免疫システムには、血球とそして感染や体内で増殖するがん細胞を防ぐプロテインとの複雑な相互作用が組み込まれています。ワシントン州マウントレークテラスのヘルス・アンド・ウェルス協会(Health and Wellness Institute)創立者、ジョン・カタンザロ(John Katanzaro)自然療法医は「がんは、基本的に侵略のプロセスだと考えられる。誤った行動を起こす細胞があって、それを食い止めなければならないというメッセージを、免疫システムは受け取るのだ」と述べています。
人の胸腺が、がんやウィルス、バクテリアとの戦いを調整するものと考えられています。Bリンパ球(B細胞)と呼ばれる免疫細胞が骨髄で作られるのです。B細胞は、体内で怪しい物質に出くわすと、抗体というプロテインを形成します。こうした抗体は、同様の物質がこの先また侵略してくる際、認識するよう化学的に組み立てられているのです。デンバーにあるAMCがん研究センター(AMC Cancer Research Center)のCEO、トム・スラガ医師(Tom Slaga)は「それは、カギと錠前のような関係。侵略者に反応してそれを無害にできる抗体の形成には多くの特異性がある」と説明しています。
Antibody Production (抗体生成) がん細胞は抗体の生成を刺激します。これら抗体は、がん細胞の内膜を貫いてがんを破壊するよう白血球を呼び出すか、プロテインに命じるのです。
スラガ医師は「侵略の入り口である消化システムや口腔は免疫システムと連結している。例えば、モノが口腔に入り込むと、唾液や酸の多い胃液で侵略者を殺そうとする。また、異物が入ってくると、特殊な抗体抗原タイプ反応を開始する。例えば、がん細胞が形成される場合、がん細胞を破壊しようとするナチュラルキラー細胞という特殊細胞が出てくる」と説明します。 Boost Immunity With Nutrients (栄養素で免疫システムを促進する) Cancer, An Integrative Approachの著者、カタンザロ医師は「がんに罹る要因は数多くある。遺伝子、環境、感情や精神状態などの要因だ。その中で食事は大きな部分を占める。食品が人の薬にならない場合、それは障害物となる。純粋で良質の食品を食べる良い食生活を送れば、癒すエネルギーを生み出す」と説明しています。
Moving Around and Around (くるくる動く) エクササイズも役に立つものです。スラグ医師は「良いものでも過剰に食べエクササイズをしないなら、結果としてフリーラジカルの形成を招き解毒しなければならなくなる。適度な運動は、こうした無駄なカロリーを燃焼する能力を増すため、フリーラジカルの有害影響を少なくする」と述べ、1週間に3-4日、1回に30分から1時間のエクササイズを薦めています。「始めたばかりなら、5-10分でも何もしないよりいいし、少しずつでも良い。つまり、エレベーターを使う代わり歩くという具合だ」ということです。
The Right Kind of Fat (良い脂肪を選ぶ) 亜麻、魚、麻のオイルに含まれるオメガ3という脂肪は、免疫組織強化に役立つもの。スラガ医師によると、オメガ3は生命に必須のものだということです。免疫システムのあらゆる局面で役立ち、脂肪酸が十分に摂れていないと、免疫システムを危険にさらすことになりかねないのです。
カタンザロ医師は「亜麻オイルを1日に大さじ1杯でもとれば、心臓や血液、免疫システムの強化になる。非常に強力な薬効を持つものだ」と話しています。 Other Immunity Nutrients (他の免疫栄養素) この他、数種の栄養素もまたがんの防御を支援するもの。例えば、ベータグルカンは、炭水化物分子が独特なパターンで配列している複雑な混合物で、オーツや大麦、マッシュルーム、イーストといった植物に見られます。カタンザロ医師は「サプリメントとして摂取するのが良い。イーストに問題を持つ人は多いので、食品から摂りたくないだろう。栄養剤としてならさらに多くの有効性を発揮するため、単一栄養素として摂取するのを薦める。強力な生化学免疫調整剤だ」と述べています。
スラガ医師も「ベータグルカンは免疫システムの刺激作用を果たし、抗原に対する抗体の攻撃を開始できるよう、免疫システムをさらに健康的にする。また、ナチュラルキラー細胞を強化しがん細胞への攻撃を効果的にする」とも話しています。多くの研究者の期待をさそうベータグルカンの供給源には、日本を原産とするマイタケがあります(Chemo1990年)。ある研究では、マイタケが腫瘍の増殖を抑えることを指摘しました(Chem and Pharm Bulletin1987年)。