RSプレイヤーによる日記のような何か兼レビュー倉庫

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文:炎雷破
○このゲームについて(特徴など)
 「妄想科学ノベル」と銘打っているだけあって、妄想をキーワードにした物語です。主人公は、「3次元」に興味がない引きこもり一歩手前のいわゆるオタクな西条拓巳という高校生。彼の豊かすぎる妄想力や、さまざまな登場人物達の視点を利用して、渋谷で起きる連続猟奇殺人事件の真相に近づいて行くのがこの物語の大筋です。なぜ妄想が役に立つのかというと、それはズバリ妄想が現実になるから。SFチックな理論展開でやらかしてくれます。
 ゲームの特徴としては、いわゆる選択肢がないことが挙げられます。その代りに、2種類の「選択肢を代用したもの」が使われています。一つは、いくつかの質問にYes/Noで答えたり、アンケートにチェックを入れたりするもの。答え方次第ではその後の物語の展開に影響を及ぼします。そして二つ目は、西条拓己という主人公を置いたこのゲームならではの「妄想トリガー」。ストーリーを進める中で左上に緑の波線が、右上に赤の波線が現れることがあります。ここで緑の「ポジティブな妄想」を選ぶか、赤の「ネガティブな妄想」を選ぶかによって拓巳の妄想が変わっていくのです。参考までに、血やエグいのが好きな方は赤を選ぶといいかもしれません。どちらを選んでも彼の妄想力に振り回されること請け合いです。この妄想トリガーは、スルーしてどちらも選ばないということもできます。
○肯定的見解
 「妄想トリガー」等でどんどん展開が変わっていくかと思いきや、脇道に逸れることなく一直線にエンディングへ向かっていくのが、上手く作ったなと感じさせました。しかも、ただグダグダと進んでいくのではなく、予想外の展開を織り交ぜながらプレイヤーを飽きさせないストーリー作りがきちんとなされています。これだけでも十分良いノベルゲームだと言えるのではないでしょうか。
 リアリティの高い物語や背景CGも評価できます。プレイ中に本当に「他人事とは思えない」ことが出てきて、「ああ、分かる」と感じてしまったことは多々ありました。特に背後の死角を利用した「振り返らないゲーム」は誰しも1度は体感したことがあるでしょう。未プレイの方のためには、「ベッドの下の何か」でも全く同じです。他にも、背景がCGなのか実写なのか区別がつかなくなることがあり、場面によくマッチして良い臨場感が出ていました。PCのチャット画面や、ディスプレイの本物らしさは「凄い」の一言に尽きます。
 また、分からない用語が出てきても理解できる用語説明の親切さがあります。ノベルゲームに限らず、意味不明の用語が出てきて、それについての説明もなく、物語の理解が難しく感じてしまったという経験をした方は多いと思います。その点、この作品は「これでもか!」というほどに説明を加えてくれます。「ドーパミン」とか「300人委員会」とか。気持ちよくプレイできることと思います。
○否定的見解
 主人公がキモくて、受け付けない人は全く受け付けないことくらいです。 

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