偏らない食事の秘密は、日本食にあり



 日本では食生活の変化にともない、生活習慣病有病者と予備軍が年々増加しています。糖尿病だけみても、有病者740万人、予備軍880万人と、合計でこの5年間に1.2倍になっています。主な原因には、食生活の変化による脂肪および塩分摂取量の増加があげられます。
 極端な例ですが、「ファーストフードレストランで週2回以上食事をした若年成人は、15年後に体重が平均4.5kg増加し、糖尿病の原因となるインスリン抵抗性が2倍高くなっていた」というデータが、米国ミネソタ大学のMark Pereira助教授らにより医学雑誌に発表されました。結果として「ファーストフードレストランで健康的な食事をとるのは非常にむずかしい」と報告しています。これに対し、NHLBI所長代理のBarbara AlVing博士は「米国では肥満と糖尿病が増加する一方だが、この研究は健康的な食習慣がいかに大切かをあらためて示すものだ」とコメントしています。生活習慣病が急増している日本でも、早急に食習慣を見直す必要があるのです。

 本来、ごはんを主体とした日本食は必要な栄養を必要量摂取することができ、生活習慣病との関連で特に重要視されている脂肪や塩分のとり過ぎを防ぐ点でも、望ましい食事です。
 代表的な日本食メニューである、ご飯、具入りの味噌汁、焼き魚に大根おろし、野菜の煮物という組み合わせを見てみましょう。まず、炭水化物を主体とした主食があり、糖質から充分なエネルギーを確保しています。
 ということは、脂肪由来エネルギーの過剰摂取を抑える働きも持っています。毎食ご飯などの主食を摂りましょうというのには、主食そのものの栄養素を摂るためと、主食でお腹を満たすことにより、必要以上におかずを食べてしまうことを防ぐ意味もあるのです。
 そして多彩な食材からなる一汁二菜、一汁三菜は、食物繊維やタンパク質などの栄養素をまんべんなく摂りながら食欲を満たしていくことができます。中でも、ご飯は、パンや麺類のように、それ自体に含まれる塩分や脂肪分を気にする必要がないので、特に優れた主食といえます。
 当病院でお出ししている食事をご覧になった患者さんが「こんなにご飯を食べていいんですか?」と驚かれることがあります。ダイエットのためにご飯を食べず、おかずだけ食べていればよいと思っておられる方も少なくないようですが、実はご飯を食べずにおかずだけを食べていると、必要以上の脂肪や塩分を取りすぎやすくなってしまうのです。

 私たちが「日本食の献立」として思い浮かべるものは、実は優れた栄養バランスを持っているのです。「バランスのよい食事ってどんなもの?」と疑問に思われる方は、まずご飯を主体とした一汁二菜、一汁三菜といった典型的な日本食を召しあがってみて、その内容を確認してみてはいかがでしょう。
 繰り返しになりますが、バランスのよい、偏らない食事を心がけることが、健康への第一歩です。さっそく今日から実践しましょう。


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