RSプレイヤーによる日記のような何か兼レビュー倉庫

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アクセル・ワールド(1)


 どんなに時代が進んでも、この世から「いじめられっ子」は無くならない。デブな中学生・ハルユキもその一人だった。
彼が唯一心を安らげる時間は、学内ローカルネットに設置されたスカッシュゲームをプレイしているときだけ。仮想の自分(アバター)を使って≪速さ≫を競うその地味なゲームが、ハルユキは好きだった。
季節は秋。相変わらずの日常を過ごしていたハルユキだが、校内一の美貌と気品を持つ少女≪黒雪姫≫との出会いによって、彼の人生は一変する。
少女が転送してきた謎のソフトウェアを介し、ハルユキは≪加速世界≫の存在を知る。それは、中学内格差(スクールカースト)の最底辺である彼が、姫を護る騎士≪バーストリンカー≫となった瞬間だった――。<公式より>
 ジャンルとしては近未来バトル。それからボーイミーツガールといった感じか。デブないじめられっこが主人公だというから、どんな変な作品かと思ったらただの爽やかデブで幼馴染の女の子までいるという、なんでもない設定で少々がっかりさせられた。どうせいじめられっこを主人公にするなら、もっと救われない話にしたっていいんじゃないかと思ってしまう。
 ストーリーも、お姫様を助けようと凡人が頑張ったら何やら新しい力を手に入れてしまって敵を打ちのめすというごく平凡な展開。どうみても続編が前提の構成。大賞にふさわしかったか、と問われれば、首をひねってしまう作品である。これならば、銀賞の「東京ヴァンパイアファイナンス」の方が文章に荒があるものの大賞に近かったのではないかと感じた。
 しかし、物語の肝である「ブレイン・バースト」は中二でなかなか面白いシロモノだったし、ヒロインの嫉妬もおいしくいただかせてもらった。斜に構えると全く面白みのない作品だが、純粋に近未来SFとして読めば普通に面白い。
「ケーブル長はどれくらいだ」
「さ・・・んじゅっせんち、です」
「・・・ふーん」
 黒雪姫は私がもらっておきます。

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