懲りずに追記／いもむしごろごろ／土偶

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2004年06月27日

(6)

カテゴリ：カテゴリ未分類

うあああ。
いくらでも泣けるわ－。きりがないわー。
これしきのことで。

断られる理由がいつも妹みたいだからとか、親しみがありすぎてだとかっていうのは、
翻訳すると
「メスとしての価値がない」
ってことなんだろうな。

でも、オスでもない。

こんな決定的な欠陥人間の存在、何の意味があるんだろう。

玉砕内容。

ダイニングバーでごはん。
ふつうに楽しく話す。
こんなに楽しいのに、変なこと言って雰囲気壊すのやだな。
やっぱり今日も何も言わないで帰ろうかな、と思う。

ラダイト運動って何だって突然きかれてすぱっと答えられるか、と振ってみる。ほれ答えてみラダイト運動とは何だったか。
悩んでいる。
世界史専攻を悩ませた。勝った。

どうしよう。このまま、楽しいままで何事もなくしていたい。
でもだめだ、そうやってうやむやにし続けて苦しかったじゃないか、無臭田のときも。
今日は言わなくてはいかん。いかん。

自分にはグラスワイン、殿には水を頼み、ワインを一気にあおり、景気をつけた。
よし。
腹に力を入れて、話したいことがありんす、と切り出す。

そうは言ったものの、言葉が出ない。
しゃべろうと口を開けたら、喉が痛くなってきて、やばい、口きいたら泣く、という状態になった。

でも言わねばならんので、
「こないだのこと、勢いみたいだったけど、私は勢いじゃなくて、」

ここまで言って嗚咽。
あとは泣きながら言うた。

「殿（仮）さんのこと、本当に好きなの。
勢いだと思われてたら嫌だなあと思って。」

殿、苦笑して、そうかそうきたか、と言う。

「迷惑かなあ。そしたら諦めるから」

「迷惑だと思ったことは一度もないよ。
こうやって飲んでても楽しいけど、ただ、妹キャラだなってのはある。
こないだのことがよくなかったのかな、期待させちゃったかあなあと思うこともあるよ。
迷惑じゃないけど、その気持ちに答えられるかなってのは正直ある」

そこで一瞬沈黙があって、殿が再び言った。

「…わからないよね」
「いえ、わかります…」

店を出た瞬間、べそかきながら
「あたしっていつもそうなんだよね」
という言葉が口をついた。
無臭田に「お前のことは妹以上に思えない」と言われたことを思い出していた。

私の言葉に殿は
「キャラ損ってこと？」
と応じてくれたが、背中を向けたままでこちらを向かなかった。

もう連絡しないほうがいいかと尋ねると、殿は笑って、えーっ、と言った。
そんなにつらい？そんなにつらい思いさせてる？って。
咄嗟に否定できなかった。
しょうがないよね、とやっとのことで言った。
好みが違うんじゃしょうがないよ。

もう何でも聞いておこうと思って、何がいけなかったのかなあ、と聞いてみた。
「そういう問題じゃないだろうけどー」
と笑いながらも殿は
「年齢かな。今まで割と近い年齢の人ばっかりだったから」。

再び沈黙。

殿が唐突に呟いた。
「…まあ、勢いってのも、あったよね…ほら、おばちゃんがさ」
そーだね。

これでよかったんだよなあ、と思いつつ
「ごめんね、折角楽しかったのに。
でもちゃんと言わないとあとで後悔すると思ったから」
と詫びを入れる。

あっというまに駅に着いた。
混んでる電車に乗り込む。
殿とは途中まで一緒。無言。

ドアにもたれてうつらうつらする殿の顔を見上げる。
こんなに間近で見ることはもうないだろうから、しっかり見ておこうと思った。
見てたら涙がばりばり出てきたのでやばいと思いつつも、止められなかった。
それどころか嗚咽がもれそうになるので、なんでじゃーちくしょー、とぷるぷるしながら歯を食いしばる。

でも、ひぐひぐ言うてしまった。
ひぐひぐが殿にも聞こえてしまったらしく、どうしたの、と声をかけられる。
どーしたのじゃねーよーおまえだよー、と言う代わりに胸に頭突き。
もうどーにでもなれっ。
もうだめなんだから嫌われるかもなんて気にする必要は一切ないっ。
私のしたいようにするっ。
と、ひぐひぐしながら胸に顔をうずめてみる。押し退けるなら退けてみろぅ。

