偶発的な露出


肌を環境から守るための5つの防衛戦略
レベッカ・ジェームス執筆
人間が環境に与える害について、皆さん認識をお持ちでしょうが、スモッグ、煙、化学品や紫外線(太陽の光だけでなく室内照明やコンピューターからも放出されています)などの環境要因が肌に及ぼしている害について、ご存知ですか?これらの絶え間ない攻撃はあまりにも有害で量も多いため、皮膚専門医たちは老化現象の90%は環境が原因だと考えています。逆に、正しいライフスタイルを守ればこれらの環境要因からの攻撃を抑えることができるのです。つまり、さきほどの老化現象の90%の大部分をこれから止めることができるのです。厳しい現実と、その最悪の環境から肌を守る5つの防衛戦略をこれからお教えしましょう。


(1) Neutralize the Source
(原因となるものを中和する)
環境から起こる害はほとんどの場合、活性酸素、すなわち高いエネルギー性を持つ分子のテロリスト軍団が大事な肌の構造を攻撃することが原因です。細胞粘膜、構造プロテイン、エネルギーを生産する細胞、これらはすべて活性酸素の活動によってどんどん老化します。大きなしわや、厚く黄色くなった肌、見苦しい色素の沈殿はすべてその結果です。

研究者は一時、体内に酸素が吸収された時、活性酸素が発生すると考えていました。しかし今では活性酸素の原因となるものはたくさん存在することがわかっています。「たばこの煙に含まれる酸化窒素、熱、高圧電磁放射線、オゾン、一酸化炭素、塩素複合化合物、これらはすべて活性酸素の元となります。」ペンシルバニア州バーンビル市のバイオ医学研究者、ピーター・プグリエーズ医学博士(Peter Pugliese、M.D.)はそう語ります。また、気がかりなことに、活性酸素とは、ある特定の分子のことではなく、実際にはさまざまな質とタイプの分子をまとめた呼称であるのです。細胞粘膜を攻撃するものもあれば、構造プロテイン、コラーゲン、エラスチンに直接害を及ぼすものもあるのです。最も有害な活性酸素は「ヒドロキシルラジカル(hydroxyl radical)」という一見無害な名前を持つもので、DNAをだめにするものです。細胞を変形し、ガンの原因となったり、細胞の老化のもととなります。

活性酸素にはさまざまなものがあることは既に明らかです。当然、活性酸素を一掃するための体内にあるメカニズムの制御役である酸化防止剤にもいろいろなものがあります。プグリエーズ氏によれば超酸化ディスムターゼ(SOD)は生物学的な酸化防止剤の中でも最も強力なものです。SODを肌に直接塗ると効きめがありそうですが、実際にはその分子が大きすぎて肌に浸透しません。でも心配には及びません。プグリエーズ氏は、肌の表面上が最もSODが効果的に働く場所であると語ります。煙、スモッグ、太陽光線の影響で活性酸素の生産がそこで行われるからです。

トコフェロールアセテート、アスコルビン酸アセテート、そしてレチニルパルチメートは活性酸素退治に今まで使われてきたものです。肌細胞の間や細胞粘膜の内部にある大事な脂質を守るのに現在でも有効です。しかしカリフォルニア州ノースリッジ市の美容化学研究者、デビッド・アドフート氏(David Adhoot)は松の木の皮やぶどう種の中に存在するプロアントシアニンは、そもそも活性酸素の原因となる酵素に対して強力な力を持っていると考えています。そして酸化防止による肌の保護は、今後根本的な対処法が大事になるという意見を持っています。「ビタミンEやCなどのような典型的な酸化防止剤は脂質を守る効果を持っていますが、肌の構造や弾力を守ることに関しては、皮膚を破壊してしまう酵素に対抗する力を持っていないため役に立ちません。これらの植物性の酸化防止剤を加えると、組識の破壊を防ぐことができます。」アドフート氏はこう説明しています。研究者の中にはコケモモ、トケイソウ、ツルコケモモやピーナッツの赤い皮にもその存在が認められたプロアントシアニンは、ビタミンEよりも50倍、またビタミンCより20倍肌を守る効果があると説明する人もいます。いずれにせよ、プロアントシアニンは多くの肌に関する製品に添加物として幅広く含まれるようになってきましたし、わずか30日で肌に弾力性を与えることも実証されています。

