永久若葉マーク

永久若葉マーク

嬢ちゃんとの出会いの瞬間



入院したのは、その7時間前ぐらい。
お腹が定期的に張って痛むので、とりあえず救急でみてもらおうと病院へ。
痛みをこらえて、タクシーを捕まえに。実家は幹線道路沿いなので、交差点に出てしまえば大抵はつかまる。なのに時間帯が夕方だったので私の行きたい方角にはなかなかタクシーがおらず、いつもより倍の時間が過ぎたころに(それでも5分程度)タクシーを見つけ、病院へ。

救急で受付をして、まだ外来が開いてるということで車椅子で2階に移動。エレベータを待っていると、目の前は春まで働いていた職場・・・(私は病院の事務員をやっていたのです。産婦人科は働いてずっと御世話になっていたので職場で産んだのです。)めざとく先輩と後輩が見つけて、「産むの?痛い?がんばってよ!!」なんてエレベータを見送ってもらったのを覚えています。

たまたま、担当医が当直でいたのでラッキー。早速、NST(胎児の心拍数を調べる機械)を装着。1週間前もお腹が痛くて定期健診日以外でかかっているので、先生も陣痛とは考えておらず、案の定、
「違うよ」
ハハハ、そーですよね。予定日19日だし・・・お世話をかけました。
「そんなに痛いなら、今夜泊まっていく?明日の朝、一応NSTで診て帰れば?」
なんかなげやりな感じ~と思いながら、お言葉に甘えることに。

陣痛ではなかったので、駆け付けた母も早々に退散。旦那は今から行くといってましたが、来ても何にもないからと家に留まらせ、病院のベットに横たわりながら、退院時、元職場のみんなに何言われるのかと思案したり、テレビを見たり、夕方の腹痛はどこへ?という感じでした。

ちょうど報道ステーションが始まるとき、再び痛み始めました。
夜にナースコールを押すのは気が引けたし、とりあえず我慢することに。
15分ぐらいはそれでも、テレビを見ていたのですが、見れないくらいの痛さ、5分おきに痛みがくることを確認してから、ナースコール。(10時半前)
それから20分ぐらいNSTをつけて観察。また陣痛じゃないのか(なんせ初体験だから、どれが陣痛かわからない)
「また子宮口みてみるね」
助産師にいわれ、診てもらうと、彼女が
「あれ?開いてる、7センチも。早いね。分娩室に移ろう。」
あ、そうなんだ~。ってこれが陣痛なのね。

このときの心配事はお産に耐えられるかということと、予定日よりかなり早いので未熟児ではということでした。

痛みが和らいだ隙を狙って、着替えを済まして、分娩室へ。
このときはまだ5分間隔の陣痛でしたから、少し余裕が。
分娩室に入って、旦那と母に連絡してもらい、「ふうーふうー」と息を整えながら、一人分娩室。電話連絡をしてくれていた看護師さんがきて、
「旦那さんは今から出るって、お母さんは・・・でないよ」
はっ?旦那は今から出るんだから2時間はかかるし、お母さんしかいないのに、病院出るときに「絶対生まれない」って言われたから、寝たな・・・実家のそばで産む意味ないじゃん。

なんどか母に連絡取れないかとがんばってくれたらしいが、反応なし・・・
そうこうしてるといいようがない感覚に襲われる。(11時半)まさに来た~!!!って感じ。隣の部屋で準備をしていた助産師に「来ました!!」と叫んだら、「あ、踏ん張らない様にね、深呼吸して」思わず、「無理!!」と叫ぶ私。
よく鼻にスイカの種が入る痛みというが、その痛みはわからないけど、体が自分の体ではなく、子宮に支配されてる感じ。
息が整わない私に
「あかちゃんが苦しがってますます出ないから、ほら、吸って~はいて~」
隣の部屋から助産師さんの声。
頭の中は、吸って~はいて~しかない。怖いけど深呼吸。このときふと中学時代に合唱部で複式呼吸を訓練しといてよかったとなぜか実感。

陣痛が始まって45分あまり、汗だくの私の前にやっと現れた、私の主治医。
「産むんだ。このまま普通分娩で平気だよね。今日入院しといてよかったじゃないか。しかも俺が当直、めったにないことだよ。ラッキーだな。」
開口一番、この台詞。先生らしい・・・私の出産は産婦人科全体で話し合ったとか言ってたくせに、こののんびりさは何?

担当医が来てからは覚えてないほど。10分ぐらい前にやっと踏ん張っていいとお許しが。でもこれがまたつらい。目をつぶって踏ん張ったらダメだし。
「それじゃ、こっちに出てこないよ!!お腹を見て、目を見開いて!!」
こんな力の入れ方初めてだ。でももうわけわかんない。もう限界かも・・・
「頭出た!もうひと踏ん張り!!」
と言われたら、頑張るしかない。主治医が私のお腹の上に乗っかって押し出した瞬間、
ドボッドボッ。
あれ?出た?急に痛みがなくなったけど・・・

「生まれたよ。元気な赤ちゃんだ」
え、でも泣き声・・・と思った瞬間、
「オギャー」
いた。出てきたんだ。

きれいにしてもらい、私の左横に置いてもらった。心配した体重は2990グラムと標準。
「やっと会えたね」
夜中のたった二人だけのご対面。

その1時間後旦那が来て、そのまた30分後母が到着。横にいる嬢ちゃんに二人はどう思ったのか。とりあえず母には文句言いましたけど。

夜中に産んだので、朝まで分娩室で親子でゆっくりできました。嬢ちゃんは出てくるのに疲れたのか、ぐっすり寝てました。

約3時間という早いお産。あれ以上時間がかかったら、普通分娩は耐えられなかったでしょう。

退院時に判明した事実。それは予定日が19日から8日に変更されていたこと。
8日なら3日に産んでも許容範囲だったわけです。最後にやってくれたよ、先生・・・


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