ダイエットにはどんな種類の運動



A 食事療法に比べると運動療法は効率が悪いと考えている人が多いようなので、まず、なぜ運動が必要なのか説明しましょう。運動による減量効果には3つの側面があります。1つは運動することで消費エネルギーを増やせること。もう1つは運動不足が作りあげてしまった太りやすい体質を元に戻すことです。最後に、食事療法では筋肉も減りますが、運動と併用すれば、体内の脂肪のみが減ることです。
 運動不足は基礎代謝を低下させます。基礎代謝というのは、安静にしている時でも体温を維持し、生命活動を保つために使われるエネルギーのことで、これが少なくなってしまいます。また、運動不足はインスリンの分泌を高めますが、インスリンには体内で脂肪の蓄積を促進する作用があります。さらに、運動不足は脂肪合成酵素の働きを促進します。運動することによってこうした代謝異常を正常に戻し、太りにくい体質に変えることができるわけです。
 食事療法を始めた直後は減量効果がはっきり出ますが、徐々にスピードが鈍り、1ヵ月くらいたつとあまり減らなくなってしまいます。からだが、少ない摂取エネルギーでも体重を維持しようと、消費エネルギーを減らすように代謝状態を変えてしまうからです。このような現象を適応(adaptation)といいます。運動療法はこの適応現象を克服するためにも欠かせません。

●1日300~100キロカロリーの運動量に
 代謝を是正するための運動量としては、1日300キロカロリーが目安になります。しかし、肥満予防が目的であれば、1日100キロカロリーくらいでいいでしょう。

●毎日できる運動が理想的
 運動は毎日行うことが大切なので、いつでも、どこでも、また1人でもできる歩行、ラジオ体操、サイクリング、なわとびなどが向いています。数種の運動を組み合わせるのもいい方法です。運動の強度は中程度、軽く汗ばむくらいの運動で十分。別に激しい運動をする必要はありません。週1回くらいのゴルフやアスレチッククラブでの運動では、ほとんど効果がないと考えてください。

●日常生活でからだを動かす習慣を 
 改めて運動といわなくても、日ごろからなるべく歩くように努め、エレベーターなどを使わないように心がけることも大切です。万歩計をつけて1日7000歩以上歩くようにすると、かなり効果が期待できます。

※国立健康・栄養研究所老人健康・栄養部長




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