(2)Shield fromUV (UV線から肌を守る)
他の太陽系から来た人でない限り、既に太陽光線が肌に有害であることはご存知でしょう。しかし、おそらく最も有害なUV線はガラスをも浸透し(職場、飛行機、自動車などの窓)、蛍光燈からも放出されており(職場、台所、スーパーなどの)、一日中一年中いつでも量は同じなのです。一般的な日焼け止めはあまり効果がありません。なぜならUVB線からは肌を守る効果があるけれども、たった今その恐ろしい力について説明したUVA線への抵抗力はないのです。ここで登場するのが酸化亜鉛、二酸化チタン、ベンゾフェノンという屋内でも屋外でもUVAの驚異からの盾となる3種類の有効な日焼け止めです。SPF15以上のUVAから肌を守ることをうたった日焼け止めを求めましょう。そして一年中、家を出る前に毎朝塗って出かけましょう。飛行機に乗る場合は特に重要です。高度3万5千フィート(約1066.8キロ)においてさらされるUVAの量は考えただけでも恐ろしいものです。このような予防策は効果が期待できます。』とジョージア州の皮膚専門医、ウィリアム・デールズ医学博士(William Dales、M.D.)は主張しています。『誕生した時から18歳までの間、SPF15以上の日焼け止めで肌を守っておけば皮膚がんの78%は予防できます。』すべてのしわ、しみ、そして老化現象の症状の80%は、18歳以前にされされた太陽光線が原因なので、皮膚専門医の多くは皮膚の老化の78%もまた予防できると考えています。

(3)Defend from Smoke(煙から肌を守る)
「ヘビースモーカーはたばこを吸わない人に比べ、目のまわりや目尻に余計なしわができる確率が5倍高いのです。」ユタ州の皮膚専門医であるドナルド・カダンス氏は語っています。彼の研究結果は、1980年代に世界保健機構が行った研究結果と100%合致しています。その研究によれば、喫煙女性には早く老化現象が現れただけでなく、頭皮に煙が沈着するため、髪が弱くなりました。しわや抜け毛の原因としては他に肌や頭皮に血液や酸素が行きわたらなくなることがあげられます。犯人であるニコチンはタバコに含まれる最も悪名高い物質です。しかし他の物質、例えばベンゾピレン、ヒ素、ホルムアルデヒドなどの発癌物質は煙自体に含まれており、その煙は喫煙者の肌だけに沈着するわけではありません。世界保健機構のもうひとつの驚くべき研究結果としては、喫煙女性は早く閉経期を迎えるのです。それだけでも驚くことですが、クリーブランドクリニック基金(Cleveland Clinic Foundation)の皮膚科学部の主任臨床研究員であるウィルマ・バーグフェルド医学博士(Wilma Bergfeld、M.D.)の言葉が追いうちをかけます。「卵巣がくたびれると、他の部分同様肌もくたびれるのです。」つまり、タバコは吸うなということです。どうしても吸いたければ、あるいは吸う人と一緒に暮らしているのなら、必ず日中何度も洗顔し、シリコンの豊富に含まれている乳液を塗りましょう。これらは正常な新陳代謝に必要な肌の呼吸を妨げませんし、煙に含まれる有害な物質から肌を守ります。

