、抹茶はカリウムが多いので避ける。
症状に応じて、カリウムのほか、リン、水分の制限が必要になることがありますので、医師や栄養士の指導のもと正しい食事療法を進めるようにしてください。

主な食品に含まれるカリウムの量の例を次にあげましたので参考にしてください。

  食品100g中のカリウム量へ


5.良質のたんぱく質をとる
長期にわたるたんぱく質の制限が必要な場合は、身体に欠くことのできない必須アミノ酸を多く含んだ良質のたんぱく質をとるようにしましょう。摂取するたんぱく質の半分以上を、体内で効率よく利用される動物性食品(卵、牛乳、魚、肉類、大豆製品など)でとるとよいでしょう。
豆腐などの大豆製品は、植物性たんぱく質の中では栄養価が高く、鉄分の吸収も助けます。動物性食品と組み合わせてとると、腎不全でみられる貧血に対しても効果的です。ただし、たんぱく質を含む食品にはカリウムやリンも含まれているので注意が必要です。医師、栄養士の指導に従ってください。


http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/Sick/buhin26e.html  参照

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