殿は押し返さなかった。
その代わりに片手を腰にまわして、片手で手をとってくれた。
そのままぎゅっと引き寄せられて、殿が私の頭に頬ずりする感触がした。

なんでこんなサービスするんだろうこの人は。
これは後々、幸せなのか不幸せなのか。
わからない。どーでもいい。
でも折角だから抱きついておこう。
金輪際ないことだから。

あったかかった。

ああ…これがずっとこのままだったらいいのになあ、
とひっついていると、
ガクッと。
殿がガクッと。
立ち寝してガクッと。膝が。

「あっ、ごめん」

寝てンのかよ。

しかし、殿の下車駅までそうしててくれた。
下車駅のアナウンスが入ると殿はそろそろ降りるよ、と身体を離した。

最後にこれも言わねば、ともうやけくそで言い募った。
「殿（仮）さんてさあ、偏見とかない人だよね」
殿は、
「偏見はないけどー」
と笑う。
変なこと言うやつだと思ってるのかな。
「そういうとこが、すごーく好きだったなあ」
殿は、苦笑いして、何も言わずに降りていった。

泣きッツラでひとり電車内に残されるのは恥ずかしかった。
でも遅い電車には変な人いっぱいいるし、
今日は私も変な人のひとりってことでいいやと思い直し、
電車の隅っこで身を縮めてひぐひぐを続けた。
続けたっていうか止まらんかった。

駅に着き、下車。
友達に、ふられましたメールを送る。
3件。
メールをしてる間ってふっと気が楽になる。不思議。

しばらく考えて殿にも送っておく。
お疲れのところおつき合いいただいてありがとうございます、
取り乱してすみませんでした。と。

できた妹であることよ。

泣きながら家路につく。
こっちをちらちら不審そうに見る通行人。
なに？あたしかわいそう？
なんで泣きながら歩いてるんだろう、なにがあったんだろうって思ってる？知りたかったらお話しますよ、
あらお兄さん眼鏡ですね、そこのデニーズでお茶しましょうか、ちょっとその気があるんだったらセックスしてもいいよ、
って電波をとばしたけど、届かなかった。
お兄さんが不審そうに私を一瞥する気配を感じて視線を合わせてやった。
不審そうな顔のまま、お兄さんは反対方向へ行ってしまった。
残念だなあ、ひとりだと今夜は長くなりそうなのに。

帰宅。
朝まで泣く。
土偶。
以上。

ごろごろ。
部屋の隅から隅まで転がってみるの図。

羽化したい。

眠れないのでテレビをつけっぱなしにして（内容は頭に入ってこない）、
えぐえぐ泣いてたらオカンに怒られましたよ。

こんなわたくしでも一応は社会人ですので、日曜１日泣き通したら月曜には復活して働かねばなりません。
今のうちに来週流してしまうかもしれない分まで、
出し尽くさねばならないのよ。

水分補給しないとね。
焼酎1本くらいでいいか。
足りないかな。

ひとばん明けました。

「人間はひとばん中、休むことなく泣き続けたらどうなるか」
という実験を試み、サンプルを採取してみました。

瞼と目袋が激しく腫れ上がり、視界が50%低下。
自分で手鏡を見て
「うわ…宇宙人の子みたい」
と思う。

ていうか リアル土偶フェイス だ。

泣いてる横で男に立ち寝され、一晩泣き明かしてみれば土偶ですよ。
ネタの宝庫だなっ。すげっ。

腹痛の波のように涙の波が寄せたり引いたり。
胸のあたりがふるふるしてじわーっと悲しくなって、
あとからあとからいっくらでも涙が出てくる。
こんなに長時間連続で集中して泣いたのは初めてのような気がする。

しかし、その陰鬱な、やるせなさの中でも自分を俯瞰して
「 フッ…土偶… （しめしめ）」
と、ほくそ笑んでいる自分がいる。

一方では死にたいくらい悲しいのに、一方ではそんな自分の状態を楽しんでいる。
ラブコメ映画でコケティッシュな女優が泣きじゃくるシーンを見て、
微笑ましいねえと思っているかのような、そんな感じ。

「ブリジット・ジョーンズの日記」で、ブリジットがやけ酒飲んでわあわあ泣きながら大声で歌ってるシーンを見たときと同じ。

でも、悲しんでるのも自分。それを見て微笑ましいねえと思ってるのも自分。

そんな簡単に悲劇的な気分にはなれないもんなのだわ。
それが悲劇とも言える。
おかしくて、かなしい。
かなしくて、おかしい。

あたしやっぱり基地外だわ。

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