(4) Attack Airborne Irritants(空中の刺激物を攻撃せよ)
スモッグ、またの名を地上オゾン、これはアメリカの主要都市で最もよく見られる光景のひとつとなっています。スモッグ、土埃、自動車の排気ガスや空中の煙は「毎日肌から吸収され、毛穴をふさぎ、肌の保護機能をさらに妨げます。」スタンフォード大学の臨床皮膚科教授、ロバート・アダムス医学博士(Robert Adams、M.D.)はそう語ります。ほぼ毎日スモッグが起きているロスアンゼルスでは、皮膚がんになる確率は国内の他の地域よりも6%高いのです。他にも脅威となる空中の公害はあります。発掘燃料や暖炉の薪が燃焼した時に発生したり、熱帯雨林が火事になったときに発生する二酸化イオウは肌にたやすく吸収され、アレルギーを引き起こすヒスタミンを放出します。National Academy of Sciencesの行った20年前の研究によれば、都市部の大気に含まれる化学ダストは皮膚がんの原因となるということです。そして、酸性雨は硫酸、硝酸、スルホン酸メタンなどのような破壊性を持つ化学化合物だけでなく、蟻などの昆虫が体内に持っている酸でかゆみ、皮膚のはれ、痛みを引き起こす蟻酸も豊富に含まれているのです。

ここでもシリコンによる肌の保護と酸化防止剤を肌の表面から吸収することによって、空中の有害な物質の攻撃から肌を守ることができます。皮膚の表面にシリコンが付着することから免疫システムへの危険性について心配しているのでしたら心配することはありません、とカリフォルニア州カールズバッド市の美容化学研究者ジョン・ガルット氏(John Garruto)は語っています。シリコン分子は大きすぎて肌細胞の間に入り込めません。一日経つと消滅しています。

(5)Rescue Your Skin From the Great Indoors(屋内の害から肌を守る)
ふだんはあまり気をつけませんが、屋内にも多くの環境要因は存在しています。職場や飛行機の空調は肌を乾燥させるだけでなく、発疹や吹き出物の原因となるバクテリアやビールスを運んでいることもあります。家庭用クリーナー、塗料溶剤、洗剤、またこれらの害から肌を守るために使用するゴム手袋などが原因とされる皮膚炎を皮膚科の専門医は毎日診察しています。ほとんどの職場でだれもが最も頻繁に手にする紙も、肌から油分を奪い取って乾燥を促しています。「机の上に良質なハンドローションを置いておくのはよいアイデアです。」ニューヨーク市のスキンケアスペシャリストであるアネット・ハンセン氏(Annette Hansen)はそうアドバイスしています。

専門医達はまた、日常の生活環境に存在する5千もの基本香料と、皮膚問題の約45%を占める職業関連の肌疾患(その多くは食器を洗う人、美容師、ヘルスサービスやフードサービス業界の人が仕事上扱う物質が原因となっておきる反応やアレルギー)の関係について調べています。「ある部屋に集まった40歳以上の女性たちに、香料が原因と思われる皮膚炎の経験の有無を聞いたところ、半分以上の女性が経験していました。」アーカンソー州リトルロック市にあるJohn L.McClelland病院の皮膚科部長ジェール・D.グイン医学博士(JereD.Guin、M.D.)は話しています。化粧品や家庭用品に含まれる保存料は人口の7%に対して有害な可能性を持っています。「ホルムアルデヒド放出物質」として知られるこれらの物質は、最初からホルムアルデヒドとして製品の中に含まれる訳ではありませんが、何週間か経つとホルムアルデヒドを生成してしまうのです。「ラベルをよく読み、これらの成分を含む製品には気を付けましょう。」オレゴン州の皮膚科専門医ケネス・M.カン医学博士(Kenneth M.Kang、M.D.)はそう忠告して、quaternium-15、diazolidinylurea、imidazolidinyl urea、dmdm hydantoin、2-bromo-2-nitropropane-1、3-diol等を「ホルムアルデヒド放出物質」としてあげています。

肌は、生きている間にどれだけ手入れをするかが大事です。毎日酸化防止剤と日焼け止めを塗りましょう。そしてシリコンで守りましょう。有害な物質や他の環境要因に肌をさらすのをできるだけ避けましょう。ある皮膚専門医はこう述べています。「60歳で40歳の肌も可能ですし、逆に40歳で60歳に見えることも可能です。すべてはあなた次第です。」


この記事は米国健康情報誌 Energy Timesの1996年4月号から抜粋されたものです。
This article is selected from Energy Times, and translated by EarthPure.Energy Times is published monthly by Energy Times Inc., a division of NATURAL ORGANICS, Inc.All rights are reserved.


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