RSプレイヤーによる日記のような何か兼レビュー倉庫

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ブギーポップは笑わない


 全部で5話に分かれていて、それぞれの人物がそれぞれの視点から物語を作っている。最後に全員が集まってくるのだが、その構成は同じ電撃文庫の「ウィザーズブレイン」 と同じで面白い。だが、この作品は1巻でそれを全部やってしまっているため、人物がコロコロと変わる印象があり、物語が把握しづらかった。1話の登場人物を大体把握したな、と思ったらいきなりまったく新しい人物の視点から話が始まるのだ。それで私の場合は、今何が語られているのか分からなくなってしまった。このような構成は、1巻でまとめるのには非常に無理があるのではないだろうか。もちろん2回3回と読み返せば良いことなのだが、それを前提にすることは問題があるだろう。
 また、文章も読みにくい。読点が少ないのだ。だらだらと読まざるを得なくなり、意味が取りづらいため何度も同じ文を読み返すことになる。おかげで何度も投げ出したくなってしまった。最後まで何とか読んだのは、このレビューを書かなければならないからだ。もし別の機会に手に取っていたら、100%挫折していただろう。それほどまでに、「読みにくい」作品である。
 しかし、人物描写は上手く出来ている。どの登場人物にも共感できてしまうというか、「そうだよね」と頷ける。内面描写もしっかり伝わってきて、どうしてこうも読みづらいのか、と非常に残念だった。惜しい作品である。


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